見出し画像

CASEでモビリティはどう変わるか #02 【株式会社ナルネットコミュニケーションズ代表取締役社長 鈴木隆志】

ロジ人では、物流テック業界の著名人やサービスについての取材記事を続々と発信。今回は物流を支えるリース車両のメンテナンス管理を手がける株式会社ナルネットコミュニケーションズ代表取締役社長、鈴木隆志さんにインタビューしました。#02では、モビリティの未来と整備業界の変化についてお聞きします。

▼ 前回の記事はコチラ ▼

<プロフィール>

プロフィール画像

▼ 株式会社ナルネットコミュニケーションズ 代表取締役社長 鈴木隆志氏
大学卒業後、日本オートリース株式会社(現株式会社ナルネットコミュニケーションズ)に新卒で入社。課長、部長、執行役員、常務取締役を経て、2014年に同社の代表取締役社長に就任。事業の大黒柱を、自動車リースから自動車のメンテナンス管理業務に転換。リース車両の受託管理を手がける自動車整備工場のネットワーク拡大に尽力し、2021年6月に全国の約1割を占める1万工場との提携を実現。


整備の新たなトレンドとは

- Connected(コネクテッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)といった「CASE」と呼ばれる新しい領域で、御社がどのように社会とつながっていくのかをお聞かせください。

コネクテッドカーの普及で、メーカー側が車両のデータをリアルタイムで収集できるようになっていますね。私たちが今行っているような、整備工場から整備内容を直接聞き取ったり、お客様から点検時に問題があった点を情報収集したりしていることが簡単に自動化されるでしょう。とはいえ、やはりアナログを軸に動いているのが自動車整備の実態でもあります。千差万別の状況下で車両のコンディションを確認するためには、データだけでは解決できないこともあると考えています。

また、自動運転が当たり前になると、車自体の概念が変わっていきますよね。運転席がなくなってしまうかもしれないし、車体をより自由に設計できるようになるかもしれません。新たなニーズが生まれて、車が「人やモノを運ぶ」以外の機能を持つ可能性もあります。その先に、「新たなメンテナンス」の需要も出てくるかもしれないと考えています。

加えて、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)については、整備が携帯電話の修理のように気軽なものになっていくかもしれないと感じています。例えば、携帯電話を修理に出した際、修理期間だけ代替機を借りることができますよね。自動車も同様に、整備期間だけ代替の車をお渡しすることで、通常通りの運行が可能になるかもしれません。それが当たり前になれば、次第にShared(シェアリング)という概念もなくなってしまうかもしれませんよね。

Autonomous/Automated(自動化)は、自動車を所有するという思考そのものを変える可能性があると思っています。運転士がいて自動運転している車に乗せてもらうことと、自分の車を自動運転で走らせることの違いって、何でしょうか。運転しないならもうタクシーでいいと思う人も増えると思います。

インタビューの様子

- 業界がどのように変わっていくかわからない状況で、注力している取り組みはありますか。

車が変わることは、車の使い方が変わることだと捉えていこうと考えています。大きく変わるまでに時間はかかるかもしれませんが、この先の変化を想定しつつ、商機を見出したいです。そのために、自動車リース関連業種に限らず、できるだけ幅広い分野の方々と交流する必要を感じています。これまで以上にもっと広範囲にアイデアを取り入れるためです。

具体的には、MaaSを軸として多様な業種の方々と「車がどうなるのか」「車に期待されることはどう変わるか」といった議論を重ねながら、私たちの役割を探していきたいです。加えて、一緒にこういうことをしませんか、という機会を少しずつ広げていく必要もあります。

今年の夏、その一環で「モビノワ」というオウンドメディアを始めました。「モビリティの輪」という意味を表現するため、この名前にしました。整備にまつわるトピックを中心にスタートしましたが、今後はモビリティの未来について「こういう風に言語化するのはどうですか」「どう考えますか」と議論を生むトピックを掲載していきたいです。加えて、一方向的に発信するだけでなく、読者からのアンケートの結果を記事にフィードバックすることで、読者にも参加していただけるメディアを目指しています。

車の未来を一緒に見つけていきたい

- ありがとうございます。どういった未来が待っていて、どのように業界が変わっていくのかというトピックを提供し続けるということですね。大変興味深く思いました。

どんどん変化していく業界で、自分たちに求められる次の役割を見つけていきたいです。もしかしたら今も、社会が私たちに求める役割を実現しきれていないかもしれませんし。また、たった1社でできることは限られます。どのように業界の皆さんと協業し、役割を互いに明確にしてつながっていけるのかという部分をしっかりと固めていきたいと考えております。

そのためにも、様々な方々ときちんとお話しをしたいし、相談を頂ければ100%応えていきたいという姿勢で取り組んでいます。我々ができることは限られるかもしれませんが、少しでもお役に立てればという姿勢でお付き合いさせていただいております。

また、弊社サービスの仕組みや使い方など我々に関する情報を、社内見学などを通じてできる限りオープンにしています。会社の中をそんなに見せてしまって大丈夫か、といった声を頂戴することもあります。ですが、我々の情報は他の誰かにとってとても貴重な情報かもしれないと思っており、その知恵と情報を介して「たくさんの人と人、人と企業、そして企業と企業がつながることで、新しいモビリティの世界を創造したい」、その思いで我々の情報をよりオープンに、より多くの方に発信しております。モビノワもその一環です。

インタビューの様子

企業価値を共創するためのコミュニティ

- 自動車業界だけでなく、関係者全体でコミュニティを作って、お互いに高め合っていくということですね。

関わっていただく中で、当社に関するひらめきやニーズを想起してもらえたら、結果的にプラスだと思うんです。どんどん当社にも見学に来ていただいて、見ていただいて、お話をしたいです。当社のアイデンティティや企業価値を一緒に作っていきましょうという姿勢です。

今後推し進めたいビジョンとしては、当社のあるべき姿を関係者の皆さんと一緒に作っていくための裾野を広げていきたいです。そういったことも、社名の「ネットコミュニケーションズ」の部分に込められていると思っていただければと思います。

例えば物流業界の場合、モノを運ぶことに関して、運送業の方々にしわ寄せがいってしまっている状況があると思います。車両整備の観点から私たちの知見がお役に立つチャンスがあれば、ぜひ活用していただきたいと考えております。

将来的には、「どうすれば車両を効率的に稼働させられるか」といった観点で、当社が提供できる価値があるかもれないですね。物流は社会にとって欠かせない機能です。運送業が抱える課題に対して、皆で多様な意見を持ち寄って解決しなくてはならないと思っています。

ー 業界全体が新たなトレンドに移行しようとする中で求められるのは、いちプレーヤーとしてだけでなく、企業価値を共に創り上げる姿勢なのかもしれません。次回は、鈴木さんが新卒で自動車整備の業界に飛び込んだ背景やキャリアについてのお話を伺いたいと思います。


<取材・編集:ロジ人編集部>


▼ 株式会社ナルネットコミュニケーションズの採用ページはこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?