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何も知らない

台湾に来て5ヶ月と6日目。
授業開始10分後に起き、すぐ行かない決断をしてまた眠る日となった。
久しぶりに寝るのが心地良かったのかもしれない。

それから5時間が経った。
図書館での勉強を終えて日が落ちた道路を歩きながら、今日は久しぶりに滷味を食べようと思う。予定がない日は大体1人で夜ご飯を食べる、1人で食べることを望んでいるわけじゃないけど台湾の食文化がどんなことよりも面白くて夜ご飯を食べる時間を楽しみにしてる。

こんなに美味しいけど、生まれた時からこうやってご飯を食べてきた彼らは毎日何を思っているんだろう。ずっと話してなかったのに図書館で私を見つけて久しぶりに話しかけて来た18歳のクラスメートは今までどんな気持ちだったんだろう。今週末はハロウィンだけど毎週パーティに行く人たちはどんな生活を送っているんだろう。目の前に集まっている日本人たちは何を話しているんだろう。夜市で働く人たちはどんなことを考えているんだろう。

ご飯を食べ終わって、真横を車が通るベンチに座りながらこんなことを考える。ずっとずっと分からないことが何故か心の中で反芻する。

こんな時に秋風が吹いて、街灯がキラキラ光るから泣いてしまった。感情昇華の手段の涙。
今はどこも痛くないからずっとこのままでいいと思う時間に取り残されている、いつまでも。
この世界のことが分からなさすぎて、誰にもこの感覚のことを話せなくて、周りに誰も来てほしくなくてまた今も1人でいる。何かと距離を取る。また今日も私はこうなんだと思う。

見える世界を広げては自分で縮めてしまうと悪い方向に収めていたけど、広げた分だけどうしようもなく掴めない世界も増えるのだと認識するようにした。728に人や距離のことが気になると話してから、ずっと持っていたこの感情に気づき、今もずっと渦巻いてる。やはり言葉が感情を作っているのだと大学の教授のことを思い出す。

他人のことが気になるのに1人でいるのか、1人でいるから他人のことが気になるのかという仕方のない所にまで思考が進んだら我に返る。でも「あなたの服が素敵だ」とか「今日は寒いね」とか伝えたい性分だから、明日のクラスではいつも通り友達に話をしよう。まだ台湾から帰りたくないこともルームメイトに話してみよう。今日のクリーニング屋さんの話はTumblrに書こう。

犬の散歩をするおじさんが不思議そうにこちらを見つめるけど、私もあなたに対して気になることはあるよ。

こうしてまた私の感覚がカケラとなって台湾という場所に落ちてしまった。
一生拾えないもの
分かりきれないこと
ずっと愛したい場所
戻って来たい場所

泣いたらタバコ吸いたくなった。

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