ある木曜の深夜1時住宅街付近で無線が鳴りました。



この時間は駅から自宅まで帰るお客様が列をなして並んでいるため


無線で呼ばれて待機するよりも駅に直行しお客を乗せた方が短時間で数をこなせる事が多いため


無線を承諾するかキャンセルするか悩んだのち、まあいいやという気分だけで迎車で向かいました


辺りは暗く街灯がポツポツとある住宅街で、


目的のご自宅の前で一人の高齢の男性が立って待たれてました。


タクシーのしょーくん「お待たせしました」


男性は唐突に〇〇病院行けますか?乗るのは娘と連れが乗るとのこと


しょ「はい、そちらなら15分くらいで行けますよ」


男性がああ良かった、とやりとりをしてる中


奥の玄関からお腹が大きな女性が冷や汗をかきながらゆっくり歩いてきました


横にはお母さまが介抱をされお二人をお乗せし病院に向けて出発しました



まさかもうすぐ赤ちゃんが産まれそうな妊婦さんをお乗せするとは思いませんし、その状況の方を目の当たりにするのも初めてで(汗)


夕ご飯を食べながら


テレビでタクシーの車内で出産し気の利いた行動をした運転手だったという


再現VTRを何気なしに観ていたがまさか自分がそういう状況になりえることがあるのかと..


自分にできることはないか...


まず安心して病院で出産できるようにギリギリまでスピードを上げ且つ事故を起こさないよう目をギラギラさせて周囲を見渡しながら走行すること


半分すぎたくらい


”あーーっきたきたー!!”


と2,3分おきに陣痛の間隔があり



僕に何か気が利くことはできないかと考え



無音の車内なので妊婦さんが遠慮せず声をだせるようにラジオをつけてあげよう


お断りを入れてラジオをつけることに


タクシーはAMのみチャンネル数が少ないのと音質が悪い



仕方がない

雑音が少なく良く聞こえるTBSラジオ



夜に仕事中ラジオを聴ける人や深夜ラジオが好きな人は周知の事実だとは思いますが


深夜のTBSラジオのこの時間は”ジャンク”という番組があり日ごとに芸人がパーソナリティーを務め深夜をいいことに基本ド下ネタ


リスナーは犯罪予備軍というアブナイ番組


その日はおぎやはぎ


やはぎ「あいつやれそうだよなぁ~」


おぎ「あいつはご飯いったらすぐやれるでしょ」


の会話が僕の耳には入ってきました


しょ「マズイ」


妊婦さんや産まれてくる赤ちゃんに聴いてほしくない!



でも他のチャンネルは状況に合わないアップテンポの曲



仕方なく会話の内容が分からない程度で音量を下げて..



そうこうしてるうちに

病院に無事到着することができました



結局気の利いた言葉もかけれず男はこの状況は何もできないんだなと痛感しました(汗)


そして妊婦さんとお母さまを病院に見送った後、


なんか今までとは違う感覚で



僕なりに少しばかり仕事を通じてこれから生まれてくる子の為になったんじゃないかと恥ずかしながら涙が。



売り上げの為に数をこなすとかより本当にタクシーを必要としてるお客様がいて”ありがとう”という言葉を言ってもらえる



やりがいを感じれる職業だなと実感した出来事でした。




|今日の営業報告|


・出庫11時04分 帰庫19時17分 実働:8時間13分

|¥売り上げ22600円|


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|昼食 中華料理屋”D”|


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