Logoアルバム発売記念インタビュー vol.2
2000年代、東京を中心にバンドという形態でそれぞれに活動していた2人のシンガーソングライター、伊藤立(ChesterCopperpot)と黒田晃太郎(フラバルス)によって2013年に結成されたデュオLogo。そのファーストアルバム「1(ワン)」が8月25日に発売される。9月には東京、大阪でレコ発ライブも控え、本格的に活動を開始するにあたり、本誌は彼らにインタビューを実施。「1」の制作プロセスを軸にしながら、これまでの歩みから現在までのユニットの状況をかなりオープンに語ってもらった。(写真:いとうゆうじ[ChesterCopperpot])
家で音楽を作りやすい環境にはなってきている
(前回のつづき)
(黒田晃太郎 以下「黒」):まあ、若い頃はどうしても焦るよね。何をどうすればいいのか、ていう不安あるのかもしれない。
(伊藤立 以下「立」):あ〜。
黒:でも歳を取ってくると、だんだん定まってくるじゃん。結婚して子どもできて・・・とか。そうなると、ああもうこれやるしかないや、ってなってくるよね。渡る橋はもう一本しか残ってないや、みたいな。
立:あ〜。
黒:そうなると、この橋を渡らないといけないんだけど、その上でどうやって曲作り続けようかなとか、考えるよね。でも今の時代は、そんな状態でも活動がしやすいと思う。
立:あ〜。
黒:ほかの仕事もやりながらだから、時間的には十分というわけではないんだけど、今の時代、家での制作の環境が上がってきたのも大きいね。クオリティの高い音で打ち込みが、家でできるようになって、最後まで完結させられるようになったわけだし。10年前には考えられなかった。
立:そうだね。今はそれがいいことなのか悪いことなのかわからないけど、、まあ、いいことなんだろうね。
黒:逆らえない流れ、というかね。楽曲提供のコンペとかも、フツーにメールできて、メールで曲を送るみたいな感じだし。
立:家で作業できる利点みたいなのは、ある気がするね。家の雰囲気とか、そのまま取り込めるし、リラックスして作れるというは利点ですよね。
黒:アルバム「1」の『シンク』での、立くんの手拍子とかって、あれほんとに家で叩いてるなあ、という感じがするよね。
立:そうっすね(笑)。
バンドの中のシンガーソングライターが苦悩してるのって味わい深いですよね(自虐)
黒:話変わるけど、「バンド」でやりたいっていう気持ちはある?まあ立くんは今もチェスターやってるけど。
立:う〜ん…あるね。「バンド」形態が一番かっこいいというのはあるかも知れない。黒田くんってそういうのあるんですか?
黒:そりゃあ、めっちゃありますよ。一番最初に聴き始めた音楽がサザンオールスターズで、青山学院大学で(だいたいのメンバーは)出会って、バンドを組んで、デビュー!っていうのが、理想的だなと。
立:あこがれ的な。
黒:そう。音楽との本格的な出会いは、邦楽がサザンで、洋楽がThe Beatles。両方バンドですからね。高校生で初めてバンドやったときの曲はRamonesだったし。
立:あ〜。
黒:あと、なんといってもバンドですげえって思ったのは、大学生になって東京出てきた時に、デビュー直前のNumber Girlのライブを新宿JAMで観た時ですね。ものすごい人がいたんだけど、なんかね、演奏はそれぞれがめちゃくちゃやっているようにしか見えないの。めちゃくちゃやっているようにしか見えないんだけど、それぞれの音が混ぜ合わさるともの凄い一体化したサウンドになってて、衝撃だった。で、全体としてものすごいサウンドだな〜と思って、もう一回それぞれの人を見ると、やっぱりめちゃくちゃやってて。おお…これがバンドのマジックか、と思ったね。
立:あ〜。
黒:生身の人間が何か集まって音を出しあう、ってのがいいんですかね。
立:あ〜。俺はなんかこう、バンドの中ですごく良い曲を書く人、そういうソングライターの存在にすごいあこがれるんですよね。The Whoのピート・タウンゼントとか、The Beach Boysのブライアン・ウィルソンもそうだけど。なんかああいう、ちょっと孤独をもった(笑)。
黒:孤独?
立:なんか苦悩しているのが面白いというか、いいなあと思っちゃうんですよね。緻密に考えて曲を作ったんだけど、それをバンドで鳴らすとガシャーンとなるっていうか。曲を作ってバンドで鳴らして、っていう何工程も経てやっているというのが面白くて。で、その音の元をたどっていくと1人のちっちゃい人間が作った骨組みを感じるのが好きですね。
黒:あ〜。なるほど。
立:バンドの中の1人で、なんか闇があるのがいいんすよね。
黒:それを言ったら俺もサカノボルトやってたときめっちゃ苦悩してた(苦悩している様子)。曲作っても、俺一番年下だから、弱いんですよ。速い曲作って持っていってもBメロはテンポ半分にされたり(笑)(テンポ半分にされた様子)。
立:あ〜(笑)。
黒:しかも若いからそれにたいする対応力とかもないじゃないですか。これはバンド一般に当てはまることだと思うんだけど、曲を作る人がいて、その人の世界観があるじゃないですか。で、「曲を作った人の世界観を体現する」ためにバンドで演奏するんだけど、それとは別に、「バンドメンバーが4人集まってその人達にしか鳴らせない音を出す」っていうのがバンドの醍醐味だ、という側面もあって。つまり、作った人の世界観を体現するというのと、バンドマジックが起こるというのと、2つがあるんですよね。それらが最初は簡単に両立するだろうと思ってたんですけどね。なかなか難しいよね。
立:わかりますね〜。渾身の一曲がバッサリ捨てられたりとか。
黒:そうそう(笑)。で、両立させるのはそんなに簡単じゃないと気づいた。どっちが先かという時に、まずは自分の作った曲を構築したいと思って、バンドをやめて1人でフラバルスを始めたんですよね。
立:あ〜。
黒:でもフラバルスはフラバルスでいいバンドメンバーに恵まれたんですけどね。で、その後、シンガーソングライター同士でLogoを組んだら、ちょっとまた違った味わいになりましたよね。バンドの時とも1人でやってた時とも。
立:そうですよね。
黒:バンドやってた時は「曲を作った人の世界を構築する vs バンドマジック」の両立が問題だったのが、「曲を作った人の世界を構築する vs 曲を作った人の世界を構築する」になったというか(笑)。
立:あ〜。そうですねえ。
(次回に続く)
1st Album「1」(CD+ハイレゾ)¥ 2,000
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公式サイト
http://logo.jpn.com
全曲フル試聴
https://soundcloud.com/logojpn/sets/1a-1
インストバージョンフリーダウンロード https://soundcloud.com/logojpn/sets/logos-first-album-1-intstrumental
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