いってらっしゃい

明日は、国公立大学の二次試験の日、及び、二次試験初日だ。実家から離れた遠くの大学を受験する人たちは、今日前泊して、明日の試験に備えることだろう。多くの大学では、明日1日で試験が終わる一方で、試験科目の多い一部の大学では、明日明後日が試験日となっている。

ろきちゃんも4年前、5年前の今日、八王子のホテルに泊り、明日の試験に備えていた。当時は東北地方からほぼ一歩も出ない生活をしていた頃だったし、電車にもろくに乗ったことがなかったから、東京に行って電車に乗り、しかも時間内に行ったこともない目的地に向かうなんてら一体出来るだろうかと、不安でしょうがなかったことを覚えている。もしも、電車が遅れたら?もしも、どこかに忘れものをしたら?とか、試験以外の不安が大きかった。でも、電車が遅れたくらいで、すぐに別の電車が来るし、忘れ物大丈夫かな?とか思っている時ほど、忘れ物なんかしない。全ては杞憂だった。

2年間も受験を経験したろきちゃんのルーティーンは、ホテルに荷物を預け、勉強出来そうなカフェを探し(カフェで勉強するのは憧れだった。現役の時はスターバックスに、浪人の時はミスドで勉強した。今思えば、よくスターバックスに入ったもんだ)、夜ご飯として、外食をするというものだ(消化に良いものを食べろと父親はうるさかった)。なんとなく、非日常な感じがして、試験の前日及び試験日が好きだった。

そして、本番当日。会場に向かう。どんだけ不安でもすんなりと試験会場には着くし、念には念を入れ過ぎて、着くのが早過ぎたりもした。どう考えても、同じくらいのレベルの子たちが教室にはいて、もしうまくいったら、来年からこの学校に通うことが出来るんだ。

試験が終わって、新幹線で帰る。その瞬間に、友達たちがやっていたあらゆるSNSを始めて、久しぶりにログインするゲームに夢中になった。SNSの初期設定をしながら、ゲームに夢中になりながら、試験の答え、難易度が気になり過ぎて、受験生用のネット掲示板に食らい付いていた。参考にならない自己採点をしながら。

浪人してた頃、試験が終わって仙台に到着し、寮に帰るまでの間でご褒美として、寮に帰ってから食べる、当時にしてはちょっと高いコンビニスイーツを買った。それが、なんか大人になれた気がして、分かりやすく、自分のためにお金が使えた気がして嬉しかった。

本番は明日明後日かぁ。

きっと、「頑張れ」という程に、軽薄で無責任なエールはないけども、それでもその人が精一杯に「頑張ってきた」のは分かっているから、出来る限りの想いが乗るよう、端的に、あの日言えなかった「頑張れ」。

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