「ずっと、いつか声をかけようと思っていて、、、」
今、私には、足繁く通っているところがある。毎日同じルート、同じ時間帯にそこに行く。そこでは、私は異質でしかない存在だ。
毎日通っていると以前からそこに通っている人たちに気がつかれるようになり、2週間もすれば、お互いに「あ、今日も来てるな」と認識し合えるようになる。
毎日同じことの繰り返しだが、今日は少し動きがあった。
私が用件を済ませ帰ろうと思い靴置き場に向かう。すると、よく見かける夫婦が玄関の椅子に座っている。「おじさんとおばさん、座ってるな」と思い靴を取ろうとした時だった。
おじさんが笑顔でスーパー早口で話し始めた。
びっくりして、とりあえず、おじさんの話す言語がまだよく話せないことを伝えると、おじさんは「そうか、ごめんごめん」と言い、私でもわかる言語にパチっと切り替わった。
「いつも来てるだろ。ずっと、いつか声かけようと思っていて、今日会えたから、声をかけたんだ」
「見慣れない顔だし、明らかに周りとは違うだろ。だから、すごく気になっていたんだ」
と、おじさん、興奮気味に話す。
私が、今そこに足繁く通っている所以を話すと、おじさんとおばさんは温かい目で理解を示してくれた。応援までしてくれた。
嬉しかった。
ようやく、ここに集まる人たちに少しだけ認められたような気持ちになれた。
最初から、私がどんどん声をかけて行けばよかったのかもしれない。ここは反省点だ。しかし、大前提としてそこは「静寂が保たれている空間」であり、私は異質な存在だ。馴染むまでに時間がかかる。今も馴染めているとは言い難い。
ようやく、知り合いになれたが、足繁く通える期間には限りがある。新年度が到来してしまったため、あと2日しか私はここには来れない。
明日も明後日も「いつものメンバー」に会えるだろうか。会えたら、次は私から声をかけよう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?