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先日、構造学の泰斗、杉山英男氏の小論でこういう言葉を紹介した。

(フィールドテスト(ステークテスト)は、実際に使われている建物を試料にすべきで、土中に埋めるといった試験は、人為的に土に埋めるテストはふさわしくない・・・)杉山英男氏

仰る通り樹種そのものの耐久性を調べるというのなら、ステークテストは有効だと思うし、特に評価の難しい新しく輸入された新樹種や、新しい改質法で耐久化をはかったものは、すぐに使うということでの、短期評価ならやむに已まれず、この方法で見るのがbetterだとは思う。

ただ、実際に材料で作っていく構築物は、資材そのものの耐久性だけでなく、作り方や接合部など工夫が必要になるし、短期評価は土に刺して耐久性をみたりする実験場でなく、材と材の重なりがあり、天候・様々な虫、腐朽菌などもっともっと変数がおおいのだ。


2008年に工場にLBウッドの実験デッキとして作った。全体像は、表題部の写真

2012年の途中経過。(最初、水路に柱を落として、一番耐用性を求められる、水中際の変化を見たかったが、大水の時上流からの流木が柱に引っかかって溜まって、ダム化したので柱の足を切った)

2020年・左:無処理の木材、右:LBウッド

LBウッドの方は、藻がついて風格が出すぎたが、2024.2でも、床・構造・フェンスに変化なし。


腐朽しやすい、フェンスの柱の頭部と笠木の接合部に、LBウッドのシリコンが12年経過しても効いている。

(シリコン塗膜はUVの照射や、波長の短い可視光線で破壊されるが、このように笠木で覆われるところなど、水分がはけず腐りやすい水平の接合部の撥水にはもってこい)

ファンガスセラー実験という一種の促進実験。耐久性において、使用される材と同種の小片との相関関係は高い・・が絶対ではない。

耐久性能を測るのに、典型的腐朽菌・(褐色腐朽菌のオオウズラタケ・白色腐朽菌のカワラタケを使用してとりあえず簡易に見る方法。


実験室の実験をだけを、金科玉条のごとく頼り切ってしまうと、時々見えないことも出てくる。

自然界に存在する腐朽菌は数多くあるし、長い年月自然界におかれるものは色んな要因で劣化する。

例えば、アフリカ産のハードウッドのボンゴシがオランダで構築物に使われたが100年持った、ということで日本で大いに人道橋が作られたが、10年ほどで腐朽した例が相次いだ。
オランダにないシイ・サルノコシカケという腐朽菌に侵されたわけだ。

まだまだ評価の定まっていない、”西洋の没落”の著者の数学者であり歴史家のシュペングラーは、こんな言葉を残している

"死んだ形態を認識する方法には数学は有効だが、生きた形態を理解するには類推こそが有効だ。"

自然にさらされた構築物を観察し、常にこれはどういうこと?との、問いと、緻密な類推も必要だ。






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