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休耕地を「再墾」して、未来のフードスケープを拓く

1. X-Base佐久平

シグマクシスの坂本正樹です。現在コンサル職は卒業し、“Regenerative Farm Concierge” という肩書で、2023年春から長野県佐久市を拠点に、農と食を起点とした社員向けウェルビーイング・プログラム「X-Base佐久平」の企画・運営を担当しています。

2023年度のX-Base佐久平のワンシーン

地域の一棟貸しの宿をお借りし、地域の生産者さんを訪ね、そこで採れたものを食事でいただくという試みに昨年度は社員の約1割が参加。好評を博したこともあり、今年度は「農 x コワーキング」をキーコンセプトに掲げた体感型プログラムを実施しています。

2. 農 x コワーキング

「コワーキング」という言葉はよく耳にしますが、「農 x コワーキング」とは何なのか?現時点で私はこう考えています。

「農をきっかけに、地域内外の多様な人々が集い、農を知ることで食に至るまでを体感し、ココロとカラダを整える」

農作業って、家庭菜園でも、農家さんのところでお手伝いするにしても、一人で黙々とやると結構辛いものです(苦笑)。ところがある程度人数が集まって、協力しながらやると、辛い作業もそうでなくなることがあります。
そうなんです。「農」こそ、「コワーキング」にうってつけなのです。

昨年の田植え後に除草コワーキング
この広さ、一人ではできないですよね・・・

3. 休耕地を「再墾」して、未来のフードスケープを拓く

今回は、「農業複業化プロジェクト」という佐久市で発足して4年目になるコミュニティが実施する田植え作業を、X-Base佐久平の「農 x コワーキング」のフィールドにさせてもらいました。

ここで話は少し横道にそれますが、最近読んで印象に残っているのが、「フードスケープ 図解 食がつくる建築と風景」(正田智樹、学芸出版社)という本です。
この本ではランドスケープならぬ「フードスケープ」という言葉を用い、「季節や時間の中で変化する自然とともに生産されるワイン、レモン、塩、日本酒などの食がつくる建築と風景」と位置付けています。

田んぼは一見「建築物」には見えませんが、元々は地域の景観の一部だった田んぼを、田んぼとして維持するためには、実は様々な土木工事的な対応や、季節毎の架設装備が必要です。例えば、以下のようなこと。

水もち/水はけをよくするための土づくり、暗渠づくり
用水から田んぼに水を誘引するための水路整備
刈った稲を天日干しする「はぜかけ」システム

これってまさに「フードスケープ」だな、と。

こういうことを、従来はその地域の農地を有する人が、家族や地域の人々の手を借りながら毎年粛々と行い、「フードスケープ」を維持してきたのですが、近年は地主さんの高齢化や地域の過疎化等により、維持が難しくなっていた農地がありました。

「農業複業化プロジェクト」が現在お借りしている田んぼは、そんな地域内では維持が難しくなり、10年以上休耕地になっていた元田んぼだったところ。

真ん中の緑の絨毯が元田んぼだったところ
開墾ならぬ、再墾
やっと田んぼに戻りました

そんな場所の一つ一つが、本来「地域のフードスケープ」を担っていたはずで、それを地域外の人も集える形にリデザインし、「未来のフードスケープ」にしていこうというのが、「農業複業化プロジェクト」の狙いの一つでもあり、そこにシグマクシスグループがX-Base佐久平を通じて関わる「のり代」でもあるのかなと考えます。

次回は5月末に行った田植えについて綴ります。

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