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#45 屈折率


皮膚を齧り 空を描く

虚ろに這う 蛇の如くに

室外機から零れる 排水のような

そんな空ばかりしか

描けない。


俺はあの日に確かに視えた

うらぶれた灰色の四阿で 

女の中に 海を見た

深遠とうねりの悦び

それはたしかに虹のように

色のない 色彩の蝕知

もう思い出せやしない、

映像にも満たない想


自分のはらわたを 

いくら抉っても

それは見えない。

空を描きながら 海を嫌悪し

それを

ずっと探している。