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愛、さもなくば無

 前置きというか言い訳というか……我ながら馬鹿だなあと思うのですが……。

 昨年参加したMYSCON11で「人狼」を初体験しました。それ以来「本格ミステリ風に人狼をアレンジするとしたら、どんなゲームになるだろう?」と考えるようになりました。
 正直、何の役にも立たないことはわかっていたため考えたくなかったのですが、考えだすとこれが無性に面白い。うっかり就寝時に考えだすと、いつまでも眠れなくなり、これはいったんアウトプットしないと身がもたないと思うようになりました。

 というわけで……夏休みということもあり、書いてみました。
 以下、本格ミステリ風ゲーム「愛、さもなくば無」のルール説明となります。上記の事情により未プレイのため、バグがある可能性があります。悪しからず。

●1.タイトル

愛、さもなくば無

●2.設定

大富豪が迎えた突然の死。
一族の反応はさまざまだった。悲哀、不安、安堵――そして、殺意。
「巨額の遺産を、すべて想い人に」
そして殺戮が始まった。

●3.概要

ゲーム「汝は人狼なりや?」を本格ミステリ風にアレンジしたもの。
一晩に一人ずつ、プレイヤーは犯人に殺される。
ただし、防御することも可能。

犯人は、生き残りが想い人ひとりになるまで殺戮を続ける。
そのためには、自分自身さえ社会的に抹殺することも覚悟している。
犯人と想い人が誰なのか、犯人自身しか知らない。

一日に一回、議論と多数決で探偵を決める。
探偵が、犯人と想い人の両方を指摘しない限り、凶行は続く。
「愛、さもなくば無」
そう覚悟した犯人を、探偵はとめることができるのか。

●4.目的と役割

▼犯人:
「犯人」は一晩に一人ずつ一族の者達を殺していく。
想い人以外の一族全員(犯人自身を含む)が死亡すれば犯人の勝利。
犯人は、自分自身を想い人に選ぶことはできない。

▼想い人:
ゲーム開始前に犯人から選ばれる。
想い人自身も、自分が想い人に選ばれたことを知らない。

▼探偵:
一日に一回、一族から選ばれた「探偵」は凶行を止めようとする。
議論と多数決で選ばれるので、選ばれる探偵は毎日変わる可能性もある。
犯人と想い人の両方を指摘できれば探偵の勝利。

▼一族:
作家以外の全プレイヤーを「一族」と呼称する。
一族には、犯人、想い人、探偵が含まれる。

▼作家:
司会進行役として「作家」が一人いる。
作家は犯人と想い人が誰なのか知っているが、ゲームには参加しない。

●5.必要な人数

作家を含めずに、最低三人。

人数が少ないと、推理がまぐれ当たりしてしまう可能性が高くなる。
従って、目安としては十人前後いたほうが良い。

●6.用意するもの

・防御カード{「籠城」(一人一枚)、「結束」(一人二枚)}×一族の人数分

  ⇒例えばポストイットで代用可。手の平で隠せるサイズとすること。

・殺害カード「アリバイトリック」(一枚)、「密室トリック」(一枚)、「毒殺トリック」(一枚)

  ⇒例えばポストイットで代用可。

・全員が情報を共有できる大きめのスペース
  ⇒例えばホワイトボード。以下の説明ではホワイトボードと仮定する。

・(ゲーム開始前に)犯人を決める手段
  ⇒あみだくじなど。一族に知られない手段とすること。

・メモ
  ⇒作家の覚書、探偵の推理記述用。例えば大きめのポストイットで代用可。

●7.進行

作家は一族全員に防御カードを配る。必要であればルール説明をする。

まず作家が犯人を決める。
一族全員に顔を伏せてもらい、作家から犯人に決定したことを通知する。
犯人は想い人を決め、作家に伝える。作家はそれをメモしておく。

ここから、ゲームが開始する。
一日は朝、昼、夜の3フェーズに別れる。
一日目は夜のフェーズから開始し、二日目以降は朝のフェーズから開始する。

▼夜:
・一族は全員、防御策を選択する。
 左手に防御カードを握る(あるいは、握ったふりをする)。
 作家の指示により、全員顔を伏せる。

・犯人は殺害手段を決定する。
 例えば殺害カードの一枚を無言で指さすといった手段で、こっそり作家に伝える。

・続けて犯人は、殺す相手を一人選ぶ。例えば指で示す、肩を叩くなど。
 作家は、殺害手段と、誰が殺害対象に選ばれたかメモする。

▼朝:
・一族は全員、防御策を公開する。
 作家は、防御策と殺害手段との組合せから殺害の成否を判定する。

・作家は、狙われた人物と、殺害の成否を発表する。
  ⇒この時点で、想い人だけが唯一の生存者となったら、
   犯人の勝利で終了。

・(二日目は無いが)作家は探偵の推理を確認する。
  ⇒この時点で、もし犯人と想い人の両方が的中していれば、探偵の勝利で終了。
   どちらか片方だけでは勝利とみなされない。
   また、片方だけ合っていても、それは発表されない。

・作家はホワイトボードに以下の情報を整理する(全員が情報を共有する)。
 殺害手段は公開しないことに注意。
   - 一族全員の防御策。
   - 誰が犯人に狙われたか。
   - 殺害は成功したか否か。
   - (二日目は無いが)探偵が誰を犯人、想い人だと推理したか。

・殺された一族は以降のゲームに参加できない。
 (後述するが、犯人が自分自身を殺害した場合を除く)

▼昼:
・一族全員は議論をする。
 長さは作家の判断で決めてよい。目安として三分程度とする。
 議論の内容は特に制約しない。
 誰それが怪しいといった推理、初心者向けの解説、今後の戦略など。

・挙手による多数決で、探偵を一人決める。
 同数の者がいる場合は、以下の要領で決める。
   (1) 過去に探偵を経験した数がいちばん多い者を探偵とする。
   (2) 経験した数も同じ場合は、その同数になった候補だけで多数決をやり直す。
   (3) それでも確定しない場合はジャンケン等で決める。

・探偵は、犯人、想い人だと思う人物をそれぞれメモする。
 一族の誰にも見えないようにして作家に渡す。

●8.防御策

・防御策は「籠城」「結束」「無策」がある。
 「籠城」「結束」を選ぶときは、
 防御カード「籠城」「結束」をそれぞれ左手に握ること。
 「無策」の場合はなにも握らない(握ったふりだけをする)。

・「結束」は複数いないと成立しない。
 自分以外の誰も「結束」を選んでいなかった場合は「無策」と同じ扱いとなる。
 この場合にも「結束」カードは消費される。

・「籠城」は一度しか実行できない。
 「結束」は二回実行できる。
 「無策」は何度でも実行できる。

●9.殺害手段と判定

・「籠城」している相手は「密室トリック」で殺害できる。
 犯人の防御策がどの場合でも成立する。

・「結束」している相手は殺害できない。すべて失敗となる。
 ただし上述の通り「結束」は複数いないと「無策」扱いとなる。

・「無策」の相手は「アリバイトリック」で殺害できる。
 ただし、犯人の防御策が「無策」のときのみ有効。

・上記以外のケースはすべて殺害に失敗する。
 表に整理すると、以下の通り。

----------------------------------------------
相手の防御策 犯人の防御策 殺害手段 殺害成否
----------------------------------------------
  籠城     籠城   アリバイ  ×
  籠城     籠城   密室    ○
  籠城     結束   アリバイ  ×
  籠城     結束   密室    ○
  籠城     無策   アリバイ  ×
  籠城     無策   密室    ○
  結束     籠城   アリバイ  ×
  結束     籠城   密室    ×
  結束     結束   アリバイ  ×
  結束     結束   密室    ×
  結束     無策   アリバイ  ×
  結束     無策   密室    ×
  無策     籠城   アリバイ  ×
  無策     籠城   密室    ×
  無策     結束   アリバイ  ×
  無策     結束   密室    ×
  無策     無策   アリバイ  ○
  無策     無策   密室    ×
----------------------------------------------

・犯人は何度でも「アリバイトリック」「密室トリック」を使用できる。

●10.特殊ルール

▼バールストン・ギャンビット:
・犯人は、殺す相手として自分自身を指名することができる。
 自分を殺すときも上述の判定に従う(相手の防御策=犯人の防御策となる)。

・死亡した後も犯人は殺害を続けることができる。
 ただし犯人の防御策は「無策」のみの扱いとなる。

▼毒殺トリック:
・犯人は3日目の夜から「毒殺トリック」を使用できる。
 「毒殺トリック」は他の殺害カードと同時に使用できる。
 「毒殺トリック」による殺害対象も作家に伝える。

・翌日の昼フェーズ終了時に、作家はその人物が毒殺されたことを告げる。
 その時点で、選ばれた人物は殺されたとみなされる。

・「毒殺トリック」は一回しか使用できない。
 毒殺された人物が探偵だった場合でも、推理は有効。
 翌朝、探偵の推理が的中していれば、探偵の勝利となる。

▼想い人:
・犯人は、決して想い人を殺してはならない。
 ただし、殺害が失敗することが明らかな防御策、殺害手段なら、
 夜フェーズで殺害対象として選んで良い。
  ⇒例えば犯人の防御策が「籠城」で、殺害手段が「アリバイ」なら、
   想い人の防御策がなんであれ、必ず殺害は失敗する。

・誤って犯人が想い人を殺してしまった場合は、流局とする。

●11.定石

▼一族側:
・「結束」が成立すれば確実に生き残れる。
 しかし他の者が「結束」を選ばなかった場合は無効となる。

・「籠城」も生き残れる確率が高い。
 ただし、過去にどの防御策を使用したかは公開されており、犯人も知っている。
 犯人にタイミングを読まれ「密室トリック」を使われると死亡する。

・「無策」が最も弱い。
 ただ生き残った者からすれば「無策」で誰かが殺されたとき、
 犯人は防御策として「無策」を選んだ人物のうちの誰かだと判明する。
 つまり、犯人が誰なのか絞りこむ材料を得ることができる。

・初めのうちは「結束」で確実に生き残り、
 「結束」を使い切ったら、命を狙われそうになったタイミングで「籠城」を使う。

・ゲームが進行するにつれて、徐々に想い人は明らかになってくる。
 殺害対象にならない人物に注目すること。
 ただし犯人が確実に殺害に失敗する組合せを使用して、
 目を逸らそうとしている可能性もあるので注意。

・生き残れば勝利、ではないことに注意。
 勝利するのは探偵のみ。

 議論でアピールして何度か探偵を経験しておかないと、
 犯人と想い人の見当がついても、肝心のときに探偵になれない。
 ただ、探偵に選ばれると、犯人に狙われる恐れも高まる。

▼犯人側:
・「アリバイトリック」を使うほうが、殺害に成功する可能性が大きい。
 ただし、それにより犯人が誰なのか絞りこむ情報を与えてしまう。

・「密室トリック」は殺害に失敗する可能性が高い。
 しかし相手が過去に使用した防御策を確認し、
 「籠城」するタイミングにうまくあわせることができれば、
 ノーリスクで殺害に成功する。

・初めのうちは「結束」でガードされる可能性が高いため、
 足のつかない「密室トリック」で、あえて想い人を狙ったふりをする。
 「結束」が尽きた者から徐々に殺していく。


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