仕事ができない後輩の公開垢を見つけ、退職することを知った話

春らしいさわやかな季節にふさわしくない、結構性格の悪いタイトルだと思う。それでも率直な気持ちを書いておきたいと思った。もし、新たな環境に飛び込んだあらゆる人に見ていただけたらとても嬉しい。


できない後輩との出会いと別れまで

2021年度の終了をもって、チームの後輩が退職した。彼は僕の3歳年下で、今のチームには1年前に加入した。約1年、激務を共にした仲間だった。

ここで少し我々の所掌する業務に触れておこうと思う。会社の事業運営の根幹を担う業務で、少数の人数かつ短時間で執務を遂行しなければならない割に目立たない、失敗したら経営幹部を巻き込んで大騒動になったりする、誰も望んでやりたがらない業務を担っている。僕は着任してもう2年になるが、感情を殺して業務に臨んでいる。

そんな部署に彼はやってきた。まだ入社歴も4年程度。従来我々の担当は7年目以上の人材が担当してきたから、最初は驚いた。とはいえ、たかが3年の経験差だし、長く会社にいるから優秀なわけではない。期待の戦力として迎え入れられた。

1年の業務を通して、彼はこの仕事に向いてなかった、と思っている。指示された内容を理解できず、向かうべき目標に対して具体的なアクションを組み立てることができなかった。自分のプライドを捨てきれず、タスクを抱え込んでしまう傾向にあった。抱え込んだタスクは直前で露呈され、幾度となく修羅場を迎えた。その尻を拭うのは僕しかいなかった。

僕は元々気が長くない上に、既に激務によって大分消耗していた。チームメンバーの尻ぬぐいをする体力はなかったが、もはや責任感ともいえないよくわからない感情を振り絞って、どうにかこうにか形にしたことは数知れない。序盤は後輩のミスは先輩のミスとどうにか自分をごまかしていたが、後半にかけてはもはや感情をコントロールできなかった。Slack上の文章は今でも見返せるが、怒りを込めた文章は刺々しく後輩を傷つけていた。もしかすると、今でも傷つけているかもしれない。

いつまでたっても独り立ちできない後輩に対して、上司に相談の上いくつかの処置を講じた。業務量を減らしたり、新たなタスクは振らない。現在のタスクを滞りなく対応できるようになるまで、量は一定を保ったり。(もちろんそのしわ寄せは僕に寄る)

もちろん僕の指導力にも問題があろうと考えた。説明がうまくない可能性を考え、マニュアルを作ったり、指示書を作成したり、工程表を作ったり、とにかく具体化・再現性を意識した。

心理的安全性を担保できていない懸念もあった。というより、実際担保できていなかった。後輩起因で修羅場が形成されるたび、僕の感情がフルパワーで暴れだすからだ。平時に優しい素振りを心がけてはいたが、意味はないだろう。

そんなこんなで僕の方でも色々と考えたり、アクションしたりしたが、結果として僕の心身が異常を来すようになった。まあ、仕事のプレッシャーや激務、後輩に対する悩みや自己嫌悪でよくわからなくなっちゃったのだ。心身の異常は今でも続いているし、働き続ける限り一生付き合っていく他ないだろう。

一方の彼はどうかというと、僕からは非常に強いメンタルの持ち主だと感じた。まず、基本的に自分事として仕事をしないでいられる。自責にしがちな日本人の中では結構珍しいタイプだと思う。マイペースを優先する気質を持っていたと思う。

ただ、僕がそのタイプと真逆の性格であり、彼の業務の後工程を担っていたので、もちろん相性は最悪だった。

公開アカウントを発見してしまう

心身の不調が生じてから、転職を考えた。このままじゃ壊されると思ったからだ。そう思ってtwitterで自分がやってる業務を検索したりして、似たような状況の人いないかなーくらいの気持ちでスワイプしていた。

そうすると、ツイートの海の中に彼がいた。
公開アカウントでめちゃくちゃ解像度低めの業務内容や愚痴、自身が特定できる情報を垂れ流していた。

私への文句が多かったりしたら気まずいなーとは思ったが、好奇心が刺激されて一心不乱に過去のツイートを読みふけった。

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おいおいマジか、の一言に尽きた。

色々思うところはありすぎたが、彼はこの職場を去る。
それだけは一連のツイートから判断できた。

不思議なことだが、この事実を知ってから心的負担は非常に軽減した。もちろん彼の退職により戦力が減少するわけだし、費やした稼働時間に対する文句等もあるのだが、それ以上に悩みの種が自分から去ってくれることに安心していた。それからは彼に対しても(比較的)優しくできたし、ある程度の距離感や割り切りで対応できるようになった。まあ、辞めるとわかってる人のフォローをするのはなんだか損なような気もしていたが、あまり気にしないでいることができた。

彼が公に転職を宣言してからは僕が業務を引き取った。業務量は増えたが、自分でコントロールできるようになったので、結果として稼働時間は大幅に減少した。彼の退職を前提にした体制になったことで、僕の体調および生産性は劇的に改善していった。

この件で僕が得た教訓

彼だけが原因なわけではないが、僕にとって彼と共に過ごした1年間は大変過酷なものだった。ただ、彼も同じように思っているだろう。もしかしたら憎まれているかもしれない。彼の立場から見た景色はやはり彼しかわからない。フルリモートで働いてるから、対面での細かい機微も感じ取ることも難しい。

個人的な感想はいくつかあるが、彼が良い悪い、僕が良い悪いという話は相対的な話なので置いておく。教訓として胸に刻めることは一つだ。

悩みの根本を取り除けば、事態は好転する。

僕にとっても、おそらく彼にとってもそうだったように。
クソ忙しいころは無理だったが、今の状況なら素直に彼の新天地での活躍を祈れる。新たな環境でお互い頑張ろうじゃないか。

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