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日清食品のウェルビーイングとは #03 【日清食品株式会社取締役Well-being推進部長 深井雅裕】

ロジ人では物流テックと分類される業界の著名人、サービスをインタビューしていきます。今回は、日清食品ホールディングスおよび日清食品の物流とウェルビーイングを牽引する深井雅裕​​​​​​さんにインタビューをしていきます。#03ではウェルビーイングと物流の関係性についてお聞きしていきたいと思います。

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▼ 深井 雅裕 氏
日清食品株式会社取締役Well-being推進部長 兼 サプライチェーン企画部 管掌 、日清食品ホールディングス株式会社サプライチェーン構造改革プロジェクト部長 兼 DX推進部 部長を兼任。1989年に法政大学を卒業、同年入社。低温事業部営業課、チルド食品事業部企画部、営業本部を経てタイ日清現地法人社長に就任。2015年に帰国し、日清食品株式会社にて営業戦略部を経て現職に。ウェルビーイングを課題にサプライチェーンの構造改革や組織改革に尽力。


社会に幸せを届ける物流もウェルビーイング

ー 前回の#02では会社で「幸せ」を語ることが自然になってきたと伺いました。(#02の記事)改めて、深井さんがお考えになる「ウェルビーイング」について教えてください。

Well-being推進部はこの4月に立ち上げたんですけれども、2019年から物流だけじゃなく、営業部門も含めた会社全体の事業構造改革をずっとやってきました。生産も資材も配送も含めて、そのすべてのゴールは「ウェルビーイング」という立て付けです。

目指すところはすべて社員やステークホルダーのウェルビーイングのために物流もやっているし、DXもやっているし、組織開発もやる。私の中で全部が繋がっているんですよね。

名刺を見た方や社内メンバーにも「何をやっているの?」と言われるんですけれども、何をやっているかというと「ウェルビーイング」なんです。「物流じゃないの?」とも聞かれるのですが、物流も社会に幸せを届けるうえでのウェルビーイングですから。

社会の幸せに貢献できることが一番と考えるメンバーが集まってくるので、本当に楽しくやっています。

ー #02ではベンチャーのように挑戦を続けていらっしゃる話をお聞きしました。ウェルビーイングと両立させるのは難しそうだなと感じます。乗り越え方があれば教えてください。

うちのメンバーには「自分で自分の限界を決めないでほしい」とよく言っています。私はメンバーに新入社員からの自分のキャリアをよく見せるんです。1つの部署に2年ほどしかいたことがなくて。自己申告で希望の部署を書く制度もありますが、希望した部署には1度も行ったことがありません。

それでもすべての部署にやりがいを持ってやっていましたし、今はサプライチェーンの仕事にやりがいを持っていて楽しいです。やはりチャレンジし続けることが大事。失敗してもいいので、新しいことに何でも興味を持ってやってもらいたいと思います。

それこそ「キャリアとか年齢・性別・役職に関係なく、それぞれがリーダーとしてそれぞれのやりたいことをやってほしい」と伝えています。なのでいろんな部署のメンバーが集まって、部署の仕事と関係ないプロジェクトをたくさん走らせていて、私も正直、すべては把握していません。知らぬ間にミーティングが設定されていて「そんなのやってるのね」って。

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それと「失敗を失敗と思わずチャレンジを認めなさい。学び続けなさい。そのために仲間を増やしなさい。」とも伝えています。これもポイントだと思っていて、1人でできることって本当に少ないので、それぞれの強みと弱みをみんなで明らかにしなさいと。

よくありがちなのは戦略性の高い人だけ集めてメンバーを構成してしまうことですが、そんなのナンセンスです。戦略性の高い人、協調性の高い人、いろんな人を集めて1つのチームになるべきだと思っています。

いろんな部署の仕事をクローズドでやらないようにしています。全てお互いに共有しあうことで、何を考えて仕事をしているのか、何の壁にぶつかっているのか、お互いに何をサポートしあえるかを考えるためです。私が指示をしたわけではないんですけどね。

最初に私がチームにオーダーしたのは、コミュニケーションと会議体のルール作り、それからプロジェクトの進捗可視化。それだけです。画面を見ればこのチームは何をしているかがわかる。誰が何をやっているかがわかる。放っておいても良いチームに出来上がっています。なので自分の好きなことをやってもらって、それが彼らのウェルビーイングに繋がってくれればいいなと思うんですよね。

サプライチェーンマネジメントに手作業はなくなる、新しい価値の創造

ー なるほど。挑戦を続けることでウェルビーイングも叶えているのですね。一方で#01で深井さんの仕事の楽しみは「ワクワクする未来の実現」との話もお聞きしました。(#01の記事)深井さんの想像しているワクワクするサプライチェーンマネジメントの未来を教えてください。

サプライチェーンマネジメントってすごく広い概念だと思うんですよ。私たちで言えば資材の調達から小売店や卸のお客様への納品まで。

そのうえで経産省が行っているフィジカルインターネットなのか、SIPが行っているデータ基盤なのか、スタートアップの企業様がやっているマッチングなのか解決方法は手探りですが、今やっている作業って未来には間違いなく必要なくなるんですよ。

当社にも受注センターや物流の手配をしている部署がありますが、自動化されることであと1・2年でなくなる可能性があります。ルーティン業務から解放され、それぞれが自分らしく働けるようになると思います。


ー 大きく変わりますね。

「トラックで商品をデリバリーする」といった、一般の方が思うような物流の概念ではなく、消費者が「必要なものを」「必要な時に」「いかに効率的に届けるか」のサービス化、これが必要だと思っています。

既成のパッケージ商品ではなく、パーソナライズされた商品を届けるようなサービスが増えてくれば、ますますサプライチェーンは重要になってきます。ここは若い人のアイディア次第。今ある仕組みと組み合わせて、デジタルを活用すればできると思っています。

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欲しいときに欲しいものを届けるのは、資本主義の原点で、そこを繋げるのがサプライチェーンマネジメントです。社会的に必要とされている。どんどんサービスは進化するので、それに耐えられるだけのサプライチェーンはアイディア次第で、利益にも繋がると思います。

新しい価値を生み出すチャンスがサプライチェーンには、まだたくさんある。なので、うちの部署でもパーパスを「サプライチェーンマネジメントで価値を創造する」としていました。十分に実現可能だと思います。

限界を決めず、変化を楽しむ

ー 環境やサービスの進化に合わせて、サプライチェーンも進化し続けていくんですね。すでに変わったと感じる部分はありますか。

この3年間、私は週に1回ぐらいしか会社に行っていません。すべてデジタルですから、何も困りません。

ミーティングもオンラインですし、紙の書類も、ハンコもほとんど使いません。今、紙をもらったら迷惑で、スキャンしてデータに入れておいてといいます。変わりましたよ。

受注センターはお得意様からファックスとか電話でオーダーをもらうので、以前は人がたくさんいましたが、今はもう誰もいません。派遣社員や契約社員の方もみんな在宅で、パソコン1台で仕事をしています。それでも今は仮の姿ですよ。我々の想像できるところに落ち着くことはないでしょう。

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受注センターってもともと全国8カ所にあったんです。それを東西2拠点かもしくは、BCPの観点から、地震の少ない地域に移動しようという話があったんですけれども、それも無理だといわれていました。得意先のローカルルールを標準化するのも無理だといわれていました。

それがコロナの流行で働き方が大きく変わり、受注業務の在宅勤務化まで一気に進みましたからね。ロケーションフリーな働き方が、デジタルで叶っています。なので自分の限界を決めなければ、私たちの想像し得ない未来があると思います。

ー ありがとうございます。最後に一言何かあればお願いします。

私は今の部署を社内で一番人気の部署にしたいと思っています。ウェルビーイングと謳うと、人が集まってくるんですが、サプライチェーン企画部はどうもまだピンと来ない人が多いようです。

その中でもキャリア採用の方で卸やコンサル経験者の元気印の方が集まってきていて、今後が楽しみなところです。サプライチェーンのイメージを変えていきたいと思います。

ー 本日はありがとうございました!


<取材・編集:ロジ人編集部>


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