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物流業界で働く魅力とは? #01 【株式会社メルカリ 森嶋涼子、上原美佳】

ロジ人では物流テックと分類される業界の著名人、サービスにフォーカスしていきます。今回は株式会社メルカリで事業開発 マネージャーを務める森嶋涼子さんと、プロジェクトマネージャーを務める上原美佳さんにインタビューしました。#01では、お二方の物流業界に入ったきっかけについてお話いただいています。


プロフィール画像(森嶋氏)

▼ 株式会社メルカリBusiness Development マネージャー 森嶋涼子氏
大学卒業後、大手鉄鋼専門商社に入社し、ヨーロッパや欧米に向けて貿易を展開。2006年には、日系商社にてサンフランシスコ勤務を経験し、新規物流プロジェクト立ち上げを担当。2007年には、アマゾンジャパンに参画し、物流ネットワークの立上げ責任者を務める。その後、2021年に株式会社メルカリにて、新たな物流ネットワーク構築立ち上げ責任者を務め、2021年8月より現職。

プロフィール画像(上原氏)

▼ 株式会社メルカリ Business Developlement プロジェクトマネージャー 上原美佳氏
自動車関連企業に入社し、品質管理部門を担当。2010年には米国系店舗セキュリティサービスシステムの企業にて、サプライチェーン、デマンドプランニング、輸出入の業務を経験。2012年にアマゾンジャパンにて、物流ネットワークの立上げプロジェクトに参画。2022年に株式会社メルカリにて、新たな輸送サービスプロジェクトの推進を務め、2022年2月より現職。


IT技術で便利な生活を実現するメルカリ

- 現在の仕事内容を教えてください。

森嶋さん:メルカリ限定で使えるメルカリ便という配送サービスの事業開発を担う部署に所属しています。運送会社様と連携しながら、顧客満足度向上のための施策実施や配送トラブルへの対応など、高品質なサービスをお客様に提供するための業務にあたっています。

上原さん:私の担当は、輸送設計に関わる部門です。現在は、幹線輸送のつなぎ方や輸送コスト削減に向けた新規プロジェクトや、新たに始める輸送サービスの準備を進めています。

ー メルカリといえば物流というよりもアプリ会社としてのイメージがあります。

森嶋さん:そうですね。確かにメルカリはアプリでサービスを提供することを主な事業としている会社ですし、物流のイメージは薄いかもしれません。ただ一方で、メルカリアプリのサービスにとって物流は欠かせない要素です。たとえアプリ上での操作やユーザー間のやりとりに問題がなかったとしても、購入した商品が購入者に届かなければ、メルカリのサービスの品質は下がってしまいます。

ー 確かに、メルカリは商品が無事に届く前提のサービスですね。

森嶋さん:その通りです。商品が無事届くことは当たり前だと思われることも多いですが、配送に対する信頼性が失われると、サービスは成立しなくなってしまいます。私たちはメルカリで物流専門の部門を担当していますが、トラブルを防止して配送サービスの向上に努めることで、配送やメルカリのサービスにおける信頼性を担保してする役割を担っているといえるかもしれません。

ー 最近では、スマホやアプリで提供される物流関連のサービスも世の中に浸透してきていますね。

上原さん:ここ十数年にわたってたえず進歩してきたIT技術によって、物流のあり方は大きく変化してきました。物流の領域に限らず、これまでなかったようなサービスの導入は、大手企業が参入しづらい傾向にありますが、フットワークの軽い企業と協力しつつ、人々の生活がより豊かになるような技術を積極的に取り入れていきたいです。

前職にアマゾンジャパンを選んだワケ

森嶋さん:私が新卒で最初に入社したのは、鉄鋼専門の大手商社でした。主な担当業務は鉄鋼の輸出です。私の所属していた貿易チームでは、月に20件から30件ほどヨーロッパや欧米、オーストラリアをはじめとした世界各国に向けて輸出を行っていました。

その会社での社会人生活を通して、礼儀やマナー、原価計算、利益の出し方などを学びました。社会人として、そして物流に携わる者としての基礎をここで築くことができたので、とても貴重な経験だったと思っています。

ただ、より多くの仕事に触れるため総合職への職掌転換を視野に入れた時、女性のロールモデルが社内にいないことに気がつきました。また、それと同時期に日本企業がサンフランシスコで貿易の新規ビジネスを展開しようとしていることを知り、転職という選択肢が生まれました。

貿易についてより幅広い業務に携わりたいと思っていたことに加え、いつかは海外で働いてみたいと考えていたこともあり、入社から3年半が経ったタイミングで働く場を海外に移すことに決めました。

インタビューの様子

上原さん:私は自動車関連企業に入社し、品質管理をつかさどる部門に所属していました。先輩社員のアシスタントという形でしたが、今思えば入社当初から物流に関わる仕事ができていたと思います。海外から部材を輸入する購買部門や、部品の設計を行う部門と連携して量産するまでの一連の流れと、それに伴う物の動きを間近で見ることができる環境だったのは、とても幸運でした。

そして仕事を通じて物流に携わるうち、日常生活において直接目にすることができるようなものが動くところを間近で見たくなったんです。そこで、 RFID技術による商品監視システムを取り扱っている米国系企業への転職を決めました。

ー お二方ともにAmazonに転職された理由についてお聞かせください。

森嶋さん:転職を機にアメリカ・サンフランシスコで暮らしていたのですが、ビザが1年半ほどで切れてしまうのを前に、日本の物流業界で転職先を探すことになりました。当時所属していた会社では日本と中国の商材を輸入して、客先に届ける業務まで担当していましたが、現地ベースでの仕事にとても充実感を感じていたので、物流の現場をもつ企業で働きたいと考えるようになりました。

そして、日本に倉庫を持ち物流まで担っている会社として当時の私がすぐに思いついたのが、アマゾンジャパンだったのです。

入社の決め手は、面接時にみた倉庫内の美しさです。当時の面接官の方に「せっかくだから見ていってください」とおっしゃっていただき、あまりの綺麗さに衝撃を受けたことを今でも覚えています。

在籍した13年間では、一貫して輸送事業部に所属していました。当時、アマゾンジャパンの規模感は今よりも小さかったため、倉庫への納品から、ピッキング、梱包、配送会社様へ引き渡すまで、倉庫のものがいかにしてお客様のもとに届くのか臨場感をもって見届けることができました。

上原さん:私は転職したアメリカ系企業に2年ほど在籍していました。その企業ではサプライチェーンに所属し海外商品のバイヤーを担当していました。販売の機会損失を起こさず、輸送コストを低減するためにS&OPを最適化したり、商品保管管理までの業務を一気通貫で担当することができ、非常に充実した時間を過ごせていたと思います。ただそれと同時に、今度は陸上における自動車輸送に強い関心が出てきました。

そして、転職について考えているタイミングで、森嶋さんが担当されていたアマゾンジャパンの集荷物流プロジェクトが立ち上がることを知り、転職することにしました。

集荷物流プロジェクト終了後は、商品がお客様に届くまでの過程における最後の段階であるラストマイルの関連業務に携わりました。地域に根付いた運送業者さんや、中小企業をまとめる新たな物流ネットワークの構築チームが立ち上がり、私はそこから本格的にアマゾンジャパンの輸送プロジェクトに参画し始めるようになりました。

インタビューの様子

人々の生活に寄り添う物流の魅力

ー メルカリに転職した理由はなんだったのでしょうか。

上原さん:新たな集荷物流の立ち上げに参加したいという気持ちが大きかったです。アマゾンジャパンに転職した際も、当初はラストマイル重視の集荷物流プロジェクトに参画することが目的でした。だからこそ、大手以外の物流ネットワークを新規構築するチャンスに飛び込み、プロジェクトの一端を担えることに今もワクワクしています。

ー 物流ならではの仕事の魅力について教えてください。

上原さん:自分が仕事で携わったものが、社会の中で役に立っていることを実感できることが最大の魅力です。物が動く過程や、商品として世の中に出ていく様子を自分の目で見るということは、そうそう体験できることではありません。

たとえば、車の部品の物流に関わっていれば、街中の車を見て「もしかしたら自分が携わった部品が使われているのかもしれない」と自分の仕事に対するやりがいや喜び、愛着が湧いてきます。自分の仕事が誰かの役に立っていることを生活の中で見ることができる経験ができるからこそ、物流業界に身を置き続けているのかもしれません。

森嶋さん:私も、お客様や人々の生活に根付いた仕事ができることが一番の魅力だと感じています。業務の現場に関わることができるか否かが、商社と物流企業の大きな違いです。商社では、自分の電話一本で何トンもの物量が動きますが、仕事の規模の大きさにやりがいを感じる一方で、個人的には感覚が麻痺してしまうことも多くありました。

ー 規模が小さくとも、より顧客との距離が近いフィールドで仕事がしたかったということでしょうか。

森嶋さん:そうですね。もちろんどちらの仕事のスタイルが向いているかは個人の好みや得意なことによると思います。ただ、私としては業務の現場で、お客様の要望やご意見にひとつひとつ応えていく仕事の方にやりがいを感じます。

ー そこに物流の面白さが表れているように思います。

森嶋さん:ものを買ったり食べたりする行為は、どんなに技術が発達したとしてもなくならないと思っています。また、物流はどんな国にでも存在しています。そういった意味では、お客様と最も近い距離でありながら、世界中を相手にできる仕事ともいえるかもしれませんね。


<取材・編集:ロジ人編集部>


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