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ツォンカパ大師の菩提道次第略論 意訳

ツォンカパ大師はチベット仏教ゲルク派の開祖でその教えは素晴らしく、その著作は優れた方々が訳されています。
ここではツォンカパ大師の「菩提道次第」の3部作ある中で1番短く普段の祈願として使えるものを意訳しました。

「諸悪莫作衆善奉行」

写真はラマからラマへと代々伝わる、ツォンカパ大師の聖遺物であるお袈裟の一部を譲り受けたものです。ご覧になられた方々に大師様のお加持があります様にと祈願致します。


「菩提道次第 経験からの詩」

(自他を過去・現在・未来と三世に渡り大事にするのを娯楽と理解して)
円満な幾千万もの瑞光より生まれる御身、
計り知れない有情の願いを満たす御言葉、 
一切の存在をそのまま見る御心の、
釈迦族の法王に頂礼致します

無比なる教主の法王子 仏の御業(を広めるのを)全て(我が仕事と)引き受け 数え切れない世界に化身を成す 弥勒・文殊の両菩薩に礼拝致します

真に理解し難い般若経を、教えそのままに内容を理解された、世界を(正しい理解で)飾る方、龍樹・無著という三界によく知られたお二方に私は礼拝致します

二大流派より正しく伝わる 深甚の見解(中心)の伝承と広大な(菩薩)行(中心)の伝承から、(矛盾や)間違いなくことごとく大事な点をまとめた 教えの蔵、アティーシャに敬礼致します

幅広く全ての教えを理解する眼(を持ち)  徳ある者を煩悩より自由に導く入口、(自他の)苦を厭う心からの(菩薩の)行いの方便に優れた、(教えを)明らかにされる恩師を敬い礼拝致します

世界の(煩悩に打ち勝った)賢者全ての頂きを飾る 有名な幢として有情に明らかな 龍樹、無著のお二方から代々 しっかり伝承された菩提道次第は 有情の望み全てを満たすので 宝の如き教え (煩悩より自由にする)力の王 幾千ものよい教えの川が流れ込む 吉祥なる素晴らしい教えの大海です

(大事にする)あらゆる教えを矛盾なく理解し (経論の)どんな教えも(実際の煩悩の治療となる)教えと現れ 仏様のお考えを分かりやすく得 誤った行いという崖にも堕ちない(という学ぶ事に4つの優れた点がある)菩提道次第は、
そういう事で インド・チベットの秀でた方々 たくさんの有徳の師が頼りにされた優れた教えです (良き転生への道から煩悩という輪廻よりの自由を目指す道、輪廻が尽きるまで誰も見捨てない道という)煩悩より自由になる心境の三段階を説いた教えに 心を奪われないような分析者は居りません

全ての教えの肝要を集約した(ので) この教えを日に何度か説いたり聞いたりするだけでも 教えを説き聞く功徳の固まりが 大きな波(のように強い影響)としてやってくると(分析し)確信して、(道次第の)内容を考えて下さい

ではまず、(自他を大事にする為に煩悩より自由になろうと)よい環境を首尾よく揃える根本は 教えを説く優れた恩師に(如何様にも)努力して、(煩悩より自由になる教えを概念的に分析し、それを日常生活で注意深く思い出し監視して実際どうか)考える事と(それを実際に十善業など娯楽として)行う事が(恩師に)正しく仕える事になると理解して命にかけても(師とその教えに)不義理せず (師の)お言葉通り(自分を大事にする)行いをするという支援で喜ばすよう 尊い恩師はそのように(過去・現在・未来に渡り自分を大事に煩悩より自由になる為、恩師三宝の維持を最大限支援する)行いをされました 自由を求める私もそのように(煩悩より自由になる支援などを)行います

(現代の仏に見えるという)時間的・環境的に本当に豊かで恵まれた状態は(願いを叶える)如意宝珠より貴重 こんなに貴重な状態なのは今だけで 得難く変化しやすく稲妻のよう(に終わります) この在り方を考え、かりそめの世界の物事全ては (大事な実から)外れる殻のように理解し 昼夜問わず(過去・現在・未来に渡り自分を大事に煩悩より自由になる為有暇具足を得、恩師三宝の維持を最大限支援する)行いをしなければ 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

死後(孤立無援・強欲非道・弱肉強食などの悪業を娯楽のように行い、行なわれる世界)三悪趣に生まれないという確信は持てませんが、その不安や恐れから自分を救うのは(それを成し遂げた)三宝と確信し、 確信したら三宝を頼りの綱とし、その教えの学びを疎かにしないよう (教えも、自他を)大事にする・しないという事の因果をよく考えて (何かを)する事・止める事は(教えの)理解に従うよう 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

優れた道を成就するのに、理論通りの有暇具足が揃った状態を得られるまでは道を進むドコロではないので (現代の仏に見える)有暇具足を備える条件・要因を学び 身口意の罪・破戒という(自他を粗末に扱うという)穢れ 特に(大事にする行いを)習慣的に妨げる行動と意識の浄化は大事なので 途切れる事なく(浄化する)四つの力を維持するよう 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

苦しみ(の存在)のマイナスを考えるのに努めなければ 煩悩よりの自由を求める決意がその通りに起こらず (煩悩と十悪業へ誘う悪習慣という)苦しみの原因により輪廻から(永遠に)抜け出せないあり方を考えなければ 輪廻の根本の断ち方がわからないので 輪廻からの自由を求める出離が(死後の六道輪廻を恐れ、)疲れるに依り 何が(自分を)輪廻に縛り付けているのか知るのを大事にするよう 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

菩提心は大乗の道の生命線で 偉大な影響ある行いの元で拠り所 (知恵と功徳という集まりの)二資糧全てを金に変える錬金術 幅広く善い行いを集約する功徳を埋蔵する宝 そのように知って菩薩の力のある者は 宝のような優れた心(を大事にするの)にもっとも心血を注ぐよう 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

支援(の心)は生きとし生けるもの全ての願いを叶える如意宝珠 ケチな拘りを断つ優れた武器 挫けず強い心を保てる菩薩の行い 名声がいたる所に届く元 そのように知り(自身の)身体や資産や善行の 一切を(他者に)贈る良い道に賢者は仕えるよう 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

自分を律するのは、罪(や破戒的)な行いを洗ぐ水(のよう) 煩悩の熱を冷やす月光(のよう) 人々の中では須弥山の如き威厳(を保ち) (威厳の)力で脅迫されてないのに(皆)全て畏まる そのように知り正しく授かった戒律を 優れた方々は(自身の)眼のように守る 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

悪感情に従わないというのは(菩薩の)力ある者にとって優れた飾り 煩悩に苦しむ苦行の最高のもの 怒りという蛇に対する天敵ガルーダ 暴言という武器に対する頑丈な甲冑 そのように知り優れた悪感情に従わない鎧で あらゆる形で自身を守るよう 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

(菩提心が)後退せず(有情を)大事にするのに飽きずしっかり行動する鎧を身に着ければ 経論と(教えを)理解する能力が上弦の月のように増す 全ての行動が意味を成し やり始めた事は成就する そのように知り怠け心全て払い退け 大きな(良い)影響をもたらす飽きない善行を菩薩は(常に)行うよう 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

(精神)集中は心を制する王 一点集中すると動かぬは須弥山のよう 分析すると全ての善行の対象に向き 心身の(あらゆる)行いに軽やかな楽をもたらす そのように知り瑜伽行者の(集中)力ある者は 注意散漫という敵を倒し禅定(に入る行い)に絶えず仕えるよう 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

深い知恵という空性を見る眼は (全ての存在をそれ自体の力のみで主体的に成立していると錯覚・誤解し煩悩・悪習慣を繰り返すと理解する事で)輪廻の根本をその根っこから引き抜く道 全ての教えで賞賛される功徳が埋蔵する宝 無知の闇を払う優れた燈明と知られます そのように知り自由を求める賢者は (知恵の)道を大変な努力で生じるよう 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

一点集中の禅定のみでは輪廻の根本を断つ力はなく 止(集中)の力のない知恵でどれだけ分析しても煩悩には対抗出来ないので 存在のあり方を(分析し)根底から理解する知恵(者)が (注意力)散漫にならない止(集中)という馬に乗り 誤解を離れる中観の論理という鋭い武器で 全ての絶対的有無の対象を破壊し正しく分析する軽やかな知恵で ありのままを理解する聖者の心に向かうよう 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

一点集中の瞑想で禅定を成すだけでなく 正しく分析する分別知でも(禅定を成す)というあり方で 注意力が逸れず本当に強力で安定した 禅定が生じるのを見て止観の両方を 同時に成就するのに努力するのは素晴らしい 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

禅定中の虚空の如き空性と 禅定後の幻の如き空性の両方に 習熟して方便と知恵の双方で 菩薩行の完成に向かうのを賞賛する そのように理解し方便か知恵かという一方の道で 満足しないのが有徳の方の道 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

そのように顕教と密教という大乗の 優れた道双方に必要な共通の道 色々分析された賢い(恩師という)船長(の乗る船)に(乗り) 守られて偉大な四部密教を 学んであらゆる口伝を頼りに 有暇具足を得た(この人生)を意味あるものにしよう 尊い恩師はそのように行動されました 道を求める私もそのように行動します

(自他を大事にするのを)自身の心に習熟する為 他の有徳の方々にも役に立つ為 仏様の喜ぶ(煩悩の治療)一切を極め尽くした(菩提)道を 分かりやすい言葉で説いた善行で 全ての有情も清浄な良い道から 離れないようにと祈願致します 尊い恩師はそのように祈願されました 道を求める私もそのように祈願致します



インドからチベットに伝わった文化である「仏教」を仏教用語を使わず現代の言葉にする事が出来たら、日本でチベットの教えをすぐに学べるのに、と思っていた方。または仏教用語でもいいからチベットの経典、論書を日本語で学びたい方。可能なら皆様方のご支援でそのような機会を賜りたく思います。