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第六章 松風〜記憶のシティ〜

ここは、フレデリックス・バートでもマリエンバードでもなく、バーデンサルサでもなかった。彼の目的地である【シティ】だった。ホテルのロビーに足を踏み入れて、彼を一番に驚かせたのは、エントランス、レセプション、ロビーと一階の玄関に続くフロアのいたるところにベタベタと貼られた畳一畳分ほどもある大きさの巨大なポスターだった。おなじ絵柄のポスターが連続横並びで、何枚も貼られていて、そこにはなまめかしく髪を振り乱して身体をくねらせて踊るエリカと、もうひとり、これも長い髪の、彼がどこかであった見覚えのある、名前の思い出せない女がいて、二人は、ステージの踊り場のような場所でスポット・ライトに浮かび上がって二人で並んだ写真の上に、

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