不動産異変、ここへきて「賃貸より持ち家」かつ「マンションより戸建て」が正解になっていた…!

いま「戸建て」が大人気のワケ
写真:現代ビジネス

 筆者は少し前に、コロナ禍によるリモートワークの浸透がマンションよりも郊外の戸建てに需要が移りつつあると書いたが、その傾向はここへきてさらに顕著になってきた(参考記事:『マンション「大崩壊」で、これから日本の「不動産市場」に起きるヤバいシナリオ』)。


 そこで今回、さらに細かく全国の戸建てニーズの状況を分析して、なぜいま戸建てが注目を集めるのかを深く探ってみた。

 まず、いま戸建てを購入する人の第一のニーズは「子ども部屋が欲しい」である。

 子どものいるファミリー世帯の持家率は76%と全体の4分の3を超える。それだけ、ファミリーには大きな家が必要なのだ。一方で、「持ち家率」は都道府県でかなり異なるということをご存じだろうか。

 実際、ファミリー世帯の持ち家率は都道府県でかなり差がある。高いエリアは1位が富山県で、2位が滋賀県、3位が三重県となっている。富山県では実に85.9%という水準だ。同様にして、日本海側の福井県、石川県、新潟県で高い。

 しかし、ファミリー世帯の持ち家率は「地方が高い」とは限らない。

 たとえば首都圏のデータを見ると、埼玉県で81.9%、千葉県で81.1%、神奈川県で78.3%と高く、近畿圏にいたっては、奈良県が83.0%、和歌山県が82.2%、京都府が81.6%といずれも80%以上という高い数値になっている。

都道府県別ファミリー世帯「持ち家率」ランキング!
写真:現代ビジネス

 首都圏の勤務先の中心である東京都は71.5%、近畿圏の大阪府は76.6%と、不動産価格が高いゆえに持ち家率は比較的低くなるが、それでも47都道府県でそれぞれ27位、38位だ。価格さえ折り合えば、これ以上に持ち家率は上がるだろう。

 このように大都市のベッドタウンになるエリアは総じて持家率が高く、首都圏・近畿圏ともにおおよそ80%水準にある。

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(表)都道府県別ファミリー世帯「持ち家率」ランキング
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 一方で、持ち家率が低いのは、沖縄県が断トツで53%。次は福岡県、長崎県、鹿児島県、熊本県、大分県と続き、70%を割り込んでいる。

 九州での持ち家率は総じて低く、平均すると70%を割り込む水準となる。こうなると、実家で同居しない限り住居費負担が大きくなり、可処分所得が減ることになる。

 こうした持ち家率に影響する要因を様々な統計数値との関連性で分析してみた。その結果、持ち家率と最も関係が深いのは、勤務先の産業であった。

 中でも製造業が多い県ほど、持ち家率が高い傾向にある。製造業に勤務する人は、勤続年数が長く、会社の福利厚生が手厚くなっている傾向がある。人生の最大の買い物をマイホームと位置づけ、長期間、そこに住むことが前提。しかも会社がそれを支援してくれる。結婚、出産したら、持ち家を取得したいというニーズは、会社の同僚の間では当たり前になり、横並び意識が働くこともあるのだろう。

 実際、持家率70%未満の県は製造業比率が10.6%と低い。しかし、それが75%未満であれば14.0%であり、80%未満なら18.4%、80%以上では、19.7%となる。製造業比率が高くなれば、持ち家率が高い傾向が見て取れる。



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