槍クエストのストーリーでモヤってる

FF14、槍のクラスクエスト(?)終了。とりあえず槍術士としてのクエストはここまでで、次は竜騎士のジョブクエストがあるらしい。

ずっと気になっていたのは、槍クエで出てくる槍使いフールクのことだ。いきなり道場破りに来て以来、その正体や行動の理由が知りたくて、どんどんクエストを進めたくなった。

FF14にハマったのは半分くらいこいつのおかげかもしれない。うまい導入だったともいえるが……一方で腑に落ちない点もあって、いろいろ考えてしまった。


※以下、ストーリーのネタバレあり。ご注意を。(リリースから数年経ってるゲームの話で、周回遅れの記事なのはわかっているけど、念の為)




槍クエを進めていくにつれ、フールクが暴走気味な理由も、槍ギルドにちょっかいを出す理由も明らかになっていく。

フールクはかつてグリダニアに住んでいたが、当時の槍ギルドでひどい目にあわされ、恨みがあるらしい。

……と、わりと納得できる理由が判明するのだが、不可解なのはギルドの反応だ。当のギルドやギルドマスターは、彼を「ギルドに来てはトラブルを起こしていく迷惑な奴」「誤った『勇気』を信じる男」程度にしか思っていない。

これがめちゃくちゃ怖かった。

フールクが言うには、彼は槍ギルドに所属していた。単なる一員というだけでなく、問題を起こして自ら謝罪したというから、ギルドとしても記憶(または記録)に残っているはずだ。

しかしギルド側にその言及はない。それどころか、まったく知らない人間として扱っている。

仮に、フールクがギルドに所属していた時代がかなり昔で(若く見えるけど、そのへんは種族差があるので、実際はもっと年いってるのかも)、マスターは今のイウェインではなかったとする。それなら彼が顔を知らないのは当然だ。

しかし、過去の揉め事については、マスター引き継ぎの際に聞かされたりしていただろう。ギルドにも昔からの古株がいるだろうし、関係者から話を聞いていて「なぜあいつは槍ギルドにつきまとうのか?恨みでもあるのか?まさかあの時の……」となってもおかしくない。

だから怖いのは、狂気にかられたフールクではなく、ギルドの徹底的な無反応なのだ。イウェインはひたすらプレイヤーを育てる方にしか向いてないし、フールクの言うことは誤りだとしながらも、彼を矯正しようとはしない。彼を反面教師のように上手く使い、ギルドの一員であるプレイヤーを鍛える。

そりゃあ、ストーリーとしては「反面教師」はありだ。プレイヤーと反対の存在、ヒーローに対する合わせ鏡としてのヴィラン。物語の作りとしてごく普通のことだ。だがそれはメタ的な視点からの考え方であって、あのゲーム内での、世界観の中におけるフールクの立ち位置は別であるべきだ。そうでないと、キャラが単なる道具になってしまい、ゲームへの没入感を薄める危険性がある。

フールクのあの恨みは、なんだったのだろう。彼は一切、槍ギルドから相手にされなかった。それどころか、新人を鍛えるための体のいい教材にされてしまった。

フールクはギルドの仲間に、罪を一方的に押し付けられた。そして都市を放逐された。だが作中では、押し付けた側の当時の槍使いたち、追及しなかったギルド、都市の人々、みんなが彼を無視している。

とすると、フールクの言うことが完全に嘘だったのか。おかしくなったシェーダー族の思い込みだったのか。

彼は徹底的に、都市やギルドから無視された。都市に不要なものは切り捨てられ、忘れられ、すべてなかったことにされてしまうのが、あの都市なのだろうか。こちらの方が怖ろしい。


…というようなことを、レッドベリー砦の話を聞いて、考えていた。クォーリーミルのNPCの話では、かつてレッドベリー砦のあたりでは、ミッドランダー族とシェーダー族の村があったという。話によると、そのNPC(たぶん成人男性)の祖父が村長をやっていたという。

もしかしたら、その村がなくなる過程でフールクは村から都市に出てきて、ギルドに所属し、生活が苦しくて罪を犯し、放逐されたのかもしれない。

彼の「奴らはシェーダー族である自分を怖れていた」というセリフは、都市に出てきた田舎出身の自分とそれ以外との隔たりを示していたのかもしれない。

だとしたらフールクの件、というか槍クエストのストーリーは、各地からさまざまな人が集まる都市は不要と判断したものを排除し、排除したことさえ忘れ去る、という都市の人に対する冷酷さをプレイヤーに突きつけた……のかもしれない。

それならプレイヤーも話の流れでは放逐されそうだな。派手に動けば都市の秩序を乱しかねないし。

などと考えたのであった。

フールクは槍クエストのラストで崖から落ちた(夜時間にプレイしたのでよく見えなかったが)。その後どうなったかは不明。これでもう、真実を語れる人間はいなくなってしまったわけだ。きっともうこの先、彼の話がゲーム中に出ることはないのだろう。イウェインもいきなりクルザスの知人の話とか始めちゃうし……。

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