都内でも進む大規模DCの新設、さらなる不動産マネーが集まる可能性も

大規模データセンター(DC)は千葉県印西市だけでなく、東京都内にも続々と新設されている。国内DC大手のNTTコミュニケーションズも関東圏で最大級となるDCを開設した。旺盛なクラウド向けに加えて、Webホスティングなど従来型の非クラウド向けも底堅い需要がある。豊富な資金力を持つ外資系や新興勢の勢力拡大などを背景に、今後は業界内での合従連衡も進みそうだ。

 マンションやホテル、ショッピングセンターなどが立ち並ぶ東京江東区の一角で、物流倉庫のような建築物の工事が進められている。りんかい線の東雲駅から15分ほど歩いた場所にあるDCの建設予定地だ。8582平方メートルの敷地に地上5階建て、延べ床面積1万9489平方メートルの施設を建てる計画という。2022年7月31日の完了予定となっている。

 施設の仮称は「KAMAKURA」、建設主は「Kona合同会社」。工事現場の表示板だけでは実態はうかがい知れないが、複数の業界関係者によると「スカイデベロップメント(SKYY Development)」という国内のDC事業者が、米Microsoft(マイクロソフト)のクラウドサービス「Microsoft Azure」向けに準備しているもようだ。

 スカイデベロップメントの実態は業界内でもあまり明らかになっていないが、外資系のDC事業者などの幹部を歴任した人物が立ち上げた会社といわれている。「水面下で積極的に動いていて、関東圏のAzureの新規案件を根こそぎもっていっている」(ある業界関係者)との声もある。

 米Google(グーグル)や大手DC事業者の米Digital Realty Trust(デジタル・リアルティ・トラスト)などが相次ぎ進出したことから、DCの新設は千葉県印西市周辺に集中しているイメージが強い。しかし実際には、印西エリアほどではないにせよ東京都内でも新たなDCが設けられている。

 国内DC大手のNTTコミュニケーションズは2020年9月18日、東京都武蔵野市で「東京第11データセンター」を開設した。地上3階建てで、サーバーラック2600台に相当する約6250平方メートルのサーバールームを持つDCである。IT機器への最大供給電力は21メガワット(MW)だ。

 KDDIは2020年7月1日、多摩市の京王多摩センター駅周辺でハイパースケール向けDC「TELEHOUSE TOKYO Tama5」を開設した。地上14階建てで、約1500台のサーバーラックを収容する約3800平方メートルのスペースを持つ。ハイパースケール向けの利用を想定して250ラックの部屋単位で提供するという。

 多摩市では三井不動産も、全額出資する特定目的会社を通じて大規模DCの建設を進めている。施設の仮称は「多摩テクノロジービルディング」。規模は地上3階、地下3階建てで延べ床面積1万7666平方メートル。2018年7月に発生した火災事故で工事が中断したが、2019年2月に再開した。2021年2月の完成を予定している。詳細は明らかではないが、米Amazon Web Services(AWS)向けといわれている。



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