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「成功失敗を気にする前に、行動開始。」フリーランス鍼灸師・岡野浩人さん

このマガジンではクラウドファンディングを成功させた方々に、プロジェクトへの情熱や人の心を動かせた理由をインタビューし、ご紹介しています。

今回ご紹介するのはフリーランスの鍼灸師、岡野浩人(@interludeplayer)さん。初めて挑戦したクラウドファンディングで達成率459%を成し遂げました。

岡野さんがクラウドファンディングに挑戦するうえで、もっとも力を入れたのは「リリース前の準備」とのこと。いったい、どんな準備をすればいいのでしょうか。
 
クラウドファンディング達成の秘訣を求めて、詳しくお話を伺いました。

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岡野浩人さん / フリーランスの鍼灸師。孤立しがちな鍼灸師を繋げるために、オンラインサロン運営やZOOMを使用したセミナーや交流会を実施している。

重要なのは「リリース前の事前準備」

――初めてのクラウドファンディングで達成率459%……え、すごいですね?

岡野さん:はい、ありがたいことに……(笑)当初の目標金額は38,000円だったんですが、最終的な支援額は174,750円になりました。

――すごい!! 期間はどれくらいで?

岡野さん:約5日間ですね。

――えええ、そんなに短い期間で……。どんな内容のクラウドファンディングだったんですか?

岡野さん:知人が大阪で開催するセミナーをZOOMというアプリを使用して、オンラインで配信することを考えたんです。大阪に来られない人にも見てほしいと思って。

――おお、いいですね!

岡野さん:ただ、僕は東京在住なので、オンライン配信を手伝うために大阪まで行く必要があって……。そこで、交通費をクラウドファンディングで募ろう! と思いついたんです。

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当時のクラウドファンディングページ

――知人の方のセミナーを手伝うためのクラウドファンディングだったんですね。ちなみに、セミナーのテーマはなんだったんですか?

岡野さん:「産後クライシス」です。女性の出産後、夫婦仲が悪くなる現象のことですね。

――どうして、セミナーの手伝いをしようと考えたんですか?

岡野さん:セミナーを主催したえみすけ先生とは、元々交流があったんです。セミナーの内容にはもちろん共感していたけど、それよりも先生の力になりたい気持ちから、クラウドファンディングを決めました。

――いい人だぁ……。岡野さんの「先生の力になりたい」という想いの伝え方が上手だったんでしょうね。発信方法は、やっぱり工夫したんですか?

岡野さん:いや、発信のテクニックというより、とにかく事前準備ですね。

――事前準備。

岡野さん:クラウドファンディングをリリースする前に、成功する土台を固めていたんです。

応援してもらえる関係性をつくる重要性

――「クラウドファンディングが成功する土台を固める」って、そんなことできるんですか……? どうやって?

岡野さん:一番効果があったのは、普段からSNSで繋がりがある人たちに、クラウドファンディングに協力してもらえるように直接連絡したことです。「こういう内容をやるんだ」って。

――そ、それは……「お金ちょうだい」的な? 嫌なやつだと思われたりしませんか?

岡野さん:いや、「お金ください」とは言わないですよ!(笑)元々、産後クライシスのセミナーを応援したい人たちは他にもいたんです。そういう人たちに「あのセミナーを応援するためにクラウドファンディングをするよ、一緒に盛り上げよう!」って連絡をしました。

――おぉー! なんだか、仲間を作っていく感じですね。

岡野さん:そうそう。僕は「共犯者」を増やしていく気持ちでやっていました。セミナーを知らない人たちに連絡するときも「こういう取り組みをするので、共感してくれたらお願いします」って、あくまで支援するかの判断は相手に任すようにしていました。

――お相手から、支援を断られたことはなかったですか?

岡野さん:もちろんありますよ! それはそれで、忙しいのに返事をくれてありがとうの気持ちでしたね。「考えてくれてありがとう!」と伝えて、それ以上お願いすることはなかったです。

――なるほど……。直接連絡できるくらいの繋がりは、どうやって築いたんですか?

岡野さん:クラウドファンディングを実施する1年くらい前から、鍼灸師の繋がりを作ろうと、SNSで活動していたんです。僕が行動したというより、同時に色々なところで「鍼灸師もっとコミュニケーション取ろうぜ!」と人が動いて、それが繋がった感じですね。

――もともと、人とのつながりを大事にしてらっしゃったんですね。

岡野さん:「誰かがチャレンジするときは、みんなで応援しよう!」の空気が、SNSの中にできていたんだと思います。

――応援してもらえる空気を作っておくのは、すごく大切な気がします……!

岡野さん:実は、クラウドファンディングをする前に「1人1,000円だとして、30人、僕にくれるかな」と考えたんですよ。考えた結果、「応援してくれそうな人たちは30人いる、大丈夫だ!」と答えを出してリリースしました。

――たしかに、そこで「大丈夫だ!」と思えたら、リリース時の不安も少なくなりそうですね。

岡野さん:そうですね。そこで「無理かもしれないな……」と不安に思っていたら、リリースしてなかったかもしれないです。

最新の行動をまめに伝えて信用してもらう

――クラウドファンディングが成功するための簡単なテクニックとかあれば、あの、聞きたいです。

岡野さん:簡単に……ですか(笑)

――たとえば……クラウドファンディングのページに載せる文章の書き方とか!

岡野さん:あー、僕の文章、誤字脱字だらけでしたよ。

――なんと……。そういえば、リリースしたときのTwitter投稿も、めちゃくちゃ短文でしたよね。

――文章以外だったら、コツはありますか?

岡野さん:クラウドファンディングの途中経過を小まめに報告することは、意識してやっていましたね。

―― おぉ、「今〇〇円集まっています!」のような?

岡野さん:そうそう。「今いくら集まっているのか」「セミナーの準備はどこまで進んだか」など、細かくSNSで情報開示していました。

支援金額がわかる画像も付けたそうです

――情報開示することで、どんな変化がありましたか?

岡野さん:クラウドファンディングを傍観していた方に、情報が届いていくのが大きいですよね。どんなクラウドファンディングなのか、どれくらいの人が応援しているのか。情報がなにもないと、なんだか怪しいじゃないですか。

――たしかに。まず信用できないと支援しようとは思いませんもんね。

岡野さん:傍観していたクラウドファンディングに応援している人がたくさんいるとわかることで、初めは遠巻きに見ていた人も、「なんだかおもしろそうだぞ」と感じて、参加してくれるんだと思います。

―― ただ、支援が集まっていないときに情報開示するのって、気まずくないですか……? 「あいつのクラウドファンディング、全然集まってないじゃん!」って思われるかな~って……。

岡野さん:むしろ支援者がゼロのときこそ、自分の行動をシェアしたほうがいいと思います。ちなみに僕、大阪までの交通費がクラウドファンディングで集まらなかったとしても、実費で大阪に行くことは決めていたんですよ。

――えっ、そうなんですか?

岡野さん:クラウドファンディングの状況は関係なく、大阪に行くための準備はしていました。「セミナー準備、いまこんな感じだよ!」って、成功する前からSNSでシェアしていたんですよね。それが、結果的にさらに応援してもらえる材料になったのかなと思います。

――クラウドファンディングの状況を考えずに動くことが、成功に繋がるということ……?

岡野さん:たとえば、成功ありきで自分が動いているとしますよね。そうすると、支援者ゼロだった場合、クラウドファンディングに動きはなく、周りになにも情報が伝わらないわけです。

――クラウドファンディングに進展がない場合は、そもそも伝える情報がないですもんね。

岡野さん:そうそう。でも動いていれば、最新の行動を伝えられます。最初は「活動がよくわからないな~」と怪しんでいた人も、実際の行動を見れば「この人は本気でやっているのか」「こういうことがしたいのか」と理解してくれるんです。

――なるほど……! 支援が集まっているかは関係なく、自分が動いてさえいれば、その行動を誰かが見てくれるかもしれないんですね。

岡野さん:「本気でがんばってるんだな」と思ってくれれば、最終的には支援してくれるかもしれない。だから、クラウドファンディングの成功失敗を気にする前に、行動開始。これが大切だと思います。

クラウドファンディングの細かなところ、教えてください!

―― 実際に自分が「クラウドファンディングをやろう!」と考えたときに、意外とわからないことがたくさんあって。まずは、支援額の下限っていくらにしましたか?

岡野さん:僕が利用したのは『polca』というサービスなんですが、下限が自分で決められるんです。僕は1回の支援額を1,000円からにしました。

――それはどうしてですか?

岡野さん:単純に100円単位だと、目標金額を達成するまでに時間がかかるなと思って。逆に3,000円とかだとちょっとハードルが高いですよね。応援してくれそうな人の数を考えたときに、目標金額に到達できそうな下限が1,000円だったんです。

――先ほど「30人が自分に1,000円をくれるか」で考えたとおっしゃっていましたもんね! ちなみに、拡散のために使用したSNSはなんでしたか?

岡野さん:拡散はやっぱりTwitterが強いと思います。Facebookも使っていましたけど、ほぼTwitterで広まった気がしますね。あ、でも、意外とInstagramのストーリーは狙い目かもしれないです。

――Instagramのストーリー!? おぉ、考えたことなかったです……。

岡野さん:そうですよね、僕もあまり使っていなかったんですけど……。あれって、24時間で消えてしまうじゃないですか。だから「こういうクラウドファンディングやってるよ!」と投稿すると、それを見た人がすぐにDMで連絡してきてくれるんですよ。

――すごい、ストーリーは盲点でした……。24時間で消えると知っているからこそ、初動が早くなるんですね。

岡野さん:情報が残るほうがいいと思っていたけど、消えてしまうことで、相手のアクションを促してくれることもあるんだなと思いましたね。

―― あ、あとですね、クラウドファンディングのリターンを決めるのって、めちゃくちゃ難しくないですか? 岡野さんは、大阪セミナーのオンライン配信と、録画配信をリターンにしたんですよね。

岡野さん:そうです。ただ、個人的には、リターンがなくてもクラウドファンディングは成功するんじゃないかと思います。

―― えっ! 成功します……かね?

岡野さん:支援するときに、リターン目当てで支援する人って、あまりいない気がするんですよね。内容に共感したり、クラウドファンディングに挑戦している人を応援したいから、支援するんじゃないですか?

―― たしかに、そうかもしれないけど…。

岡野さん:「これくらいリターンがあるから支援してよ!」とアピールしてしまうと、自分が苦しくなると思います。「リターンすると約束してしまったから、やらなきゃ……」って。リターンに時間を取られて、本来やるべきことがおろそかになったら、本末転倒ですよね。

――んんん、ぐうの音も出ない。ただ、やっぱりリターンなしって、ちょっと不安があります。支援してくれるかな? って……。

岡野さん:たとえば、僕が支援をお願いしたとして「リターンであなたのことnoteに書きますから! がんばりますから!」とお願いされたら、どうですか?

―― 書いてくれるのはうれしい、ですけど……。正直書いてもらわなくてもいいです。

岡野さん:ですよね。

―― 「無理してるならやめて?」って気分になりました。なるほど、本質はそこじゃないんですね。

岡野さん:リターンありきでアピールするより、クラウドファンディングの内容とか自分自身を見てもらうために努力したほうが、ずっといいと思いますよ。あとは、やっぱり実施前の準備。

――リリース前の「準備」、大切ですね……! 

岡野さん:日頃の人との繋がりが、やっぱり重要になってくるんですよね。応援してくれる人をちゃんと見つけていれば、きっと成功すると思いますよ。

――リリース後のことばかり考えそうになるけど、さらに大切なことがあるんだなと思いました。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

日頃から応援してくれる関係性をつくることが重要

小手先のテクニックよりも、自分を応援してくれる人との関係を、日頃からしっかり作っておくことが大切だと、今回の取材で教えていただきました。

人懐っこく、知らない人が集まる飲み会にも呼ばれるという岡野さん。気さくに話してくれる姿は、なるほどこれは周りに愛される人だな……と感じるものがありました。

「クラウドファンディング成功」というキラキラした言葉に惑わされずに、周りにいる人たちを大切にする姿勢を忘れなければ、自ずと自分も手助けしてもらえるのかもしれません。

執筆/くまのなな

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