同性愛 時々 異性愛 ~15話~

 ねぇ聞いてよ、莉子。
 貴方の人格全てを愛せなかった私が、これからずーっと愛されるらしいわよ。
 貴方を裏切った私は皮肉にも一般的な幸せを手に入れます。きっとこのことを伝えたら私の両親は大喜び。初めての親孝行ね。

――この世の中に絶対はないよ。必要なものは残り不必要なものは消えていく。どんな時も試されていると思って生きるしかない。

 違うよ莉子、私は絶対に貴方を愛していた、本当に愛していました。
 きっと私を試したのは私自身。
 貴方は確実に私の人生に必要な人で、貴方が不必要だから消えるのではないです。
 好きだからこそ、私は貴方の元から去ります。
 愛しているから、別れを選びました。


 大阪の夏は、日焼けをしたくない私には地獄です。
 私の産んだ子供は可愛らしい男の子です。
 素敵な旦那さんと可愛い子供を産んで順風満帆な人生を送る私は、たまに近所の奥さんから良妻賢母ね、と言われます。

 今でも私が、綺麗な川に浮かぶ変わり果てた貴方の面影を想って泣いているともつゆ知らずに。

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