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トッケビと花。 韓国ドラマ 「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」 vol.2

トッケビと花。

ドラマ「トッケビ」の劇中にはいろんな植物、花、花束が登場する。その、花々に注目してドラマを振り返りたい。

*ひまわり

まず、第1話。キム・シンが死刑され、遺体が放置される。

その場所には「枯れた」「ひまわり」

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【ひまわりの花言葉】「あこがれ」 「私の目はあなただけを見つめる」「あなたは素晴らしい」「崇拝」「熱愛」「光輝」「愛慕」「いつわりの富」「にせ金貨」

市民から慕われていたシン。「枯れたひまわり」は「憧れが死んだ」ことを表現しているとも考えられる。

そして、その場所は、「ソバの畑」になる。

公式サイトによるとトッケビは「いたずら好きで、ソバが大好物」らしい。シンが一人でぼんやりしている場所は「そば畑」。この「そば畑」はシンとウンタクしか入ることができない場所であり、二人が結婚式をする場所である。

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*白菜

次に、「白菜」。ウンタクが母親を亡くし、病院に呼ばれ、玄関を出ると[老婆]が待っており、その[老婆]がウンタクに手渡すもの。「白菜」。

この日はウンタク9歳の誕生日。誕生日プレゼントに「白菜」。

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【白菜の花言葉】「固い約束」

[老婆]はウンタクの母にアドバイスを与えた人物であり、死神に遭遇したウンタクを助けてくれる存在である。その人から、「白菜」を渡される。

「なんで助けてくれるの?」というウンタクに、[老婆]は「かわいいから」と答える。母親は死ぬ前に[老婆]に「時々ウンタクを見かけたら、面倒を見てやって」と頼んでいた。

「白菜」がその「固い約束」を表現しているとも考えられる。また、韓国では白菜はよく食べられている。キムチしかり。白菜が食生活には重要な位置を占めているとも考えられるため、この場面では他でもなく「白菜」がぴったりなのだ。

*ジャガイモが食生活を支える地域であれば、袋いっぱいのジャガイモが手渡されていたかもしれないとか。


*ソバ

そして、ウンタク、19歳の誕生日。海でケーキのろうそくを吹き消す。すると、シンが現れる。シンは「呼ばれたから」と言い、持っていた「ソバの花束」を渡す。

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【ソバの花言葉】「懐かしい想い出」「喜びも悲しみも」「あなたを救う」

劇中では、ウンタクが「ソバの花言葉は何だろ?」と聞く。

シンは「”恋人”だ」と答える。

公式サイトでは、韓国でソバの花言葉は「恋人」「愛の約束」と記されている。

まさにBeautiful Life〜♫がここから幕を開ける。ウンタクは「トッケビの花嫁」であり、シンはウンタクに呼び出されて来たため、恋人みたいなものだ。

例えば、ここで、「薔薇の花束」だと変なのだ。というのもシンは相手をよく知っているわけではない。また、シンの大好物は「ソバ」だから、「ソバの花束」が適切なのだ。

前述したように、シンとウンタクが結婚するときは、「ソバの畑」で「ソバのブーケ」を持って二人だけの結婚式をしている。

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*カエデ

第2話でウンタクはシンの開けた扉によりカナダにたどり着く。

カナダは「”カエデ”の国」

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【カエデの花言葉】「大切な思い出」「美しい変化」「遠慮」。「美しい変化」の花言葉は、季節の移り変わりとともに葉の色が緑、黄、オレンジ、赤と変化していくことに由来します。カエデの英語の花言葉は「reserve(蓄え、遠慮)」です。

ひらひら落ちてくる葉っぱを掴むと、一緒に歩いている人結ばれる。

ということを、ウンタクはシンに話す。

このときにキャッチした、カエデの葉っぱをウンタクは大事に持って帰って、ラミネートして、シンに後日プレゼントする。二人にとって、カナダでのこのことは「大切な思い出」であることがわかる。


・落ちてくる葉っぱを掴むと、一緒に歩いている人と結ばれ、

・散る花びらを掴むと、初恋が実る

とここでウンタクは語っている。ウンタクとシンが、<散る花びらをキャッチした時、まさに、トッケビとウンタクの初恋は実り、二人は結婚する>、と言うことが2話の時点で示唆されていることがわかる。


*綿毛のたんぽぽ/たんぽぽ

カナダのケベックにシンが来た理由は、「法事」。

御墓参りをするシンをウンタクは見つける。その時に、ウンタクが持っているのが、「綿毛のたんぽぽ」

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【たんぽぽの花言葉】「真心の愛」「神のお告げ」「愛の神託」「思わせぶり」「別離(特に綿毛のたんぽぽ)」

シンは自身や家臣・友・救った人のお墓がケベックにあり、そこで座って彼らに想いを馳せている。「真心の愛」。そして、「綿毛のたんぽぽ」が「別離」であるならば、離れ離れになってしまった故人らを想うことを表現するにはぴったりである。

また、シンが胸に刺さった剣を抜き、現代から消え、天国でも地獄でもないところをさまよっているとき、シンの歩く先にあるのが、綿毛の散った「たんぽぽ」だ。

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最終話で現代に戻ったシンは御墓参りに訪れる。

するとそこに、「トッケビの花嫁」であったウンタクの来世と遭遇する。ウンタクの来世は第2話と同じように、「綿毛のたんぽぽ」を持っている。「愛の信託」であるし「神のお告げ」でもある。神々しいことが「たんぽぽ」を通じて表現されていると考えられる。

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トッケビの花嫁であるウンタクは、「ろうそくの火を吹き消す」とトッケビであるシンを呼ぶことができる。この「吹く」と言う動作が「綿毛のたんぽぽ」と「ろうそく」を結びつけているのだと想像ができる。


*ほうれん草

第2話でカナダから帰った、ウンタクはもう一度、図書館のトイレの扉からカナダに行こうとする。しかし、そこはやはりトイレである。シンが扉を開けばカナダに行けるが、その力をウンタクは持っていない。

しかし、そのトイレで出会うのが、[赤色の女性]。[赤色の女性]は[老婆]である。白菜をくれた[老婆]はウンタクの母親が亡くなった世界 - ウンタクが高校生になった時期 - には[赤色の女性]として登場している。

[赤色の女性]は、ウンタクに家は近所かを尋ね、「ほうれん草」を手渡す。

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【ほうれん草の花言葉】「活力」「健康」

「ほうれん草」を持って叔母の家までウンタクは帰宅する。叔母はウンタクに帰宅時間が遅いことを叱りつけ、食事の準備を早くするように言う。ウンタクは冷蔵庫を確認するも食材がない。

ウンタクは[赤色の女性]からもらった「ほうれん草」でキムパ(巻き寿司)を作る。

いつもウンタクをいじめている叔母の娘がキムパを包丁で切ろうとすると、娘は包丁で自分の指を切ってしまう。そして、叔父がキムパを食べると、毒物が入っていたかのようにむせる。

しかし、ウンタクがキムパを食べると何も起こらない。これが、[赤色の女性]の力である。ウンタクには食料としての「活力」を、叔母家族には[赤色の女性]が込めた「力」が「活かされ」ているとも受け取ることができる。

「白菜」と同様に「ほうれん草」も韓国ではよく食されている。[赤色の女性/老婆]の渡す葉物の食材は、韓国の食生活を表現していると考えることができる。


*綿

エピソードは進んで、第11話。ウンタクの卒業式。

ウンタクの卒業式に[赤色の女性]が花束を持ってあらわれる。ことのときに渡したのが、「綿の実の花束」

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【綿の花言葉】優秀・私を包んで・偉大さ・崇高・繊細・有用な

公式サイトによると、韓国では、

綿の花の花言葉は「母の愛」

だそうだ。

[赤色の女性]はウンタクの母親に、面倒を見るように頼まれている。

ウンタクは「なぜハグしてくれるんですか?」と[赤色の女性]に尋ねる。すると[赤色の女性]は、9歳のウンタクに「白菜」を渡した時と同じように、「かわいいから、あなたを授けて幸せだった」と答える。

ウンタクは[赤色の女性]があの時の[老婆]であることに気がつく。

公式サイトによると、この[赤色の女性/老婆]は「「三神ハルメ」という出産や子育てをつかさどる韓国伝承の産神」と言われる存在だそうだ。「白菜」「ほうれん草」「綿の花束」で母親ひいては「母の愛」を表現しているともとることができる。

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*黄色の菊/菊

ウンタクの卒業式に駆けつけたのは、[赤色の女性]とシンだけではない。卒業式を口実に花束を買い、高校を訪れたのが、死神とサニーである。

サニーはウンタクへの花束を買っていたが、死神は、サニーへの花束を用意していた。死神がサニーに用意したのは「黄色の菊の花束」だった。

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【菊の花言葉】「高貴」「高尚」「高潔」「私を信じて下さい」「女性的な愛情」「清浄」「破れた恋」「真の愛」
(紅色)「愛情」/(黄)「高潔」「ろうたけたる思い」「わずかな愛」/(白)「誠実」「真実」/(濃色)「私を信頼して下さい」/(スプレーギク)「私はあなたを愛する」

公式サイトによると、韓国では、

黄色の菊の花の花言葉は「片想い」

だそうだ。

過去の自分の記憶がなく、自分のことを聞かれても答えることができずに苦しんでいる死神ではあるが、彼はサニーのことが好きなのだ。だからこそ、自分のことが話せず困っているのだ。

死神はずっと、サニーに「片想い」しているのだ。

黄色の菊の花束にのせて、死神の気持ちは表現されている。


*桜

シンは自分の気持ちで天気を変える。悲しくなれば雨が降り、嬉しいことがあれば適度に暖かい気温となり、辺り一面に花を咲かせる。

「桜」を満開にさせるのだ。

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【桜の花言葉】「優れた美人」「純潔」「精神美」「淡泊」

シンが嬉しいとき、それはウンタクに会ったとき、再開できたとき、プロポーズが成功したとき。春の暖かさを想像するのが良いのだろうと思う。


*最後のブーケ

ここまで、花言葉と劇中シーンを見てきた。

ひとつだけわからないシーンがある。

シンとウンタクが挙式をあげた翌日、シンは買い物に行き、ブーケを買っている。嬉しそうに持っているこの花束だ。

これがわからない。

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最終回のシーンだ。

シンが買い物をし帰宅をする。ウンタクも仕事が終わり車で直帰する。シンが帰宅し、ウンタクに電話をかけ、ウンタクはスピーカーモードのスマホでシンと電話をしながら、車を運転している。

話をしているところで、突然、ウンタクの声が聞こえなくなる。ウンタクは無人のトラックに激突され、事故死する。

この花束は何を表現しているのだろうか。この花束が何か「死」を連想させる要素が入っているのだろうか。知っている人がいたら教えて欲しい。


vol.2では、花々に注目してトッケビを振り返った。細部へのこだわりがすごい。やることが細かすぎる。とても充実の内容だと感じた。

公式サイトによると、「トッケビ」のDVDを購入すれば、特典として花の解説が載っているようだ。本noteは私の感想であるため、「トッケビと花」の真相はDVDを購入して確認していただくのがいいと思われる。

さて、次のvol.3では、死神とその大罪について注目したい。

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