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自分の進路を見極める方法 #03【トラボックス株式会社 皆川拓也】

ロジ人では物流テックと分類される業界の著名人、サービスにフォーカスしていきます。今回はトラボックス株式会社で代表取締役社長を務める皆川拓也さんにインタビューしました。#03では、進路を見極める方法についてお話いただいています。

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<プロフィール>

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▼トラボックス株式会社 代表取締役社長 皆川拓也氏
2005年日本大学法学部卒業後、KDDI株式会社入社。2014年よりスタートアップ支援プログラム「KDDI∞Labo」の運営統括。その後2018年よりCBcloud株式会社に取締役CSOとして参画し、軽貨物業界と様々な業種とのアライアンスを実現。KDDIを経て、2022年にトラボックス株式会社に入社後、事業部長を歴任し2023年5月より現職。


物事の本質を見極め、自分が本当にやりたいことを

ー 最近の若い世代の傾向として「AI」や「DX」などの、いわゆるバズワードに過度な期待を寄せて就職先や業界を決めてしまっている印象があります。皆川さんはこういった風潮に対してどのように考えていらっしゃいますか。

自分が何をしたいのか、物事の本質は何かを突き詰めて考えてから就職先を決めることをおすすめしています。たとえば、AI技術はその便利さや革新性から何かと注目を集めていますが、あくまで事業を進める上でより加速度的に効果を出すための手段の一つでしかありません。「AI技術があるから○○の仕事をする」ではなく、「○○の仕事をしたくて活用できそうだからAI技術を学ぶ」といった順番で自分が進むべき進路を決めるとよいかなと感じます。

企業が提供するサービスがお客様にどんな価値を与えているのか、世の中にどう貢献しているのか、また自分がそこで働くとどんな価値が提供できてどんな事が学べるのか、といった観点を踏まえてツールとしてのAIを学ぶ流れになればいいですね。

ー 世の中の流行ありきで考えるのではなくて、まずは自分のやりたいことを見つけることが重要だということですね。

バズワードに代表される「魅力的な単語」から逆算するように自分のやりたいことを考えると、いざ入社して仕事を始めた時にギャップを感じやすくなります。一方で、物事の本質を捉えた上で自分のやりたいことを決めていれば、どんな仕事や業務を担当することになったとしても、社会人生活を歩む上での軸がぶれにくいです。

いま目の前で声高に叫ばれていることだけを取り入れて決断するのではなく、自分がなにをして、どういう影響を世の中の人に与えたいのかを考えて会社を選んでほしいと思っています。

ー 仕事で何を自分が担当するか、ではなく自分の働くビジョンを明確にすることが大切なのですね。

社会に出ていない若い世代の方々に対して、将来的なビジョンを持てというのは少々難しいかもしれません。私自身も2005年に社会人になりましたが、ビジョンが明確になったのは最近のことです。スタートアップを起業した方々と接するうち、ふと自分が本当は何がしたいのかということに立ち返りました。

若手の方であれば、自分はいま何をしているのかを客観視することができていれば、自分のビジョンへの方向性も見出しやすいと感じています。情報化が進んだこの社会では、『ロジ人』を含めさまざまなコンテンツから情報を得やすい時代です。ただ単に流行りのワードに乗るのではなくて、様々な情報を吟味しながら自分自身への問いかけを重ね、自身のビジョンを決めてほしいですね。

インタビューの様子

フレッシュな人材を惹きつけるために

ー では、ビジョンを明確に持った若い人材を引き寄せるために、物流業界としてはどのようなことをすべきなのでしょうか。

物流業界で働くことへのやりがいや憧れを持たれるような環境・イメージ作りを業界全体で醸成していくことが、人材不足を補う第一歩だと考えています。仕事のやりがいは、給料だけでは語れません。たとえばトラックドライバーさんであれば、やっぱりあれだけ大きいものを運転して操作しているのは子ども心をくすぐるというか、単純にかっこいいですよね。

ロマンのある大きな車体(機体)を操っているという点では、トラックドライバーも飛行機のパイロットも変わらないと思います。飛行機の自動飛行のように、トラックも自動化が今後進んでいくとは思いますが、トラックドライバーの仕事の面白みは変わらずあり続けると考えています。

こうしたことも踏まえ、ブランディングをはじめとしたイメージづくりと、イメージからギャップが生じない環境整備に物流業界全体で取り組んでいかなければなりません。

ー 若者が目指したくなるような職場づくりをする必要があるということですね。

はい。そして、若い世代の方々が進路を決めるときに「何を重視しているのか」「どういった環境を求めているのか」といったことに目を向け、物流業界自体を変えていく必要があります。

数多くの若い人材を職場に迎え、現状をいかに変えていけば良いのか意見を聞きながら改善していくことを重視しなければなりません。業界に染まりきった私たちでは出し得ないような新たなアイデアが浮かぶことを期待しています。新しい世代の働き方やキャリアデザインのあり方について物流業界全体で考え、現状を改善させていきながら、より多くの方が憧れるような職業を目指していきたいですね。

インタビューの様子

これからの社会を担う方々へのメッセージ

ー これから社会に出る新社会人の中でも、自分のキャリアをどのように考えて形成していけばいいのかと悩む方は多いです。社会に出るための第一歩をどうやって踏み出すべきか、皆川さんのお考えをお聞かせください。

新社会人になる際に注意しておくべきことは、本質的なところはどこにあるのかを常に見ておくことです。先ほどの繰り返しになってしまいますが、上司の言うことだけを聞いて表面的な部分だけを見て仕事に取り組んでいたら、「なぜその仕事をしているのか」「今後なにをすべきか」ということまで考えられなくなります。

ただ漫然と目の前のタスクをこなすのか、自分の中で価値を見出して仕事に取り組むのかでは、仕事への理解度や自分の業務に対する深みに大きな差が生まれます。表面的な結果は同じだったとしても、長期的な目で見ると社会人生活において歴然とした差が生まれるのです。

ー 最後に、若い世代の方々に向けてメッセージをお願いします。

若い世代の方々には、便利なものが溢れた世界だからこそメリットを存分に活かしてほしいと思っています。当たり前のようにスマートフォンがあって、IT化が進んだ世の中で育ったからこそできる新しい発想や経験が必ずあるはずです。そういった気づきを得られる環境に生まれたことは当たり前のように感じられがちですが、最も大切にしてほしいことのひとつだといえます。社会に出て、他の世代にはないアイデアを存分に発揮してほしいと思っています。

ただしもう一つの注意点として、他の世代の人たちのことも理解することを忘れてはなりません。最近、世の中の考え方として、スマートフォンがない時代を生きてきた人たちのことを「古すぎるから」と、理解することをシャットダウンするような風潮があるように感じます。自分たちよりも上の世代の人たちがどのような環境で生きてきたのか、そしてどんな価値観を持っているのかを理解しようと努められると良いですね。

ー 自分の価値観だけではなく、他の世代の考えにも触れておくことによって、これからの社会を担う人たちにはどんなメリットがあるのでしょうか。

仕事をする上での視野や発想の幅が広がるというメリットがあります。自由な発想ができたり、変に業界の商習慣に囚われない考えを持っていたりと、柔軟性のある思考ができることこそが若い世代の強みです。他の世代の考えや思考回路を理解した上で、新しいアイデアや価値提供を創出してほしいですね。

先人たちの言動を受けて、なぜこんなふうに考えているのか、また吸収できることがないか常にアンテナを高く張り、壁にぶつかった時には改善策を自分で考えてみてください。そうした過程を経て生まれた新しい発想の価値は計り知れません。先入観にとらわれないアイデアを期待しています。

ー お話いただきありがとうございました!


<取材・編集:ロジ人編集部>


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