見出し画像

福島第一原発を視察して


2022.11.3
ツアーに参加させてもらった
自分がいかに、知らなかったか。知らない状態で判断してきたかを痛感した3日間だった。
よく知らないままいい判断なんてできるはずもないのに。

請戸小学校から撮った写真





僕は原発大反対の立場でした。
ゼミのチャットグループに、反対の立場の資料を送りつけたりしてた。再稼働なんて考えられないと思っていたし、処理水を海に流すなんてもってのほかだと。

そのくせそれらの科学的な安全性などは、都合よく編集されたデータだろなんて思って、たいして目を向けてこなかった。

今も反対の立場自体が大きく変わったわけじゃない。

ただ今回の経験を通して、原発がこれまで自分達にもたらしてきたものや、日本でなぜ原発が必要とされているかという点、そして処理水を含めた「なんとなく怖いもの」の安全性に関する科学的な情報にも目を向けようという姿勢は生まれた。

それは原発に関わってきた方々から直接お話を伺い、彼らの技術者としての想いも感じたからだと思う。


何を知らなかったかっていうのは、色々あるけど、ひとつは今の福島の現状です。こんなに新しい取り組みが進み、かっこいい人面白い人たちが集まっていたとは。
高校生もいろんな活動にチャレンジしてて、そのアクティブさに驚いた。
まあでもこれは、福島以外の地域でもそうなのかもしれない。

知らないまま判断してきたことの一つは、
原発の是非。
原発が欲しくない理由は色々あるけど、
でも原発が東京を含め多くの地域の発展に寄与してきたことは事実だし、福島でも大きな雇用を生み出してきた。これは確か伝承館でも書かれていたけど、当時福島(特に浜通りかな)ではなかなか仕事がなくて出稼ぎに行かなきゃいけないのも当たり前だったらしい。
高レベル放射性廃棄物は発生するが、発電時に二酸化炭素の排出がされないのは事実だし。
日本の経済発展を支えてきたんだと思う。
「原発は嫌だ」っていう感情に流されて、
正直メリットを”ちゃんと”見たことはあまりなかった。

そして処理水のこと、放射線のこと。
もはやこれは名前だけで、なんとなく怖いと思ってた。
麻生さんが処理水飲める発言?をした時に
ええ!とか思ったけど、現場でちゃんと説明を聞いたら、飲めるんだって思った。
なんかこれだけじゃないけど、ニュースだけ見てなんとなく分かった気になってたり、いつのまにか、「この人が言ってるから信用できない」みたいな状態になっちゃってたのかなと反省した。

放射線の話なんかは特に、「なんとなく怖い」に支配されてたんだなと、思った。

というのは、こんなことがあったのです。

視察の際、福島第1原発の敷地内をバスで巡りながら色々話を聞かせてもらったんだけど、正直バス内の放射線測定値が上がる度にドキドキしてた。
そしてバスは水素爆発した1号機の前にたどり着き、僕達は外に出て説明をしてもらった。
坂の下を見ると防護服やマスクをつけた作業員の方が沢山いる中、自分達は普段着のまま話を聞いてて、大丈夫なんだろうかと不安になっていた。
バスの中でFukushima50を観た後だからなおさらだ。

20分ほど話を聞いた後、胸ポケットの測定器がビー!ビー!と鳴り始める。
20μSvを浴びたという合図だ。
ドキドキ。
ようやくバスに戻る。

ドキドキ。
その時案内してくれていた経産省の方が言った。
「今皆さんは、歯のレントゲン2回分ほどの放射線を浴びたことになります。事故当時、ベントをしに行った作業員が浴びた線量の1000分の一くらいです。ちなみに彼らは今も健康ですので安心してください。」


あ、そのくらいだったんですか、、。

安心したのと同時に、知らないだけで、なんとなく怖いっていう感覚だけで、こんなにもビクビクするんだって思った。

もしここでマイク持ったアナウンサーの方が、
「20μSvです!!」とか言うと、
もう怖くて仕方なかったかもしれない。
周りの人がみんな防護服を着ている環境は、そんな感じだったのだ。

数字って、その程度を知ってるか知らないかで印象が全然変わるんだなと。
それに、よく分かんないくせに「なんとなく怖い」とか、イメージで判断しちゃダメだよなと。
そういう、色々と初歩的なことに気付かされた3日間でもあった。

(ちなみに、
20μSvというのは0.02mSvにあたるので、下の表の1番下の辺りです。
CT検査一回分の500分の1らしいです)




原発は相変わらず反対である
なぜならやはり環境倫理的な観点ではインディアンのように数世代先のことも想うべきだと思うし、未処理の難題(放射性廃棄物とか)を後の世代に背負わせるべきではないと考えるから。
たとえ自分達の生活レベルが下がったとしても。

でも原発についてハッキリと反対の立場をとることは、原発について知ることをやめていい理由にはならない、とは思った。


知りたくもないことを知ろうとするのは面倒で仕方ないけど
でも知らないままでいること
知らないまま判断することは
あんまり良い事ではないな
と思った

同時に、全部自分で調べなきゃいけないなんてことはないんだと思う
教えてもらえる環境があれば、そこに足を運ぶだけでいいので、ハードルはグンと下がる。

今回企画運営してくれた方々、ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?