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CBD飲料を懐疑的立場から飲んでみる

いつもの帰り道、市民文化会館近くにある自動販売機でそれを見つけた。

小学生の頃から親しんでいたチェリオの自動販売機に見たこともない商品が入っている。それは「新商品!」と書かれたPOPと並び2ボタン分の空間を占有しており、一目で絶賛売り出し中であることがわかった。

お値段は500円。自販機で500円かぁ〜。誰も欲しがらないストラップとか売ってるのは見たことあるけど、缶1本500円はお初にお目にかかる。

しかも、あのチェリオという自販機界の百均ともいえる土壌でその値段。

私はしばらく立ち止まって、少し考えたのちに500円玉を取り出した。


謎の成分『CBD』配合のドリンク。

そもそもこのCBDとは何か、といった部分。
これはカンナビジオールといって大麻草などに含まれる成分の一種。日本で流通しているものは、規制対象ではない麻の茎と種から抽出されているものだそう。

私もなんとなく聞いたことはあって、去年あたりから「今ドンキホーテにCBD商品がめっちゃ並んでる」「大麻の成分が含まれてる商品が一般流通してる」みたいな噂は耳にしていた。

正直、合法ハーブ的なものの再ブームだとしたら恐ろしいことだなと思っていて、そんなものに頼ってまでハイになりたいのか、と、あまりどういったものか知らないまま蔑みの感情を抱いていた。

ただ、何も知らないのに蔑みの対象として目を向けるのはどうなのか、という視座もあり、しばらく自販機前で悩んで今回購入に至った。


実際どうなん?

『CBDX』についてチェリオの商品サイトでは、

缶を開けて飲むだけで簡単リフレッシュ。ストレスフルな仕事モードからの切り替えに、パーティーでのスムーズなコミュニケーションに、グルーヴを体の芯で感じたいシーンで、ゆったりしたい1日の終わりに。「CBDX」はあなたを解放するパートナーです。

https://www.cbdsq.jp/about

と表記されており、すでにこの時点で私の勘違いがひとつ明らかになった。どうやら、これには「ハイになる」的なアッパー系作用があるわけではないらしい。


「CBDX」に配合されているCBDについては、日本の法律に基づき、厚生労働省に確認されたものを使用しています。
・提供農場で大麻草の成熟した茎からのみ抽出されていることを確認しています。
・第三者機関で成分分析を実施し、THC不検出を確認しています。
・原材料および製造工程を確認しています。

https://www.cbdsq.jp/about

また、上記のように「ノープロブレムですよ」の記載もあり、その中でも肝なのが「THC不検出」の部分。調べたところ、このTHC(テトラヒドロカンナビノール)は向精神薬にも使われる成分で、どうやら人をハイにさせる効果はこのTHCによるものなのだそう。

このTHCが含まれているかいないかで違法か否か、という判別がされるそうだ。


THCって聞くとTokyo Health Clubが思い浮かぶね。

お台場デートよりバサラブックス
ヤワなクッシュならバナナジュース ってこと。




実飲します。

無骨な銀色の缶には、ロゴと成分表示のシールが貼られている。内容量は250ml。よく冷えてる。

妙な緊張を感じながらプルタブを開けると、炭酸の泡がはじけた。色はほんのり黄味がかった透明色をしている。ジンジャーエールよりも淡い。

缶を鼻の近くに持ってくる。香りは清涼感ある炭酸ジュースといった感じ。若干ハーブっぽさも漂っているような気がしないでもない。甘ったるい匂いではない。

身構えていたケミカルな印象はこの時点ではなく、なんなら健康的な気配すらある。緑色で粘性があってなんか煙が立ちのぼる、みたいな勝手なイメージとはかけ離れているではないか。


さて、それじゃあ飲むか……。飲むのか、ついに飲んでしまうのか。どうしよう、本当に大丈夫なの?と直前までためらいながら、おそるおそる、缶に口をつける――――


こ、これは…………


何か感じる…………風味の既視感………………


身に覚えがある…………知っているぞ…………デジャヴフレーバー………………


これは……そう、まさに…………まさに…………!!!


三ツ矢の梅!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


お前だったのか。

味は三ツ矢の梅サイダーに結構近いかも。ちょっと薄めの梅サイダー。酸味はないが、鼻から抜ける風味と「う〜ん、これ梅?」みたいな釈然としない感じが完全にそう。あと、微炭酸と謳っていたが炭酸は予想以上にしっかりしている。

こらエナジードリンクとはまったく毛色が違うわ。



『CBDX』結局どう?

飲んだ感想としては、ぶっちゃけ好みではない。
ごめんなさい。

味とか香りとか、フレーバーについては全然嫌いじゃない。夜に窓を開けてLo-Fiな音楽でも聴きながら飲みたくなるような飲感(いんかん)をしている。

しかしながら、コーラやソーダのようにジュースとして飲む候補にはならないし、リラクゼーションドリンクとしても繰り返し飲もうとはならんかなぁ。

いや、高いっす。それが最大の理由。250ml缶で500円、味はちょっと薄めの梅サイダー。それならその500円お昼ご飯代にします、と。内容量と味を重視してしまう貧乏性には適さない。

目玉のCBD効果についても個人差なのかどうなのか、正直なところ自分は「チルだわ〜」「落ち着くわ〜」って実感は一切なかった。

ホラー映画で、振り向いたら絶対に何かおるやろ!ほら!来るぞ!ほら!今か!どうなんや!?…………なんもねぇ〜〜〜!みたいななんもなさ。

強いていうなら、周りの音が静音化されたように思えた。換気扇の回る音とかが少しだけ遠くに聞こえる感じ。ただ、これは一体どんなすごい影響があるものかと身構えていたゆえのプラシーボ、思い込みによる錯覚な気がする。

寝付きはいつもより多少よかった。これもCBD効果かどうかの判断はできないが……

大学で講義を受けた文化人類学の教授(シャーマンの儀式でアヤワスカ『トリップする草』をキメて、頭むちゃくちゃになっちゃった)みたいになっちゃう、それぐらいの心の準備もあって、結果は杞憂だったというか、肩透かしをくらった気持ちはある。


「見てもいない映画を批判する前にまず見ろ」ってのと同じで、誤解していた点がたくさんあって実際に飲んでみて誤解が解けた、そんな学びと気付きはあった。

CBD商品は他にもあるため、今回のこれひとつで安心安全と決めることはできないが、少なくともチェリオ産の『CBDX』はちょっと梅サイダーの風味に似ていて、わかりやすい効果があるわけでもなく、執拗に疑ってかかるようなものではないことは言える。

あなたの町のチェリオにもCBDXがやってきた際には、一旦財布の中の500円と好奇心を天秤にかけてみるといいかもしれませんよ。






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