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最新にして最高の、いつもの奇奇怪怪

【はじめの語釈】

『奇奇怪怪明解事典』

●音楽家 玉置周啓(MONO NO AWARE/MIZ)とラッパーTaiTan(Dos Monos)によるPodcast。
日々を薄く支配する言葉の謎や、カルチャー、怪奇現象を強引に面白がる。モラトリアムを漂う耳の旅。TBSラジオで脳盗🧠という番組もはじまった。


『品品(PIN PIN)』

●奇奇怪怪明解事典のアニメ化企画。
King Gnuの常田大希が主宰するPERIMETRONやmillenium paradeで、作品の3DCGクリエーションを担当するmesoismこと神戸雄平が監督を務める。渋谷PARCOでの展示が行われ、現在(10/17)は心斎橋PARCOにて開催中。


『豆』

●奇奇怪怪明解事典のリスナーを指す呼称。
「B'zじゃなくてBeans」の発言から派生し、『豆等(まめら、マメラー)』『豆豆』『豆』とリスナーの名称となった。ファン同士がSNS上で「はじめまして、豆です」というやり取りも少なくない。


🫘







黒い幕が垂れた先からあの笑い声が聞こえてくる14時前の心斎橋PARCO4階。私は期待感とも少し違う気持ちを抱えながら彼らの登場を待っていた。
どんな言葉をかければいいだろう。どういった形態を取るのだろう。どれくらい時間があるだろう。会場の豆等-諸氏はどんな反応を見せるのだろう。

しかし起こったことだけを突き詰めていうのなら、3人はただいつものようにそこにいて、私たちはただいつものように圧倒された。本当にそれだけだったように思えた。でもそのことが何より嬉しかったし、だからこそ感じられたことが本当にたくさんあった。

ああ、これが品品《PIN PIN》だ。

緩急が際立つ玉置周啓の裏回し。アーティストとしての存在感を放つ品品最大の功労者mesoism神戸雄平、落ち着いた居姿に商売人の風格が漂う舌鋒ヒーローTaiTan Man。この3人が眼前にいる。ただそれだけでよかったのだ。

冒頭で聞こえてきた「ちゃんとやれよ」「アニメだからってテンション上がってんじゃねえぞ」のメタ発言に呼応した拍手、ブラウン管に映された「品品」 の文字、あるいは“mesoismと奇奇怪怪”の世界や言葉、そして“荘子it”のOP楽曲が流れる中、映し出された「闇市に佇む無数のダンボール箱」。このテキストを書いている今も感極まってしまう。

会場は終始活気に溢れ、闇市夜市のお祭り騒ぎの様相を呈していた。



と、ライブレポートのオマージュから品品感想文を書き出してみる。

感想としては「嬉しかった」がもっとも的確で、アニメから物販、御本人来阪とその余韻、豆の生態と繫がりについても、総合的体験として素直に嬉しかった。

心斎橋PARCOの展示は比較的簡素で、アンダーグラウンドからおしゃれカフェテリアへ座標を間違えて、文字通りポップアップしたような具合だった。

私は初日、2日目、そして今回の御本人登場日に訪れた。
初日は数々の展示物(グッズ)の色濃さにかどわかされた。帽子を被る習性もないのにキャップを買って、背面プリントが最高にかわいいスウェットもお買いあげるに至った。

初日同じタイミングで来ていた豆が「TaiTanさん来られる予定とかありますか?」と、申し訳なさそうにスタッフさんに聞いていた。

私はスタッフさんの「もしかしたら、来るかもって話はあったり……」という返しを盗み聞きながら、ガチャを2回回して帰った。豆は意外と控えめな人が多い気がする。



その翌日、私はまた仕事帰りに品品会場へ訪れていた。この展示の軸であるアニメを初日は見ないままだったので、チケットを購入し、《有料上映エリア》と表示されたレンタルビデオ屋18禁コーナーさながらの入口をくぐる。

アニメ化と聞いて、脚本・演出等の内容面もアニメナイズされるんとちゃうかという勝手な心配があったが、まったくの杞憂で、むしろ心配になるほど奇奇怪怪明解事典の立ち話だった。それが嬉しかった。

「チルは死んだ」から始まる儲け話。

心斎橋PARCOの本丸、14階ギャラリーでは『イグノーベル賞』展がやっていて、そこを間借りして品品を流しても違和感ないのではなかろうか。コンセプトはほとんどイグノーベル賞と同じなのだから。



そして冒頭のクソオマージュ文面通り、御本人登場を前に緊張しすぎて当日のことはあんまり覚えてない。それでもサービスがすごかったのは真実。
レジ会計くらいのスピード感で「頑張ってください、応援してます」が関の山だろうと思っていたのに、一回しっかり着座したんだから。

神戸さんはめちゃ気を遣ってくれていて、TaiTanさんは端々に知見の深さと《次はどんな奴かな》と瞬時に観察して回してくれる優しさを感じた。そしてサービス精神豊富な周啓さん、土壇場で試した「永田 優勝」を思惑通り拾ってくれてありがとう。

本当に二次選考にすら残れない面接ぐらい手ごたえのない受け答えをしてしまって、「野球回聞いてます」の一言も出てこなかった。

あの後、しばらく #品品 でサーチしていたけれど、御三方を前に上手いことしゃべれず本気で悔しんでいる豆豆が結構いた。関西はささやかにウケて爪痕残したい節があるのかもしれない。

自分も実際あらゆる面接でもそうだったけど、どれだけの精度とスピードで受け答えできても、何かおもろいことを織り込んで印象付けられないと全く無意味だと思ってる節がある。恐ろしいね。

ともあれ、「好きが高じてキモになった」ことで豆の方とツイッターでつながるきっかけになった。月末までの会期中、また仕事終わりにのぞきに行こうと思う。

わざわざ行く価値が確かにある在庫展示物販売会場だった。



8割物販


グラフィティ赤コーン


父母社のノベルティのツボ押し


🫘




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