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2023年にやったゲーム

 プレイした順。
 デスストの続編楽しみ過ぎて気が狂う(一年ぶり二回目)

 Steamリプレイの方はこんな感じでした:https://s.team/y23/ffrfkcjq?l=japanese(集計期間とプレイ時期の関係で反映されてない部分があります)


God of War Ragnarök(PS5)

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 アクションアドベンチャー。北欧神話をベースとした世界が舞台。終末の日(ラグナロク)を前に、主人公クレイトスと息子のアトレウスは予言されたそれぞれの運命に抗うために戦うことになる。

 「God of War」シリーズは本作が5作目となるが、1~3作目の舞台は今作の舞台とは別で、2018年に発売された4作目である前作をやっていればプレイに支障はない。
 というより、少なくとも前作のメインストーリーをすべて見ているということが今作のストーリーを楽しむための最低限の前提条件となる(最大限楽しみたいなら前作のエンドコンテンツまで回収していることが望ましい)。一応タイトル画面で前作のあらすじを見ることはできるが、前作をクリアしていてストーリーの記憶があいまいなプレイヤー向けとしか思えないほどざっくりとしていて、初見のプレイヤーがこれを見て前作のストーリーを理解するのは困難だと思う。
 チュートリアルが用意されており全体的に設計は親切なため、今作がシリーズ初見でもゲーム面で困ることはないと思うが、前作の知識がない状態だと間違いなく今作のストーリーを十分に楽しめないと思われる。

 ゲームとしての基本的な部分は前作を踏襲しており(操作面もほとんど同じ)、前作をやっていればすんなり理解できる。何もかもが前作と同じというわけではなく、フィールド上の新たなギミック、新武器などの追加要素で飽きさせない工夫がきちんとされている。
 元々前作が面白かったので今作もやろうと思い、個人的には今作も順当に(というより前作以上に)面白かったという感想。美麗グラフィックと豊富な探索要素、そして個性的なキャラクター群は相変わらずなので前作を楽しめた人なら間違いなく楽しめると言える。ストーリーも続編への布石を残しつつも綺麗な終わり方でよかった(昨年中にクリアできていれば2022年の個人的ベストゲームとして紹介していただろう)。
 しかし、「前作の延長線上にある」ということがこのゲームの最大の長所かつ短所であり、新たにやるなら前作とセットで、というのは強く主張せざるを得ない。シリーズ初見のプレイヤーに単体でおすすめするのは厳しい作品。

Ghost of Tsushima DIRECTOR’S CUT(PS5)

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 半オープンワールドのアドベンチャーゲーム。鎌倉時代にあった蒙古襲来(元寇)をモチーフとしており、現在の長崎県にある対馬(對馬国)が舞台。
 蒙古軍の襲来を受け、主人公の武士・境井仁は叔父の志村と共に他の武家を引き連れ立ち向かった。しかし、あえなく敗れ自身と志村を除いて自軍は全滅、志村も蒙古軍の将軍コトゥン・ハーンに捕らわれてしまう。野盗の女ゆなに命を救われた仁は、志村を救い出して侵略者を故郷から追い出すために再び立ち上がる。

 基本はオープンワールド形式で探索要素が豊富に用意されているが、目的地を設定するとその方向に風が吹いて雰囲気を壊さず案内してくれたり、未発見のロケーションに近づくと地図上で案内を出してくれたりなど、基本的に親切に作られている。景色もかなり美しく、ゲーム内で時間帯・天候の変化もあるため色々見て回るのも楽しい。サブクエストも豊富で本編だけでもかなりボリュームがある。
 また、戦闘面もチュートリアルが丁寧で特に困ることはなかった。一対多の戦いになることも多いが理不尽さを感じさせないようにきちんと調整されている印象を受けた。

 個人的によかったのはストーリーと演出の部分。
 まず、メインクエストでもサブクエストでも蒙古軍の侵略行為の残忍さがこれでもかと描写されており(サブクエストは蒙古軍の侵略から民を助ける内容のものがほとんど)、對馬解放を目指す主人公仁に感情移入しやすい設計になっている。
 仁は武士であり、武士としての誉れある戦い方、つまり正々堂々と正面から敵に立ち向かう戦い方のみを是とするよう育てられてきた。しかし、圧倒的規模を誇る蒙古軍に対してそのような戦い方を貫いていては勝てないと悟り、背後からの闇討に始まる誉れを捨てた戦い方をしていくようになる。
 ゲームとしても進めるにつれてこういった誉れを捨てた戦闘手段が増えていくので、縛っていない限り必然的に(プレイヤー自身の判断においても)そのような戦い方に手を出すことになる。
 同じ志を持っていたとしても、一部の武家にとって仁の行為は受け入れがたいものであり、築いた協力関係に次第に歪みが生じていく。そのさなか、メインストーリーが終盤に差し掛かった際の展開は衝撃的ではあるが、全てを投げうって民のためにその身を捧げる仁の姿に心動かされること間違いなし。

 開発はアメリカの会社だが、日本を舞台にしたゲームを作り日本語に翻訳するにあたってはかなりの手間がかけられている。あるメインキャラの日本語版ボイス収録においては、プレイヤーの感情に訴えかけるため、英語版と演技の傾向を変えているなどかなりこだわって作られている(参考)。ローカライズについてはニュアンスを含めた正確な翻訳をするという域を超えており、日本語版独自の雰囲気が(意図して)作られていると言っていい。個人的には非の打ち所がない。
 いい意味で開発者たちの魂を感じるゲームだった。今年という枠を超えてこれまでプレイした中でもかなり好きな部類に入るゲーム。非常におすすめ。

Solar Ash(PC)

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※未クリア

 3Dのアクションゲーム。あらゆるものを飲み込もうとする巨大なブラックホール「Ultravoid」が存在する世界で、故郷の惑星を守るために戦いながら世界を旅することが目的。

 ストアページで「重力の常識が通じない世界観」と謳っているとおり、現実の物理法則を逸脱した疾走感と浮遊感のある操作性が売りと思われる(※少なくとも自分がプレイした範囲では無重力というわけではない)。

 グラフィックや音楽、世界観は悪くないと思った。
 ただ、戦闘が単調である(これはボス戦において特に顕著で、A地点で特定の操作をする→制限時間内にB地点までたどり着いて特定の操作をする、の繰り返しでしかない)点と、探索の利便性がそんなに高くない(自分のやった範囲ではファストトラベルがなかった)点、あまりはっきりしたストーリーがないらしい点が個人的な好みにあまり合わなかった。
 結局「悪くない、けど……」という域を抜けず、プレイする気力が続かなかった。

 あと自分の場合結構画面酔いして1時間くらいで限界に達してしまった。いわゆる雰囲気ゲーに近いような気もするので雰囲気が好きな人はやってみてもいいと思うが、少なくとも画面酔いしやすいという自覚のある人には勧められないと思う。

NEEDY GIRL OVERDOSE(PC)

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 ジャンルとしては育成ゲームに近いと思う。承認欲求の強い女性あめちゃん(サムネ左)は配信者「超絶最かわてんしちゃん」(サムネ右、以下超てんちゃん)としてデビューすることを決意する。プレイヤーは彼女を1か月でフォロワー100万人超えの配信者に育て上げることが目的。

 フォロワーを獲得する主要な手段は配信。まず、プレイヤーは何かしらの行動(ゲーム、あめちゃんとの交流、ネットサーフィン、外出など)をして配信のネタ探しをしなければならない。1日に行動できるチャンスは最大3回(昼、夕、夜)で、配信ができるのは夜のみ。
 彼女にはフォロワー以外に「ストレス」「好感度」「やみ度」のステータスが存在し、いずれもプレイヤーの選択した行動によって変動する。ステータスが0になったりカンストまでいくとその時点でだいたいそれ専用のエンディングに移行してしまうので、フォロワーを増やしていくにはステータスを調整しつつネタ探しと配信を繰り返す必要がある。いずれにせよゲーム内で30日経過するとエンディングとなる。
 最初に育成ゲームに近いと書いたが、ゲーム内で提示される目標(30日以内にフォロワー100万人)はちょっとやれば達成できてしまうレベルに簡単なので正直育成シミュレーション系ゲームとしての質はそんなに高くないと感じた。

 このゲームのメインコンテンツは間違いなく超てんちゃんのフォロワーを増やすことではない。
 ステータスに「やみ度」がある点から察せるところではあるが、超てんちゃんを演じるあめちゃんは精神的な不安定さを抱えている。プレイヤーは彼女の「ピ」の立場から、超てんちゃんとしての彼女だけではなく等身大の彼女の姿も見せられる。
 ゲームではLINEを模したテキストチャットの画面とX(旧Twitter)を模したSNS画面が常に表示されており、テキストチャット画面ではあめちゃんから頻繁にメッセージが送られてくる。ごくたまにだが返信することも可能(ただし本筋のストーリーには影響しない)。
 またSNS画面では超てんちゃんのアカウントだけではなくあめちゃんとしての裏アカウントの投稿も見ることができる。インターネット・エンジェルを自称する超てんちゃんとしては比較的無難な投稿をしている彼女も、裏アカウントやピ相手のチャットでは情緒不安定さ(と性格のよろしくなさ)を存分に見せつけてくる。このあたりの内容もプレイヤーがどのような行動をとったかで細かく変化しあめちゃんの人格が生々しく描写される。
 あめちゃんは情緒不安定で、承認欲求が強く、ピにもたれかかることをいとわないいわゆる面倒くさい女だが、そんなあめちゃんへの感情移入の強さがゲームに対する評価の高さとほぼイコールになるのではないかと思う。

 それを踏まえ自分にはそこまで刺さらなかった。
 エンディングは20個以上存在し、細部のセリフの変化なども含めてかなり作りこまれているとは感じるが、周回することを前提に考えると操作性がそこまでよくないことから、正直自力でエンディングを全回収するほどの気力は湧かなかった。
 またあめちゃんに対して深く感情移入した人に対して強い精神的ショックを与えるようなエンディングが複数存在する(というか、それがこのゲームの目的なのではないかとすら感じた)ため、あまりプレイすることを勧められるタイプのゲームではないなと感じた。
 少なくとも自身が精神的な不安定さを抱えている人や、身近にそういう人がいてしんどい思いをしたことがある人には絶対に勧められない。
 ただ、人は選ぶものの適性を持った人にとっては生涯忘れられない一作になる可能性を秘めているゲームだと思うので、気になったら覚悟の上でプレイしてみてもいいかもしれない。

余談

 これはゲームとしての出来栄えに無関係なことなので余談としたが、あめちゃんは設定上精神疾患を抱えている(ゲーム内で診断名が明らかにされることはないが、少なくとも双極性障害については公式に明言されていると言っていい)。ゲーム上も精神科病院に通院している描写が存在する。
 ただ、プレイした上での主観的な感想として、あめちゃんが精神疾患の患者であるという設定は、あくまでキャラクター性を補強するスパイスとしてしか扱われていないように感じた(特にやみ度が0になった際のエンディングは人によっては脱力ものだろう)。

 起動後真っ先に「現実と創作の区別がつけられない人はプレイしないでね」という趣旨の注意書きは出るものの、プレイするにあたっては精神疾患の患者を(疾患を治療せずに生活することを前提に)エンタメとして描いている作品であるということを念頭に置くべきだと思う。それが受け入れられないのであればプレイすべきでない。

Thymesia(PC)

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※未クリア

 3DアクションRPG。世界を死の疾病が覆い、病に対抗する錬金術の代償によって壊滅状態と化したヘルメス王国が舞台。プレイヤーは記憶を失った主人公・コーバスとして、世界のあちこちに落とした自身の記憶を探す旅に出る。

 自分がこのゲームに期待していたのは面白い戦闘だった。回避とパリィ(の判定)が非常に強い設計であり、レビューではその戦闘システムをSekiroとBloodBorneに例えるようなものが多い。しかし、自分が期待しすぎだったところもある(のとSekiroが非常に個人的に好きなゲームであることの影響もある)と思うが、正直言って戦闘システムに似通った点があるにすぎずこれらと比肩するレベルの完成度ではないと感じた。

 Sekiroの敵にはHP以外に体幹ゲージというものがあり、これを削りきることでHPが残っている敵も(ボス含めて)倒すことができるという仕様になっている。このゲームの敵にも似たようなゲージが存在するのだが、HPが減っていてそれより多く体幹ゲージが残っている場合、一定時間でHPが体幹ゲージの値まで回復してしまう。また、基本的に体幹ゲージを削りたい場合はHPを削る攻撃とは別のコマンドを入力する必要がある。結局色が変わっただけのHPゲージが2本あるような印象を受けてしまい、これがテンポを悪化させていると感じた。
 上記仕様により積極的に攻めることが推奨されているゲームなのは理解できるが、BloodBorneに存在するリゲイン(攻撃を喰らった直後に反撃することで失ったHPの一部を取り戻せる仕様)は存在せず、積極的に攻めることのインセンティブが弱いようにも感じた。
 また(これはこちらの腕のなさとキャラクターの育成不足が原因かもしれないが)自機にダクソシリーズで言うところの強靭度がほぼなく、ちょっと攻撃を喰らってしまうとすぐノックバックしたり吹っ飛ばされたりするのでイライラすることの方が多かった。

 例に挙げたゲームとは価格帯が異なるので色々と異なってくるのは当たり前ではあるが、これからプレイする人は〇〇ライクというような観点ではなくあくまで「パリィと回避主体の戦闘システムのゲーム」ととらえた方が良いと思う。

 ただ、気力(MPみたいなもの)を使用しての大技の発動や、BloodBorneのいわゆる銃パリィに近い仕様(敵の大技の発動直前に遠距離攻撃を仕掛けることでカウンターが可能)を備えているなど、単なる追随とは言えないほどの独自性はしっかり兼ね備えている印象だった。
 個人的には戦闘が面白いと思う前に飽きのほうが来てしまったが……。

Cult of the Lamb(PC)

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 要素としてはいろいろあるけどアクションがメインと思われる2Dゲーム。
 古い信仰に基づいて処刑された子羊は、「待ち受けし者」と名乗る異形に救われ再びの命を得る。授かった黒い王冠の力を使い教祖となって、新たな信仰を集め、古い信仰の対象となる神々を一柱残らず粛正することが目的。

 やれることは大まかに「拠点運営」と「聖戦」に分かれている。
 子羊および黒い王冠の力の源は信仰であるため、信者たちの信仰を保ち続けられるように、また多くの信者を集めることができるように、拠点の設備を充実させることも目的の一つである。加えて信者は基本的に自分で食事を作ったり衛生を保ったりすることができないので、この辺の世話をしてやることも教祖の役目である。
 新たな信仰の教祖たる子羊は、「聖戦」と称して古い信仰の根付く地に殴り込みに行くことができる。聖戦では拠点の設備を作るために必要な資材が入手できるほか、自分と同じように生贄にされつつある者を助けることで新たな信者を獲得することもできる。
 聖戦中も時間は進行するため、聖戦から戻ったら信者にご飯をあげるなどの世話をし、準備できたらまた聖戦に行く、ということの繰り返しとなる。他、信者に対して説教をする、信者に話しかけて祝福を授けるなどのアクションによりさらに信仰を獲得し、聖戦を有利にする要素をアンロックすることができる。

 メインのクリア目標が特定の敵を倒すことなので戦闘メインのゲームだと思われるが、拠点でやることは意外に多く結構忙しい。ただ拠点運営の方は雑にやっててもわりとなんとかなる。

 戦闘の方はカジュアルなローグライクダンジョン系で、近接武器と呪い(回数制限付きの遠距離攻撃)で戦う。武器は最初にランダムで支給されるほかダンジョン内で新しいのを拾えば入れ替えられる。また、道中ではパッシブ効果を持つタロットカードを拾うことができる。
 武器、呪い、タロットカードについては、死ぬかダンジョンをクリアすると失われ引き継がれることはない(武器や呪いなどの要素については主に拠点でアンロック可能)。

 テーマこそヤバいものの全体的に親切で完成度は高い。(難易度ノーマルで自分の場合クリアまで13時間ちょっとだったので)壮大な大作というわけでもないが、サクッと遊べるカジュアルさはむしろ高評価。アップデートでクリア後のやりこみ要素も追加されたのでボリューム面でも値段以上になったと思う。おすすめ。

DEATHLOOP(PC)

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※未クリア

 一人称視点のアクションRPG。戦闘は銃撃戦がメイン。同じ一日が永遠に繰り返される「ループ」の中にあるブラックリーフ島が舞台。すべての記憶を失い島の海岸で目覚めた男コルトは、自分を殺そうと付け狙う女ジュリアナに翻弄されつつ、島を覆う「ループ」を破るために奮闘する。

 一日で行動できるのは朝、昼、午後、夜の4回。なお何も行動せず時間だけを進めることも可能。夜が終わるとその日がループして朝に戻る。その間に倒した敵や動かしたステージギミックもすべて元通りとなる。アイテムやスキルに関しては、専用のポイントを使うことで翌日以降に引き継ぐことが可能。
 死んでもループして蘇るのはプレイヤーであるコルトも例外ではないが、コルトが死亡した場合はその日の朝からやり直しになる。ただし、一日に2回だけ死の直前からリスタートできる(3回目に死んだらやり直し)。
 このリスタートは回数を無制限に設定できるほか、敵が一撃で倒せるようになる設定もあり、難易度緩和設定についてはかなり親切な印象を受ける。

 ゲーム上はこれが判明するまでがチュートリアルのようなものだと思うので言ってしまうと、一日(=朝からその日の夜が終了するまでの間)で8人のターゲットを全員殺害するというのがループを破る条件である。
 ターゲットは4つあるマップに点在しており、また同じマップでも時間帯によっていたりいなかったりする。
 コルトとジュリアナ以外の人物は、上記のターゲットを含めて同じ一日を繰り返しており、何も干渉しなければ何回ループしても全く同じ行動を取る。
 コルトの行動はその日の対象の行動に影響を及ぼすことができる(例えば昼にマップAで特定の行動をすると、通常はマップBに来ないターゲットが夜間のマップBに来るようになる)ため、これを利用して4回の行動で8人を殺害できるように工夫する、というのがクリアまでの道筋となる。

 ゲームシステムの斬新さと豊富な探索要素は良いと思ったが、ゲームの性質上同じマップの探索を何度も繰り返すことになってしまう(ゲーム内できちんとフラグを立てないとストーリーが進行しない仕様であるためそうせざるを得ない)ことに対する億劫さが途中で好奇心や楽しさを上回ってしまいクリアを断念してしまった。
 また、ストーリーの進行のためにステルスを要求される箇所がいくつかあり、それに失敗したらその時間帯の探索を最初から(最悪の場合は一日の初めから)やり直さなければいけない、という点にかなりストレスを感じてしまった。
 それらの仕様に説得力を与えるストーリー性はきちんとあったと思うが、それと繰り返しを楽しめるかどうかは別の話だった……。
 上記が自分にとって致命的な欠点だっただけで完成度そのものは高いと感じたので、上記があまり気にならないかもという人は最後まで楽しめるかもしれない。

Light Infantry(PC)

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※未クリア

 2D横スクロールアクションゲーム。クリア不可能な難易度に設定されているゲームを、「バグの神様」から授かったバグの力を使って無理やりクリアしてしまうというコンセプトのゲーム……多分。

 というのもこのゲームは面白さが分かる前に中断してしまったので仕様面では語れるほどの理解度がない。バグと言っても敵が全滅するとかいきなりエンディングを呼び出すとかの派手なやつではなく、攻撃ボタンを押すと自機からバグビームとでも言うべき何かが発せられるのか、目の前の敵やブロックのグラフィックが乱れるくらい。
 本来攻撃を喰らったら一撃死なのだが、バグった状態の敵は攻撃してこなくなるのでこれを駆使して進行するものと思われる。
 ただ、自分の操作でどこがどうバグったのか、また次にバグらせるとどうなるのかなどの説明は一切なく、バグビームを敵に何度も浴びせているといきなり元通りになって攻撃してきて即死したりする。こうした仕様としてのバグの規則性を見抜くところから試行錯誤を楽しむというゲームなのだろうなとは理解できたが、残念ながら自分がプレイした範囲では楽しいと感じられなかった。

CARRION(PC)

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 ドット絵のグラフィックが印象的な2Dアドベンチャー。(研究対象だったと思われる)謎の怪物を操作し、研究施設からの脱出を目指すゲーム。
 公式としてはホラーゲームのくくりのようだが、プレイヤーは人間たちに恐怖を与える側なので通常のホラーゲームがダメな人もプレイできそう(ただ、ドット絵なのでそこまで緻密な描写ではないにしてもゴア表現があるのでその辺がダメな人はダメだと思う)。

 プレイヤーは赤い触手のバケモノになり、行く手を阻む人間どもをぶちのめしつつ進む。バケモノの耐久性はそこまで高くなく、武装している人間に囲まれるとあっという間に死んでしまう。このためある程度の戦略は必要になり、圧倒的パワーでゴリ押しというのは難しい。
 ただマップがほぼ一本道なことも考えると難易度としてはカジュアルな部類だと思う。

 クリアまで3~4時間程度のボリュームで、特筆すべき派手な要素や演出があったわけではないが、グラフィックと音楽のクオリティが高く世界観への没入はばっちりできた。
 「研究所から逃げ出した怪物になって人間をぶちのめす」というコンセプトに魅力を感じるかどうかがすべてであり、それを求めている人にとってはこれ以上ない体験ができると思う。

Hi-Fi Rush(PC)

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 リズムアクションRPG。人体に機械を組み込むことでよりよい生活を送れると謳う「アームストロング計画」に参加した青年チャイが主人公。機械化の際の異物混入が原因で不良品扱いされ、追われる身となったチャイは、ある人物と出会ったことがきっかけでアームストロング計画の真の目的を知り戦うことになる。

 通常のアクションゲームと異なるのは、戦闘において攻撃・回避・パリィなどの全てのボタン操作をBGMのリズムに合わせることが求められるという点。正直これはプレイしたうえである程度慣れないとどういうシステムか理解しづらいと思うが、チュートリアルがかなりしっかりしているため問題はない。
 メインのストーリーはチャプター制であり、一本道で戦闘が発生するタイミングは決まっている。戦闘ごとにスコアが算出されS~Dランクで評価されることも特徴で、より複雑なコンボを発生させたり、早く戦闘を終わらせたり、ボタン操作をリズムに合わせてジャストタイミングで行ったりすることでよい評価になる。またクリア後は任意のチャプターを選択してやり直すことができる。
 慣れは必要だが戦闘はかなり斬新で面白かった。最低難易度であればボタン操作のタイミング判定が緩くなるため苦手意識があっても楽しめると思う。

 ストーリーのボリュームはそこそこでまとまっているが、王道な感じで味方キャラクターに対する愛着がいい感じに湧いてよかった。デザイン面でもすっきりまとまっていて、世界観の統一という側面でグラフィックの完成度もかなり高い印象を受ける。全体的に減点法で考えてもなかなか減点すべき点が見つからない高水準なゲームだった。

 ただ一つ言うとすれば、(上記仕様の兼ね合い上仕方ないとは思うが)リプレイ性があまりよくないと感じた。
 クリア後のエンドコンテンツとして、特定チャプターにはクリア後にしか行けない場所が存在するのだが、そこに行くためにはそのチャプターの最初からやり直してその場所に行けるまでチャプターを進める必要があり、正直面倒くさく感じてしまった。ボリューム的にメインストーリーを一周するだけだとちょっと割高と感じてしまう値段なので、この辺がもう少しいい感じに楽になってくれればよかったかな……。

 とはいえメインストーリーを一周するだけでも面白かったので総合的にはかなりおすすめ。

CODE BROWN(PC)

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※下品な内容が含まれるためストアページ等の閲覧注意

 ジャンルとしてはアドベンチャーになるのだろうか……?
 主人公は排泄がしたいが、付近にトイレはなく社会的地位を失う危機に瀕している。3つのステージから1つを選び、制限時間内にマップの排泄可能スポットを探してぶちまけ、危機を脱することが目的。

 操作はWASD(または十字キー)で移動+スペースキーでアクション(排泄含)というシンプルなもの。基本的に排泄可能スポットには誰かが陣取っており、そのままでは排泄ができないため、別の場所でアクションを起こして人を移動させるなどして一人きりの空間を確保してから排泄を開始する必要がある。
 排泄中はスペースキーを連打することで排泄ゲージが上昇し、短い時間でより多く出すことができるが、ゲージが高い状態だと尻をしまうまでに時間がかかる。尻を出しているところに人が戻ってきてしまい発見されてしまえば当たり前にアウトである。また制限時間を過ぎて決壊してしまっても当たり前にアウトである。発見されるギリギリのタイミングまでうまく排泄をやり切るとスコアが高くなりランキングが狙える。

 ゲームとしては正直ギミックを覚えて排泄をするだけなので値段に見合うボリュームがあるかと言われると微妙な感じだが、全体的にユルい絵柄とダークなネタがある種の世界観を生み出している。そういったブラックジョーク的なノリが嫌いでなければ割と楽しめるのではないかと思う。

両手いっぱいに芋の花を(PC)

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 3DダンジョンRPG。地下迷宮の最奥に眠ると言われる芋の種を発見し、食糧危機に陥った世界を救うことが目的。

 ゲーム開始後はまずダンジョン攻略のためのキャラクターメイクをする必要があり、3名でパーティを組ませて出発する。同時にキープしておけるキャラクターは8名までで、キャラメイク時は全8種からジョブを選択できるほか、種族・目の色・髪の色など見た目をカスタマイズすることが可能。

 探索においてはダクソ的なショートカットが随所に用意されており、キャラクターを鍛えつつ徐々に行動範囲が増えていく面白さがあった。デスペナルティが全くなく、戦闘を終えればキャラクターのHPは全快し、コマンド操作で拠点まで即座に戻れるなど、試行錯誤しながら繰り返し攻略に挑むことが容易な仕様となっている。
 また、フレーバーテキスト等細部まで世界観構築が非常に丁寧に行われており、ストーリーもかなりしっかりしていた。ストーリーで魅せることがメインのゲームではないと思うが、クリアしたときにはちょっと目頭が熱くなってしまった。

 戦闘はシンボルエンカウントのコマンド式で、行動を選択する前に敵サイドの行動がすべて判明しているのが特徴。戦闘を終えても回復しないステータスがあるため、探索中の戦闘はある程度慎重に行う必要があるが、大ボスの前にはショートカットが用意されておりボスには全力で挑める。
 バランスは若干大味な印象を受けたものの、先述した試行錯誤が容易な仕様から特に不満は覚えず、要所要所で達成感を得られた。

 (決して悪い意味ではなくプレイヤーへのやさしさを随所に感じるという意味で)気持ちよくプレイできるように全力で接待してくれているゲームという感じ。全体的に非常に完成度が高い作品だと思う。かなりおすすめ。

BYTEPATH(PC)

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 レトロゲームっぽいグラフィックが特徴的な2Dのシューティングゲーム。プレイに明確なゴールは存在せずできるだけ長く生存することが目的。
 プレイ中に得られるポイントを使用し、多数存在する自機のアップグレードをちょっとずつ購入していってより長期の生存を目指す。強化要素には機体そのものの変更、パッシブ効果の購入、スキルツリーの開放の3つがあり、これらの間にはシナジーが存在する。なお日本語非対応だが説明文は理解不能なレベルで難解ではない。
 一定時間以上生存してクリア条件を満たすと、次の周に行けるようになり、次の周ではその周のアップグレードがすべてリセットされるがアップグレード上限が上がる。これを繰り返すことでアップグレード度合を爆裂にインフレさせて楽しむゲームらしい。自分は1周目終了後にこれに気づいたが1周して満足してしまった。
 ビルド構築が肝のゲームで、強化要素の多さからハマれば価格のわりにかなり遊べそうな感じはするので気になったら買ってもいいかもしれない。

FINAL FANTASY XVI(PS5)

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公式サイト

 超有名RPGシリーズの最新作。
 クリスタルを介して魔法を使い生活する一般人、クリスタルなしで魔法を使える奴隷階級”ベアラー”、強大な召喚獣の力を自在に操れる”ドミナント”が暮らす地ヴァリスゼアが舞台。
 大公家に生まれた主人公クライヴ・ロズフィールドは、召喚獣フェニックスのドミナントである弟ジョシュアを守るために鍛錬に励んでいたが、ある惨劇に巻き込まれたことで人生が一変する。

 シリーズ初の本格アクションRPGを謳っているだけあってアクション部分は結構作りこまれている。といってもとにかく親切に、間口を広くすることに特化している感じで自分の好みからは若干外れるが、エフェクトが派手で動きがかっこいいので爽快感があった。
 一周目の難易度はかなり低い部類と感じ、なおかつ任意で回避やポーション使用などを自動化できるため、アクションが苦手という人も問題なくプレイできるだろう。

 徹底した親切さがあるのは戦闘面だけではない。このゲームはストーリーが結構壮大で専門用語も数多く登場するが、特定のボタンを長押しすることで、ストーリーに登場した専門用語等の解説がいつでも(ムービー中も含めてほとんどの場面で)見られるようになっている。これを随時見ることが前提とされているような気もしないでもなかったが、登場人物もかなり多いので理解の大きな助けになったことは間違いない。

 ストーリーに関してはメッセージ性含めて王道で、主人公一行の行動原理に対してはちょっと意見が分かれそうと感じたものの、順当に熱い場面も多々あり十二分に楽しめた。

 他のシリーズ作品はほぼやったことないので「ファイナルファンタジーシリーズ」としての評価は自分にはできないが、ストーリー性の高いゲームを求めているのであれば文句なしにおすすめ。

Stray(PC)

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 アクションRPG。家族とはぐれて謎の街に迷い込んだ野良猫が主人公。道中に出会った小型ドローンのB-12と協力しながら、人がいなくなって久しい妖しげな街からの脱出を目指す。

 まず主人公が猫ということもあり猫の作りこみがかなりすごい。自分は猫が特に好きというわけでもなく飼っていた経験もない立場ではあるが、「これは猫にモーションキャプチャーをさせているのでは?」と思うレベルと感じた(実際のところは不明)。家具やドア等で無意味に爪とぎができたり、猫を飼ったことのある人からするとあるあるなんだろうなと思える描写も結構あった。
 ということで猫が好きな人向けのゲームと言いたいところだが、ムービー上で猫がしんどい思いをしている描写があり、(そもそもアクションゲームなので)自分の操作次第で猫が死ぬ可能性すらあるため、猫が好きな人ほどつらくなってしまう恐れがある。死の描写自体はオプションでオフにできるが、倒れる瞬間が見えなくなるだけで「これ死んでるよね……」という印象は避けられない感じの演出で、ショックを軽減する効果は薄いような気もする……。
 難易度自体は優しめだが、完全に初見で一度も死なずにクリアできるか?と言われるとちょっと厳しい気もするので、猫が大好きな人は覚悟を決めてからプレイしたほうがいいかもしれない。

 猫以外の部分も結構作りこまれており、道中訪れることになるいくつかの街はそれぞれ別の雰囲気があり歩いているだけでも楽しい。主人公は当然喋れないがB-12は喋れるのでストーリーや世界観も思ったよりしっかりと描写されておりプレイ後には余韻が残る感じでよかった。自分の操作で猫が死ぬ(かもしれない)ことにギリギリ耐えられるのであればおすすめ。

メグとばけもの(PC)

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 RPG。主人公ロイ(サムネ左)と友人のゴランは魔界に迷い込んだ少女メグ(サムネ右)と出会い、どういうわけか彼女の世話をすることになる。最終的にメグと母を再会させるため、人間界へ彼女を送ることになるが……。

 「少女が泣くと世界が終わる」という特徴的なキャッチコピーが示すとおり、メグが泣いてしまうとなぜか世界が滅亡してしまう設定のため、ロイは常にメグをあやしつつ戦闘をしなくてはいけない。難易度設定としてはめちゃくちゃ優しく、本筋は完全に一本道のため、RPGというよりはノベルゲーに近いプレイ感。

 情緒を知らないロイがメグとの交流で徐々に心を開いていく描写も良かったが、何より終盤の演出が良く、難易度的におまけ程度かと思われた戦闘もしっかり演出に組み込まれておりかなり心が動かされた。ボリューム的にやや割高感はあるが満足感は高くストーリー性の高いゲームが好きなら間違いなくおすすめ。

ビビッドナイト(PC)

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 デッキ構築型ローグライク。主人公の輝石姫アメリは、黒の魔女によって宝石に変えられてしまった王や国民を救うため、単身でダンジョンに乗り込む。もちろん最終目標はダンジョン最深部にいる黒の魔女を打倒すること。

 拾った宝石(ユニット)でパーティを組んで強くしていくのがメインのゲーム。敵への攻撃は編成したユニットが自動で行い、プレイヤーはアイテムを使用して戦闘を補助することしかできないため、編成がかなり重要となる。パーティ強化の手段は主に2つ。
 1つ目はユニットそのものの強化。同じユニットを3つ集めるとアップグレードが可能となり、ステータスが向上する。さらにアップグレード版ユニットを3つ集める(同じユニットを計9つ集める)ことにより2度目のアップグレードが可能。
 2つ目はシンボルの収集。ユニットはそれぞれシンボル(色・属性)を2種所持しており、パーティ内の同一シンボル数が一定以上になるとシンボル固有のバフ効果が発動する。例えば緑のシンボルをたくさん集めるとパーティ内のユニットの最大HPが増加するなど。
 このため同じシンボルを持つユニットでパーティを固めるのが強いが、重要なのは「アップグレードしたユニットが持つシンボルはパーティに入れなくてもシンボル数のカウントに加算される」という仕様。シンボル(=バフ)集めのためには、メインのパーティを育成しつつパーティに編成しないユニットも集めてアップグレードしておく必要がある。

 ユニットの最終アップグレードはかなりハードルが高いため、ユニット自体の最大強化を狙うよりシンボルを集めまくってバフを盛りまくる方がより重要というバランスになっている。ユニットそれぞれのスキルのシナジーも加味しつつパーティを組み、その上でどのシンボルを収集するかの取捨選択が肝要なゲーム。

 グラフィックがかわいいのもあり楽しめたが、どうも自分はデッキ構築型ローグライクというジャンル自体がそこまで好みではなかったようでそれをこのゲームで実感してしまった。このジャンルが好きな人であればおすすめできる。

溶鉄のマルフーシャ(PC)

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 2Dのハイテンポシューティング。国軍に徴兵されたマルフーシャは、衛兵として国境の門を防衛する任務にあたるが、徐々に敵の攻撃は激しくなっていき……。

 シューティングゲームだが基本的に自機に当たり判定はない。自国領土の門を守ることが目的のため、門めがけて攻め込んでくる敵国の機械兵をひたすら撃ち落とす。
 1ウェーブ(1日)が終了するとわずかに賃金が貰えるため、これを使って自機のパワーアップや新たな銃の購入をすることで防衛をやりやすくできる。この辺の出費が自腹だったり、門がボロボロになった場合賃金から修理費が天引きされたり、そもそもそうでなくても賃金からは恐ろしい額の公租公課等が天引きされていて手取りは支給額の10%未満だったりと、序盤からマルフーシャの祖国の色々アレな状況を察することができる。全体的に世界観は陰鬱である。
 ウェーブ終了後の強化はランダムで選ばれた3種の中から1種を選択する形式。有料でリロールもできるし何も購入しないで1日を終えることもできる。このため運は若干絡むが、普通にクリアしたいだけなら難易度はそこまで高くない。

 自機以外に仲間を1人雇用することができ(もちろん自腹)、雇用するとマルフーシャと仲間との絡みが見られたりする。仲間キャラは7名おりがっつりとした掘り下げはないがそれぞれ個性があってかわいい。

 ストーリーが楽しめるメインモードと、生存日数が競えるチャレンジモードの2種があり、チャレンジモードの方はマルフーシャ以外のキャラも自機として使える仕様で、やりこみ要素も充実している。

 ストーリーの方はまあ自身の目で確かめてほしいのだが、陰鬱さに魅力を感じられるかどうかがすべてという感じ。複数エンディングがあるものの、メインモード自体の難易度が高くないため色々なエンディングを見ようとすると結構作業感が強くなってしまった感はある。ただ価格以上に面白いゲームだと思うのでおすすめ。

Little Witch Nobeta(PC)

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※未クリア

 三人称視点の3Dアクションシューティングゲーム。主人公の少女ノベタは、自身にまつわる謎を解くために謎めいた古城へと足を踏み入れる。

 基本アクションはダッシュ・ジャンプ・ローリング回避、攻撃手段は杖での殴打と遠距離攻撃の魔法。魔法については魔力を消費して発動させる。
 魔力はゆっくりと自動回復するが、敵を杖で殴ったり敵の攻撃をタイミングよく回避したりすると大きく回復するため、魔法による遠距離攻撃だけでなく程よく近接戦闘も行うことで効率よく敵を倒せる。

 所謂死に覚えゲーと思われるのだが、その割に自機の死亡時・復活時の演出がいちいち長くストレスを感じた。復活時のキャラの挙動はかわいらしさの演出と言われれば納得できるものなのだが、死亡時についてはスローモーションになっているだけなのでなぜわざわざテンポを悪化させているのか全く分からなかった。
 チュートリアル的なステージとその次のステージのボスを倒したところで、これ以上楽しんでプレイすることは困難だと判断した。
 ストーリーも存在するが、(序盤なのでしょうがないにしろ)あまり明確なものではなく、その段階で出てきたキャラクターは正直プレイを続けるモチベーションになるほどの魅力を感じるものではなかったため、プレイ継続を断念した。

 ただ主人公及び一部ボスキャラの造形はかなり気合が入っており萌え系キャラクターとしてクオリティが高い。主人公のモーションも(個人的にアクションゲーとして見るとテンポ悪くてイラついたが)かわいい。
 「ロリダークソウル」という趣旨のレビューがされていたことで有名(?)な本作だが、ダークソウルシリーズのアクションゲームとしてのクオリティを10とすると甘めに見ても6くらいの完成度という感じがした。
 「キャラがかわいい」という要素でその差に目をつぶれそうならまあやってみてもいいとは思う。でもレビュー見ると開発元のアーリーアクセス時の行動にはかなり問題があったようなのでおすすめはしないかな……。

常世ノ塔(PC)

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※未クリア

 2Dアクションゲーム。24時間ごとに構造が変化する塔に迷い込んだ主人公は、塔から脱出するために頂上を目指す。

 塔の中には敵がうろついている他ギミックもあるため、ジャンプと攻撃スキルを駆使し、ひたすら塔を登っていく。アクションと書いたが、敵を倒せる手段は攻撃スキルのみで、しかもスキルには30秒ほどのクールタイムがあることから、実際は避けゲーに近いプレイ感となっている。

 マップが日替わりで自動生成、道中には強化アイテムも落ちているということで、なんとなくローグライク系っぽいイメージを持ちそうだが、実際はアイテムの入手頻度はそこまで高くなく、アイテムの引きよりもプレイスキルに左右される感じ。

 ただ、マップが窮屈で回避が思うようにいかない場面が多いこと、その上食らってしまうと操作が反転する攻撃などのめんどくさいギミックも多いこと、同じフロアに長時間とどまり続けるとペナルティがある割に移動床などの待たないと先に進めないギミックが多いことなどから、全体的に爽快感が乏しいと感じてしまった。
 また、プレイ開始のタイミングで毎回主人公キャラクターのストーリーを見せられる点がテンポが悪いと感じ、繰り返しプレイするモチベーションを削がれてしまった(これはスキップ可能だが、2回操作をしないとスキップできなくなっている)。

 プレイアブルキャラクターが多く、その上個人でのModによるオリジナルキャラクター作成がしやすいことも売りの一つなのだが、個人的にはそもそものゲームプレイがそこまで面白く感じられなかった……。

A Healer Only Lives Twice/ヒーラーは二度死ぬ(PC)

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 「両手いっぱいに芋の花を」と同じ開発者の作品。RPGっぽい感じだが、やることはひたすら戦闘のみである。ダンジョンの調査に向かった騎士と新米プリーストは、帰り道をモンスターの群れに塞がれてしまう。プレイヤーは新米プリーストになって、前線で敵を倒す騎士のサポートをしまくりダンジョンの脱出を目指す。

 騎士は頭部・胴体・左腕・右腕・下半身の5つの部位にそれぞれHPを有し、部位ごとのHPが尽きると重症状態となって部位に応じたデバフがかかる。すべての部位が重症になると騎士は力尽きてしまいゲームオーバー。手持ちの松明(リアルタイムで消耗)が尽きて闇に包まれてもゲームオーバーである。
 重症状態になった部位は回復を受け付けなくなるため、プレイヤーは各部位の残HPに注意してそれぞれの部位を回復していく必要がある。なお、重症状態は戦闘を終えると解消されるほか、戦闘中もスキルやアイテムで治療可能。

 プレイヤーが行わなければならないのは回復だけではない。レベルが上がるとバフ系のスキルも使用できるようになり、これも脱出のために重要。
 また、騎士はモンスターの群れと勇敢に戦ってくれるが、攻撃以外は何もしてくれない。攻撃ターゲットの決定、ドロップ素材を使用したポーション等の錬成、作ったり拾ったりしたアイテムの使用もプリーストの役目である。
 敵がどの部位に攻撃を仕掛けてくるのかは事前にわかるようになっているほか、特殊行動をしてくる敵もいるため、優先順位を付けながら倒していく。

 とはいえ敵の物量は圧倒的で、かつ松明という時間制限があるためすべての敵を1匹ずつ倒しながら進むというのはほぼ不可能に近い。敵の群れの中にはアイテムが紛れ込んでいることがあり、1個の群れにつき最低1つは松明をゲットできるが、敵をちまちま倒していると時間は到底足りない。
 打開策となるのが、これも群れに必ず1つあるアイテム・赤い玉(宝珠)で、これを使用することで騎士が強力な一撃を放ちその群れを全滅させることができる。
 赤い玉はドロップアイテムも経験値も全部吹っ飛ぶ諸刃の剣ではあるが、物量で押してくる敵をいなすためには必要不可欠。群れに紛れている松明と赤い玉を探し、両方見つかったら残党を赤い玉で吹っ飛ばして先へ進むのが基本戦略となる。

 戦闘がリアルタイムで進行する上にやることが結構多いので最初は訳も分からず全滅してしまうだろうが、このゲームはそもそもクリアまでに全滅を何回か経ることを前提としていると思われる。
 ゲームオーバー後は最終レベル・生存日数に応じたスコアが得られ、それがそのままスキルポイントとなり、次回以降の戦いを有利にするプリーストのパッシブ効果をアンロックできる。またアンロックした要素が反映されないEXモードもあるため、腕試し的なやりこみも可能。

 操作や仕様を覚えるまでのハードルはあるが、慣れてしまえば綱渡り的な戦闘がなかなか楽しい。アンロックによる難易度緩和もありクリア自体の難易度はそこまで高くないが値段以上に楽しめたのでおすすめ。

Lies of P(PC)

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 アクションRPG。いわゆるソウルライクで、基本的な仕様はダークソウルシリーズに寄せて作られている。というか全体的にめちゃくちゃそっくりであり、個人的にはダークソウル3に他ゲーから拝借した要素と独自要素を乗せたゲームという印象。

 戦闘にかかわる主な独自仕様は大きく3つ。
 1つ目はガードリゲイン。敵の攻撃をガードした後、即座に反撃することで減少したHPの一部を取り戻すことができる。これはBloodBorneから拝借したと思われる仕様で、適切なタイミングで反撃すればHPの減少がかなり抑えられ、ある程度ごり押しが可能となっている。
 2つ目はジャストガード。敵が攻撃してくる瞬間を狙ってガードをすることで、相手が体制を崩しやすい状態になり、致命の一撃を入れるチャンスが生まれる。
 これはSekiroから拝借したと思われる仕様だが、ジャストガードの判定が渋めなのと、致命を入れるためには体制崩しが可能な状態になってからさらに敵の攻撃の隙をついて溜め攻撃を入れるというひと手間が必要なため正直拝借元ほどの爽快感はない。
 3つ目は武器の錬成。多くの武器はブレード部分と柄部分に分かれており、両者がセットになった状態で入手できる。複数の武器を所持している場合、それぞれのブレードと柄をバラして好きなように組みなおすことが可能。
 基礎攻撃力はブレード、補正(どのステータスがどのくらい攻撃力に影響するか)と攻撃モーションは柄に依存する。素早いモーションを持つ短剣の柄と重量系のブレードを組み合わせて振りが速い高火力のオリジナル武器を作ったりできる。これは完全に独自の仕様で結構面白かった。

 仕様上ガードがかなり重要なゲームとなっており、この点でダークソウルシリーズとはちょっと違った立ち回りが要求される。敵のなんとも言えないディレイ攻撃やねっとりした敵配置はちょっとエルデンリング風味で(これはネガティブな意味)、全体的にフロムゲーのキメラといった感じ。
 アクション部分だけではなく、フレーバーテキストでストーリーを示唆するという見せ方自体もかなりダークソウルシリーズに似せていて、ダクソ3をめっちゃやった身としては新作ゲームなのにデシャヴを感じる不思議な作品となっていた(ただ、本筋のストーリーそのものは独自解釈を要するような難解さはなく明快である)。

 個人的に独自性の観点からは「激しくダクソ3っぽいゲーム」の域を超えない感じではあったものの、自分はそもそもダクソ3が好きなのでダクソ3っぽい本作も好みだった。
 ダクソ3っぽいゲームがやりたいなら間違いない選択だと言い切れる。ただダクソ3をやったことがないならまずそっちをやったほうがいいと思う。

ウーマンコミュニケーション(PC)

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【※性的コンテンツを含むため閲覧に要ログイン】

※成人向け

 ストアページいわく「知的なことば探し」を題材にしたADV。プレイヤーは風紀委員会の一員として、生徒や周辺の「無意識風紀違反」を取り締まることになる。

 無意識風紀違反とは、発言の中にセンシティブなワードが意図せず含まれてしまうことを指す。例えば「いまいちモツ鍋って気分じゃないかも」という発言にはイチモツが含まれている。こういったうっかりセンシティブワードをクリックで撃って取り締まっていくのがゲームの根幹である。
 単にワードを探して撃つにとどまらず、ワードの頭文字を撃つヘッドショット、連なるワードに共通する文字を撃つダブルショットでさらなるハイスコアを狙うことができ、加えてシューティング的な攻撃をかいくぐりつつワードを撃つバトルステージもあるため、想像していたよりゲーム性は高かった。
 センシティブワード探しの場となる会話ステージはリアルタイムで進行するが、見つけるべきワードの総数は初めから開示されているほか、一時的な時間停止が可能である程度は落ち着いてワードを吟味できる。難易度設定によってはステージ終了後見逃したワードを教えてくれるため親切。

 上記の馬鹿馬鹿しいとも言えるゲーム内容からは想像がつかなかったが、意外にストーリー性が高く、手軽にプレイできる割に不思議な余韻が残る感じで面白かった。
 マルチエンディングであり物語の核心に迫るためにはあるキャラクターの正体を暴かなければならない。できればこれからやる人には外部情報を入れずに考えてほしいと思う(自分はわからなかったので攻略を見てしまったが……)。
 プレイ中は当然ながら100種類以上登録されたセンシティブワードを浴びまくることになるので、それが苦痛にならないのであればおすすめ。

Refind Self: 性格診断ゲーム(PC)

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 プレイすることによって性格を診断すると謳ったアドベンチャーゲーム。プレイヤーは創造主を喪ったロボットとなり、限られた行動回数内で取った行動によって性格が診断される。
 1周に要するのはだいたい1時間弱で、1周だけでも大まかな診断はできるが、最後まで性格診断を行いかつゲーム内のストーリーの全容を把握するには3周プレイが必要。

 コンセプト自体は興味深いものの、性格診断の精度については正直何とも言えない(これは望んでいた結果が出なかったからとかではなく精神分析の分野に明るくないので判別しようがない)。
 ただ判定の根拠ははっきり示してくれる上、他のプレイヤーがどのくらいの割合で同じ選択をしているのかが可視化されているので結果を眺めているだけでも面白い。また、診断結果そのものを他の人と比べることができるため友達がいる人は一緒にやって比べたりしたらより面白いだろうと思う。

 ゲームとしてもわざとらしい診断という感じはなく普通にアドベンチャーとして楽しめた。
 ストーリーもきちんと用意されているが、プレイ時間がそこまで長くないため没入や感情移入ができるかどうかは人によると思われる。少なくとも性格診断が好きという人には間違いなくおすすめ。

Backpack Hero(PC)

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 インベントリ管理が重要なローグライクRPG。システム面については文字で説明するよりストアページのスクリーンショット等を見てもらったほうが早い。鞄の中に大きさがそれぞれ異なるアイテム(武器・防具・消耗品等)をうまいこと詰め込みつつ、アイテム同士の相乗効果による強化を狙って攻略を進めていく。
 プレイモードはダンジョン攻略のみが行えるアーケードモードと、拠点の発展・アンロックやクエスト攻略の要素を含むストーリーモードの2種。プレイアブルキャラクターはいずれも5種でそれぞれ戦闘スタイルが異なる。
 アーケードモードでは個人的に攻略がワンパターンになりがちだったが、ストーリーモードでは初期装備が大幅に違うなどの別条件でクリアを目指すクエストが発生することによりマンネリ感が軽減されている。翻訳は可もなく不可もなくという感じ。

 どのアイテムが手に入るかの運要素と、手に入ったアイテムをどう収納してどう活かすかという戦略要素が程よく噛み合っていて結構好みだった。見た目で面白そうと思ったら順当に面白いのでおすすめ。ストーリーモードのクリア条件がわからず(ゲーム内で明示されなかったため調べて出てきた進行条件を試してみたがダメだった)結局クリアできなかったことを除けば満足。

スーパーマリオRPG(Nintendo Switch)

公式サイト

 スーパーファミコン用同名ソフト(1996年発売)のリメイク版。
 主人公のマリオは、世界征服を目論んで突如現れたカジオー軍団から世界を救うため、仲間と共に冒険の旅に出る。

 アクション要素を含むRPGで、ジャンプやステージギミックを駆使した探索が楽しめる。
 戦闘はコマンド式。敵味方双方の攻撃演出中にジャストタイミングでボタン入力を行うことで、こちらの攻撃のダメージを増加させたり被ダメージを軽減させたりできるため、こちらもアクション的要素を含んでいる。

 原作は未プレイだが、グラフィックの強化・機能面の改修を行って遊びやすくしつつ、ストーリーやシステムはしっかり原作を再現した正統進化のもよう。
 ゲーム面ではアイテム所持上限の緩和、難易度選択の追加などがなされたほか、原作BGMへの切り替え機能、クリア後に戦えるボスの追加といった原作既プレイ者向けの要素も含まれている。

 ストーリーは全体的にコミカル。敵味方ともにマリオシリーズのレギュラーキャラだけでなくオリジナルキャラも多数登場するが、それぞれが魅力的であり特に浮いている印象は受けなかった。

 ストーリー、システム面が原作とほぼ一緒と考えると、原作は発売当時の水準で考えて大傑作と言っていい出来だろう。
 今作も原作のファンなら大満足の出来栄えだと思う。
 個人的に今作を現代の基準で考えると、良作ではあると思うが、大傑作かと言われると正直ちょっと厳しいものがあるかなという印象。四半世紀以上前のゲームを現代の最新ゲームと比較してしまうのも酷な話ではあるのだが、思い出補正ゼロの立場からはそのような印象を受けてしまった。
 ただ、良作であることは間違いないため、原作をプレイしていない人でも興味を持ったのであればぜひプレイしてほしい。

スーパーマリオブラザーズ ワンダー(Nintendo Switch)

公式サイト

 超有名2Dアクションシリーズの最新作。フラワー王国を訪れたマリオたちは、王国の城を乗っ取ったクッパを倒して国を救うために冒険の旅に出る。
 フラワー王国はいくつかのエリアに分かれており、ステージクリアやステージ内の探索で得られるアイテムを一定数集めれば次のエリアへ進行できるようになるため、これを繰り返して最終目標であるクッパの待つ城を目指して進む。

 ステージ内には必ず「ワンダーフラワー」というアイテムが1つ設置されており、これを取得することでステージの構造や操作方法が大きく変化するのが本作最大の特徴。変化の方向性はステージによって異なり、予想もつかない展開がプレイにワクワクを添えてくれる。
 ステージ内の随所にいるNPCのおしゃべりフラワーには様々なセリフが用意されており、ボイス付(設定で変更可)のため人によってはうるさく感じるかもしれないが、個人的にはこれもなかなか良かった。プレイヤーのアクションに反応して違うセリフを発することがあるので、色々と試すのも楽しかった。

 また、装備品に相当する「バッジ」を付け替えてアクションを追加することが可能。ステージに合ったバッジを付けることで攻略を有利に進めることができる。この辺りの試行錯誤も面白い。
 とにかくプレイヤーを飽きさせないことに全力を尽くしているという印象で、実際夢中になってプレイすることができた。

 難易度はバッジによる緩和が可能なほか、マリオ以外に敵の攻撃・ギミックによるダメージを無効化できるキャラ(ヨッシー、トッテン)を操作することも可能なため、全体的に遊びやすい。
 おまけ要素としてのチャレンジステージについては個人的にちょっと苦痛な域に達している難易度のものも散見されたが、これらはあくまでおまけでクリアには無関係な上、本筋のボリュームの方が圧倒的に大きいためそこまで気にならなかった(要素をフルコンプしたいのであればこの辺も攻略しないといけないのでキツいかも)。
 文句なしの名作。おすすめ。

バディミッション BOND(Nintendo Switch)

公式サイト

 テキストメインのADV。亡き父の意志を継いで警察官となった主人公ルーク・ウィリアムズは、ある誘拐事件に関与したことがきっかけで、巨大犯罪組織DISCARDとの戦いに身を投じることになる。
 ストーリー上でルークは3人の仲間と行動を共にすることとなるが、3人ともなかなか個性が強く、また一見するとチームワークなどできそうもない人物たちである。ルークを含め相容れないように見れる彼らがどのように対立し、関係を深め、問題を解決するかというのがストーリーの主軸となっている。この辺はタイトルどおりである。

 チャプター制のゲームで、テキストでストーリーを追っていくのが基本。チャプター内には問題解決のために情報収集を行う捜査モード、捜査モードで集めた情報をもとに目的達成を目指す潜入モードが含まれる場合もある。
 チャプターごとにヒーローゲージというパラメーターがあり、これはストーリー上出てくる選択肢を正しく選択したり、捜査モードでの情報収集を効率的に行ったり、潜入モード中の障害を正しい方法で乗り越えたりすると上昇し、逆のことをすると下降する。ヒーローゲージが高い状態でチャプターをクリアするとサブストーリー等が閲覧できるようになっている。
 若干の推理要素は含まれるが難易度的にはかなり易しく、ストーリー面はほぼ一本道と言っていい。選択肢が出た際には、過去に回答のヒントとなる会話等を閲覧している場合それを何度でも見返せる機能があるため、しっかり探索をしていれば行き詰まることはないと思われる。
 また、捜査パートと潜入パートではルーク含む仲間4人のうち2人を選んで捜査等にあたらせることになり、誰を選んだかでセリフが変わるほか、特定の組み合わせでゲームを進めることがサブストーリー解放の条件となっていたりする。

 ストーリーに関しては非常に完成度が高く、お約束な展開もありつつ先が見通せないドキドキ感が常にあり、一気に読み進めてしまった。またルークと仲間たちとの結束が深まる描写が丁寧でよかった。特にルーク及び(彼と最初に手を組むことになる男)アーロンが築く友情は非常にアツく感動的だった。男性同士の友情やその他強い結び付きが好きな人は間違いなく好きだと思う。

 ストーリー部分の演出はちょっとしたモーション付きの漫画に近い感じなのだが、ややチープだなと感じてしまう部分も散見された印象(一種類しか立ち絵がない脇役キャラが出る場面で、立ち絵の表情が場面にそぐわないものになってしまっているなど)。根幹のお話がかなりいいだけにそこはちょっと気になった。
 ただ、重要なシーンにはオリジナルのアニメ映像が挿入されるなど、気合を入れるべきところはちゃんと入っている。

 テキストアドベンチャーとしても良質なうえ、ゲームならではの表現・演出も組み込まれていて楽しくプレイできた。おすすめ。

Dicey Dungeons(PC)

Steamストアページ

※未クリア

 ダンジョン攻略RPG。プレイヤーは願いを叶えるためにショーの参加者となったが、その舞台は立ったが最後抜け出す手段がないものだった。立ちはだかる敵を倒し、繰り返しダンジョンを攻略してショーから抜け出すことが目的(多分)。

 戦闘はシンボルエンカウントで、毎ターン敵も味方もサイコロを振るのが大きな特徴。サイコロの出目を装備に埋め込むことで攻撃・防御等の効果を発揮する(剣に出目3を埋め込むことで相手に3ダメージを与える、等)。装備の中には少ない出目や特定の出目しか受け付けないものもあるため、必ずしも出目が大きいほど有利というわけではない。
 いずれにせよ自分の装備に合った目が出てくれるかは運に依存するが、キャラクターのレベルが上がると振れるサイコロの数そのものが増えるため、狙った目を比較的出し易くなる。プレイアブルキャラクターは複数存在しそれぞれ基本戦略が異なる。

 戦闘のコンセプト自体は面白いのだが、いかんせん運の重要度が高く、自分のプレイヤースキルで勝敗を左右できた感覚に乏しいと感じてしまった。レベルを上げることで振れるサイコロを増やせる仕様についても、1つのダンジョンが短く増やせるサイコロも片手で足りる程度のため、それだけで不運を覆せるほどのインパクトはない。
 それだけならいいのだが、ダンジョン攻略前後に挿入される主催者のセリフやムービー(スキップ不可!)が著しくテンポを悪化させている。運(≒試行回数)の重要度が高いゲーム性を鑑みると、はっきり言って致命的なレベルのテンポの悪さだと感じたし、内容もショーの主催者から煽られ、ダンジョンをクリアしたと思えば賞品のルーレットが外れるというだけのもので、正直不快以外の感想が浮かばない内容である(ひどい悪辣な内容というわけではないが、少なくとも愉快ではないものを何度も繰り返し見せられるとこういう感情を持ってしまう)。

 戦闘中に敵の装備(=敵はどの出目が出ると有利になるのか)を見ることが可能で、敵にかけることができるデバフ効果(出目操作、装備使用制限等)があるため、運が重要と言っても戦略の立てようはある。プレイヤースキルで勝敗を左右できた感覚に乏しいとは書いたが、もっと経験を積んで知識を蓄えれば多少は上手くなれるのだとは思う。ただ自分はこのゲームにそこまでするほど魅力は感じなかった。

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