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【韓国】ソウル歴史博物館:常設展示

先日、市庁駅(City Hall)から徳寿宮の横の貞洞通り(チョンドンギル)を抜けて、煉瓦が美しい街並みを散歩しながらソウル歴史博物館へ行った。

今回の韓国ソウル滞在は「博物館に行くぞ!」の気持ちで博物館巡りをすることが目標のひとつだ。時間が許す限りたくさんいろんなものや展示が見られるといいなと思う。その1件目がソウル歴史博物館だ。忘れないうちに感想を記録しておこう。

基本情報

場所:韓国、ソウル歴史博物館
アクセス:光化門駅7番出口、西大門4番出口
近隣のランドマーク:キョンヒ宮、徳寿宮、光化門

開館時間:9時〜18時(最終入場時間17:30)
休館日:祝日を除く毎週月曜日
入館料:無料

常設展示室:ソウルの600年を描く

「ソウルの600年を描く(600 Years of Seoul)」

第1ゾーン:500年続く王都を建てる(Establishment of the Joseon Capital)

第1ゾーンでは1392年から1863年の朝鮮建国後、漢陽が都になってから開港以前までの朝鮮王朝時代のソウルが展示されている。当時の人々の様子を再現した模型やアニメーションからは活気あふれる王都が感じられる。

展示から展示へ移動するときには門の壁画を横切ったりくぐったりする。このソウル歴史博物館の近くにもさまざまな「門」があり、そこが現在もランドマークとなっている。この地域では「門」が起点となり、人々の生活があることがわかる。


第2ゾーン:伝統をふまえた皇都を夢見る(Taking Tradition Forward with Aspirations for an Imperial Capital)

第2ゾーンでは1863年から1910年の大韓帝国期のソウルが展示されている。朝鮮王朝時代の賑やかで穏やかな町の様子からは一転、新しいモノや文化なるものが流入され徐々に近代化されていく様子が見られる。

渡り廊下を渡って第2ゾーンに入るとここからの展示は映像やタッチパネルでの映像・レプリカの解説が増える。見て触るだけでも随分楽しい設計になっている。もっと韓国語ができればあと10倍いや100倍?楽しめたかもしれない。

日本の歴史をチラッと確認すると第2ゾーンは明治維新前後から、韓国併合(明治43年/1910年)までの時期にあたる。日本では1867年に大政奉還・王政復古宣言があり翌年の1868年は戊辰戦争を経て、明治維新が起き「富国強兵」をスローガンとする国になる。1889年には大日本帝国憲法が制定・公布され、1990年11月29日に施行される。


第3ゾーン:都市近代化の影(Shades of Modern Urbanization)

第3ゾーンは1910年の日本による韓国併合から第二次世界大戦が終わり、日本から解放される1945年までの時期のソウルの様子が展示されている。おそらく、この常設展時の中で日本の人が1番ザワザワするゾーンだろうと思う。

第3ゾーンは日本が韓国に侵略し、植民地化する部分であるが、このゾーンの日本語の説明はやや薄いように感じられる。英語が堪能な方は日本語の解説と英語の解説を是非とも読み比べてほしい。また、韓国語が堪能な方は韓国語・日本語・英語を読み比べることでもっと理解が深まるんだろと思う。

ここは韓国ソウルの歴史博物館であり、韓国の歴史が展示されている場所であることを念頭に真摯に展示をみるのがいい。歴史問題や歴史認識は奥が深いがお互いにどのような認識であるのかを見つめるために博物館があるのだと思う。(この展示を見て「歴史が違うじゃないか」とかネトウヨ的なことを言ってるようではダメだと言いたい)


第4ゾーン:廃墟の上に成長した巨大都市(Rising from the Ashes to Become a Metropolis)

第4ゾーンは1945年の解放から2002年のワールドカップまでのソウルが展示されている。この期間には1950年に始まる朝鮮戦争(6.25 韓国動乱)が含まれている。そのため、廃墟だったソウルが世界的な大都市にまで急成長する様子がこのゾーンでは見られる。

ソウルのアパートの展示では、アパートの一部屋 - 玄関からキッチン、リビングに子どもの勉強部屋まで - が当時のモノと共にそっくりそのまま再現されている。また、市場の中にある飲食店の展示も、昔あったお店をそのまま博物館に展示している。看板から店の中のものまでそのままだ。この二つのブースはタイムスリップしたような気分になる。

ドラマ「応答せよ」シリーズや「二十五、二十一」を見た人なら、ドラマの中でこんな感じだったよね!となるはずだ。


第5ゾーン:ソウル、今日そして明日(Seoul Today and Tomorrow)

都市模型映像館

第5ゾーンは現在のソウルだ。携帯電話やインターネットがこの20年で急速に発展したこと以外にも、K-popが大躍進し、BTSが国連でスピーチをしたことまで展示されている。

順路を進んでいった先にある都市模型映像館はソウル市全体を見下ろせるマルチメディア展示室になっている。時間になれば大きなモニターにこれまでのソウルの様子が映像として映し出され、放送時間以外は都市の模型がタッチパネルと連動して解説してくれる仕組みになっている。

私がちょうどこの展示に入ったときに、小学生3人と先生1人のような組み合わせの4人組が入ってきた。先生のような人が子どもたちに光っている模型を指差しながら「ここに〜があるよ」「あれみて!」とソウルを解説していた。子どもたちはボードと紙を持って何かを書きながら楽しそうにしていた。

「第1ゾーン:漢陽の繁栄」の村人の展示

おわりに

私が平日の午後に行ったためか、人も多くなく静かに展示を楽しむことができた。第5ゾーンに行ったときに子どもと先生のような組み合わせを見かけたが、おそらくここは韓国に住む子どもたちが、遠足や社会科見学で何度も何度も来るところなんだろうと思う。

博物館の1階には託児所があり子どもを預けることもできるようだった。
私が博物館から出るとき、子どもと迎えにきた親たちが託児所から出てきているところだった。お面を作るイベントがあったのか、子どもたちはみんな同じようなお面を持っていた。

常設展が充実している博物館はいい博物館だ、と勝手に信じている。
大変いい博物館だった。常設展は充実しているし、企画展もしているし、なのに観覧無料だ。ついつい、日本の博物館はどこでも入館料とるのに、と思ってしまう。ちなみに入館料が無料な博物館はここだけではない。歴史博物館周辺の博物館や美術館はだいたいが観覧無料だ。なんなら、無料でセミナーまで受けられる。

韓国に来た際にはぜひふらっとなんとなく博物館や美術館に入るのを強くお勧めしたい。無料なのにどこまでも入れ、かなり充実の内容だ。

さて、次はどこに行こうか。ここにもまた来よう。

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