世界のチャリティショップ①(フランス・イタリア・オランダ) 山崎亮トークセッション「チャリティショップとその魅力その2」
2020年8月31日にkudan houseで開催された「NI-WA×Loidutsによる共感を広げるクリエイティブな9日間。」内で行われたトークセッション「山崎亮が語るチャリティショップとその魅力」を元に記事にしました。
その1はこちら
山崎亮
(studio-L代表/ロイダッツチャリティショップ総合ディレクター)
1973年愛知県生まれ。東京大学大学院修了。博士(工学)。社会福祉士。2005年にstudio-Lを設立。地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインに携わる。まちづくりのワークショップ、住⺠参加型の総合計画づくり、瀬戶内国際芸術祭コミュニティアートプロジェクトなど、さまざまなプロジェクトを手がける。
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僕が訪れたチャリティショップを紹介していきます。
emmaus(エマウス)/フランス
フランスで店舗数が多く展開されているチャリティショップです。
教会の牧師をやっていたアルティエールという方が作ったチャリティショップで、この人は5,6年前ぐらいまで、フランスで一番人気のある人という投票をやるとずっと1位だった人です。国会議員をしたり、テレビに登場したりして、みんなに愛されていたおじいさんでしたが、残念ながら亡くなられました。この人が寄付を募って協会を経由し、フランス国内で生きていくのが難しいというふうに思われている方々に、働く場所を作るという事業がこの「emmaus(エマウス)」というチャリティショップです。
emmausのテーマカラーは青と黄色で、これはアルティエールさんが大好きな色なんです。街中では青か黄色の看板がみられるんですが、黄色い方はちょっと高級バージョンなんです。
中には、量り売りのお店があったりもします。上の写真がその量り売りのお店です。真ん中の木の箱に服が入っていて、袋に詰めて、1kgでいくらというスタイルで計り売りしています。
それから、「地域の仕事を作る」ということも、アルティエールさんのテーマにあったので、emmaus(エマウス)のいくつかのショップの奥には、ワークショップ=工房が入っていて、そこで服を加工して、より価値の高いものにしていく「アップサイクル」をしていくということもされています。
上の写真はそこでアップサイクルされた服の一つです。2枚の売れなかったブラウスでリメイクされていて、襟の部分と袖の部分をもう一個別の服に着付けると急にバランスが取れた服になるんですよね。
Bis Boutique Solidaire (ビス・ブティック・ソリデール)/フランス
ビス・ブティックはカトリック系の慈善団体が運営しています。インテリアや並んでいる商品、レイアウトがとてもおしゃれで、かなり厳選した商品を並べているというようなお店です。お店はパリでもとても有名な通りの真ん中にあって、アニエスべー本店のすぐ近くにありました。一流ファッションブランドが並ぶようなところに、わざわざ店を出しているというチャリティショップです。
ANT IN CORTE/イタリア
イタリアではチャリティショップを探すのがとても難しかったのですが好きなお店に出会うことができました。
このお店で気に入ったのはリネンなのですが、このお店ではたまたま上の写真のような生地がとても多くありました。この大量の布は何なのか疑問で、通訳の方に聞いてもらったんです。
イタリアでは結婚するときに花嫁がまっさらなリネンの布を大量に持って嫁入りするそうなんです。全部右下のところにイニシャルが刺繍されていて、これでほとんど一生分の布をそこから作っていく。服を作っても良いし、テーブルクロスにしても良い。その布をたくさん作っている工場があって、その工場が廃業したときに倉庫に余っていた大量のビンテージの布をチャリティショップに寄付してくれたらしいのです。
最初、チャリティショップでは何もプリントされていない白い布を売っていたのですが、その話を聞いた有名なプリント会社が「うちが無償でプリントしてあげる」と申し出てくれたそうです。すると、そのプリントの柄をプラサリティというデザイナーの方が、「無償で提供するよ」と言ってくれたそうなんです。寄付されたリネンと提供してもらったデザイン、さらに無償でプリントしてくれる会社。それら三つが合わさって、色んなデザインの柄がついた布がとても安い値段でチャリティショップにおいてあったというわけなんです。
3社が作った布をそのまま普通に買ったら非常に高いですが、おそらく10分の1ぐらいの値段でした。そんな話を聞いて、うちのスタッフたちと一緒に行きましたが、喜んでみんなで買ってきましたね。上に写っている魚の模様の布は僕が買ったものです。
KERK & BUURT/オランダ
オランダは、語りたいネタがたくさんありますが、今回はおすすめのネタを厳選してお伝えします。
上の写真に写っているKERK & BUURTは教会の地下にあるチャリティショップです。左上の方に上がっていくと教会の中に入りますが、右下の方に下がっていくとチャリティショップがあります。チャリティショップの奥には食堂があって、地域の方々が食事を作り、食べることが難しい子どもたちに食事を提供している子ども食堂のようなこともやっています。
ここで面白い話を紹介します。
オランダで有名なのは「ヘッド」というチャリティショップです。オランダ全土で30店舗ぐらいあるチャリティショップですが、このショップはインターネットの時代になったということで、オンラインショップを10年以上前に作りました。
マルクトプレイスという名前なんですが、とても有名になって、オランダ人ならとりあえずまずそこを覗くというようなサイトになりました。日本で言えば楽天みたいなイメージです。
ここで売り買いが非常に多くなったので、アメリカのeBayという中古品を扱う巨大な会社が、ヨーロッパの足がかりとして、日本円で何百億円かのお金でマルクトプレイスを買収しました。何百億円かでチャリティショップのウェブサイト部門を売却するという展開が、良かったかどうかは判断は分かれています。
チャリティショップがおもしろい展開を色々するという意味では、ヨーロッパでさまざまな展開が進んでいるという気がしています。
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トークセッションの様子はYoutubeでもご覧いただけます。
どうぞご覧ください!