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【ズルい国会答弁書の作り方: 分析編】

 みなさまこんにちは、こんばんは。宮里です。
 この記事では、公務員の皆様が、国会答弁書を作るお手伝いをしたいと思って、やってみたことを紹介します。現政権の政策分析、質問する政治家の政策分析・性格分析をAIと一緒にやってみたので、そのフローを解説します。 そのフローのなかで、"いきなり答弁書を書かせず"、まずは現状分析をしっかりAIにさせよう!という話にも触れていきます。

 早速ですが、下記のような政治家ごとの興味領域のレーダーチャートなどを作って、分析をしていきます。

AI分析:議員毎に重視する政策を表したレーダーチャート


 分析を進める上では、それぞれの政治家の興味領域をスコアにしていったりもしました。

学習データからスコア化

1.出発点 ~公務員をもう疲弊させないために~

 言うまでもなく、公務員は国家において、そして地域において、非常に重要な人的リソースです。彼ら・彼女らの活躍なしには、人口減少対策の、いかなる政策も実現にはいたりません。そんな公務員のみなさまに、その能力を最大限発揮いただくために、AIを使った働き方マニュアルを作っていきたいとおもっています。今回は答弁書作成の第一回目として、政策分析です。

2.政府/行政側の方針を学習したAIをつくる。

 今回は、下記のようなデータを手元に準備しました。すべてPDFやWordなどのファイルです。すべて公開データを使ってやってみます。

 <政府/行政の考え>
  学習元データ:現政権の公約集
             直近の予算概要書
             その他公開データ 
 <議会の考えの分析>
  学習元データ:議会議事録(Youtubeのテキストデータ)
         政党のWebページ
         その他公開データ

3.(分析)政府・行政、議会それぞれの考えを学習させ、分析させる

 まずは、政府の考えを学習させるプロンプトをAIに打ち込みます。GPT4oに下記のプロンプトを打ち込みます。


今回作りたいのは、議会答弁を支援するAIを作りたいと思っています。

・議員さんが所属する政党ごとに、特徴やどういう質問をしてくるのかをあらかじめパターンや想定質問を考え、それに対する想定問答集も作っておく

行政側の回答は

・議員からの説明に、論理的で、過去の答弁とも整合性がとれており、事実に基づいた回答であること
・議員に対して、質問への敬意を示し、かつ行政としての考えをはっきりとしめすこと
・相手が与党議員であれば、その政策の魅力のPRにフォーカス。
・相手が野党議員であれば、その政策の正当性の主張にフォーカス。

が求められます。一緒に作りましょう!!

 あわせて、手元にあるデータセットや開発環境も伝えておきます。僕の場合は下記の通りです。

今手元にあるもの、そして私の開発環境と希望を伝えます。

①手元にあるもの
 議会の過去5年の議会議事録
 理想的な答弁書の雛形
 政党ごとの政策集
 
②開発環境
 Google cloud shell
Google code 
Google Colab
dify


③開発したいもの希望
 ver1.0  =>チャットボット
 ver2.0 => マイク付きイヤホンでver1.0のLLMをvoiceUIで実装

です。


さて、ここからどんどん情報を入れておきます。

早速ですが、答弁例です。今日はこの中のJAPAN党のA議員について特化して分析してもらえたらと思っています。

で、今やりながら思ったのですが、議会データってものすごく膨大ですね。
youtubeが公開されていたのですがそのyoutubeをあなたに見ていただいて、そこからあなたにA議員の特徴を分析してもらうことはできますか

もしくは直接youtubeができない場合、何かいいやり方は思い付きますか


GPT4oに参照させる公開データをアップします。



データ提供をして、まずはその内容を確認させます。

A議員の議会ごとの発言集をまとめました。それぞれ3回分です。1シートに1回分書かれています。読めますか

 ここでAIがしっかり内容を読めていることが確認するプロセスをとりましょう。いきなり資料を作らせたりせず、「データの読込と確認」と「データ内容の分析」をしっかりAIにさせることで、のちのちの「出力」も納得感あるものがでてきます。

OKです。よく読めていますね。

ではこの3回の議会から、A議員は、どういう考えを持っている政治家であるとあなたは分析しますか?

考え方や、主義主張、その他、政治家として右だったり左だったり中道だったり、いろいろな分析ができると思いますが、あなたなりに分析してください

 

まずは公開データをAIがしっかり読めているか確認

次に政府や自治体、いわゆる行政側の現状認識をさせましょう。

ではA議員の分析は一旦このくらいにして、
次に答弁者である政府の主張を確認してもらいたいです。

このデータが読めますか?このデータは政府の政策がまとめてあるWebページのPDFデータです。
またこのデータが読めたことが確認できたら次に、政府とA議員の間で、考えが一致する政策、一致しない政策をそれぞれまとめてください


どんどん情報を入れます。データは多い方がまずはいいです。あとから整理はできますし、AIと対話するのに慣れる意味もあります。

A議員の政策Webページも見つけました。これも踏まえて同じ質問です。

政府とA議員の一致点、不一致点をお願いします。
できるだけ細かくお願いします。



現政権の考えと議員の一致点や不一致点を出させます。

 現場感を持っている公務員と、AIの出力内容が、ある程度フィットしてきて、"よく資料を読めているな"・"よく分析できてるな"、という状態まで対話を進めましょう。

 さらに、これはコツですが、参考データを出すときは、そのデータをどういう時に参照しにいってほしいかを伝えるといいでしょう。(なんだか人間と同じですね)

こちら国会での発言ではないですが、今年度の予算概要です。
この資料は、A議員との答弁のときに「今年度、こういう予算を組んでいる」ということをしっかりPRするために使ってください。

内容を確認してもらえますか?そして確認できたらこの資料から読み取れる、政府が今年やろうとしている本腰をいれようとしてる内容の概要を教えてください

 さて、ここまでいかがでしょうか。あなたの手元のAIもちゃんと読めているか、ここで止めていいので、確認してください。

1.参照データを投げる(公開データ)
2.読めたか確認(読めた?と聞く)
3.AIに分析させる(本当にわかってるか確認する)

という3つのステップを踏んで、いきなり作ってほしい出力を要求せず、まずはAIと認識合わせをしてきました。

 これを繰り返していくと徐々にAIも理解してきました。下記は、議員さん毎分析とともに、政治的な立ち位置や質問のスタイル(与党や野党か)なども、分析させたので紹介します。

政策だけでなく、政治的立場や質問スタイルも。

 さて、ここまでで少しグラフにしてみましょう。下記のプロンプトをAIに投げてみましょう。

ここまでの議員の考えごとにGoogle Colaboで、レーダーチャートを描写して

 そうすると下記のようなコードが出てきます。中身は見なくてOKです。
右上の「コードをコピーする」をクリックしてコピーしてください。


このコードはグラフを描写する指示書です


 ここまでできたらGoogle Colaboというツールを出します。下記のURLから入ってください。

開いたら下記のような画面になりますので青い文字の「ノードブックを新規作成」

すると下記の画面になります。
ここの薄いグレー部分がコードを書くところですので、ここのさきほどのコードをそのままペーストし、「▶️」を押します。

さきほどのコードをコピペし
、▶️を押します。


すると、下記のようなレーダーチャートができます。

政治家毎の関心の強いレーダーチャート

  この図では赤が政府、青と緑が議員の関心政策です。

それぞれ、右回りに、下記の8つの領域について関心の高さを描写しています。"教育"、”福祉”、”子育て"、”防災対策”、"経済政策"、”コミュニティ"、”公共福祉と安全”、”デジタル政策”の領域でそれぞれの政策のどの程度前向きかを描写しています。

 さて、分析データはある程度整ってきたので次回からは、実際に答弁書を考えていきましょう。

 同じ国会答弁書の作成でも、与党なのか野党なのかで答弁の方針は少し変わるでしょうし、参照しにいくべきデータも、ケースによって異なると思います。お楽しみに!






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