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外資系戦略コンサルの教える ビジネスケース(収支計画)の作り方と実務

このNoteでは、現役の外資系戦略コンサルタントとして、ビジネスケース(収支計画とも言いますが、本Noteではビジネスケースと呼ぶことにします)の作り方及びその実務について、具体的なサンプルExcelを用いながら詳細に解説しています。(Twitterもやっています:@Logicalkobo)

実務でビジネスケースを書く際、このサンプルExcelの設計思想を正しく理解してさえいれば、このままこれをテンプレートとして使い改変して頂くことで、たいていのビジネスケースには対応できるようになっていると思います。

コンサルタントに限らず、事業会社で新規事業の検討を行っている人でも、このNoteを読んで練習することでビジネスケースが書けるようになることを目指し、3万字を超える分量で可能な限り丁寧に説明しています。

ビジネスケースは、事業会社における新規事業への投資判断や対象会社への出資判断等、何らかのお金が動くシーンでは必ず作成が求められるものである一方、この作成について非常に苦手意識のある方が多い印象です。
コンサルタントでも、ビジネスケースと聞くだけで徹夜を覚悟する様な方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私も長いコンサルタント人生で何十回とビジネスケースを書いてきましたが、最初は何をどうやって書いていいか全くわからず、何度会議室で朝日を眺めたかわかりません。

ビジネスケースは、時間をかければ高品質なものができるというものでもありません。ポイントを押さえておかないと、無駄なところをやたらと細かく作ってしまったり、明らかに矛盾する・違和感のある数字を作ってしまいがちです。

ビジネスケースを学ぶ上での現状の問題点

ではフェルミ推定やケース面接のように自習しておこうと思っても、これがまた自習が難しいのがビジネスケースです。自ら学ぶことが難しい理由は主に3つあります

・OJTを含め学ぶ機会が少ない
・教材が少ない
・教える側も一般論として教えづらい

まず、全てのプロジェクトで必ずビジネスケースが必要とされるわけでもありませんので、学ぶ機会自体が多くありません。
新規事業立案系であればほぼ毎回作成が求められますが、議事録を書いたりスライドを書くスキルのように、どこのプロジェクトでも必須とされるスキルではありません。それにもかかわらず突然現れては毎回死人を出していくのがビジネスケースです。笑

次に、ビジネスケースは教材も多くありません。コンサル社内でも過去に作られたビジネスケースはまず出回りません。そのプロジェクト毎に守秘義務がありますので、自由に展開することができません。
一般に販売されているビジネスケース関連の書籍もありますが、投資銀行出身者によって書かれたものが多いせいか、どちらかというとExcelのテクニック論に終止してしまっている印象を拭いきれません。
現に私自身ももちろんこういった本を読んだことはありますが、いざ実務になるとExcelのテクニック以外の部分で非常に苦労します。

このNoteでは、そういったExcelのテクニック論自体は配布Excelを用いながらもちろん具体的にお話しますが、それに加えてコンサルタントとしてぶつかるであろう、実務上のリアルを踏まえて解説しています。

最後に、一般論としてビジネスケースは教えづらいことも、学びを妨げている要因です。コンサルや事業会社でも、企業内研修はあると思います。
しかし対象となるクライアントや対象とする事業、プロジェクトの性質によって、作るべきビジネスケースは当然の如く毎回異なります。
ビジネスケースを書くのが上手い人はいろいろな知識や経験をベースに積んでいるわけですが、その暗黙知的なコツやツボについては言語化しづらいのが正直なところです。私としてもこのNoteを書く中で非常に困難に感じたポイントでもあります。

Excelの体裁や関数の使い方、レイアウトの仕方等に関しても、人によって大いに“好み”が分かれる世界ですので批判も生まれやすい領域で、教えるにはある種の勇気も必要です。

結果、ビジネスケースのアウトプット品質は、コンサルティング経験の長さとはある種独立したスキルとして、単純にどれだけいろんなケースをこなしてきたかに依存してしまっているのが現状ではないでしょうか。

ビジネスケースとは何か?何のために作るのか?

そもそも論で恐縮ですが、やはりまずビジネスケースとは何かという話から入りたいと思います。
ビジネスケースとは、主にExcelで作る事業の収益シミュレーションのことです。これは投資銀行やPEファンド等で作る財務モデルとは全く異なるものです。この財務モデルは会計・ファイナンスの知識を前提として作成されるもので、当然の様に財務三表を連動させるなど、高度に専門的なスキルです。
大手のFASではこのモデリングだけで一つの専門組織が存在するほどです。企業価値・事業価値の見極め等、本格的な企業間取引の場合によく用いられます。

一方でコンサルや事業会社が比較的ライトな事業投資判断を行う際など、社内での議論のためにPL(損益計算書)ベースで作られるのがビジネスケースです。すなわち売上・(営業)費用・営業利益まで算出することがビジネスケースの対象となります。
そして多くの場合(あるに越したことはありませんが)厳密な会計知識が無くても作ることが出来ます。ただ最低限、営業利益って何?減価償却って何?とならないレベルの最低限の知識は持っている前提です。
そしてこのビジネスケースは前述の通り、事業会社における新規事業への投資判断、対象会社への出資判断等のために作成されます。本当にその事業が儲かるのか?投資する意義はあるのか?といった論点を見定めることが目的です。

本Noteでも、主にこの新規事業への投資判断を促すシーンを想定して以下解説しています。

ビジネスケースの作り方(原則論)

ここからはビジネスケースを構築していく上での概論を記載します。
ビジネスケースを実務で作る際の手順を、私は独自に下記の8ステップとしてまとめました。

Step1. 目的・必要精度の確認
Step2. ビジネスモデルの検討
Step3. 売上・費用の要素分解
Step4. 変数の設定
Step5. 月次サマリの作成
Step6. 年次サマリの作成
Step7. 検証・アップデート
Step8. ケース分岐

ビジネスケースの作り方は本当に人によってまちまちですが、おそらくこの8ステップはどんな業界だろうとどんな事業を対象としたものであろうと、必ず必要となる8ステップだと考えています。

ところで、ビジネスケースはExcelで作成していくことになりますが、作成のルールは下記2つです。

・拡張性の担保
・可読性の担保

この2つはビジネスケースを作る上での憲法の様なものだと思っています。いかなる細かいルールも、この2点のルールに反することがあってはならない非常に重要なルールだと考えています。

拡張性の担保について
「拡張性」と難しい言い方をしていますが、要は何度でも加筆・修正しやすい形式で書きましょう、という話です。なぜならビジネスケースには唯一解がなく、全てのステークホルダーが納得するまで作り変える必要がある性質のものだからです。
朝令暮改もよくあることですし、あの変数を追加したい、あの条件を組み入れるとどうなる?と侃々諤々やることになります。従って、一人のコンサルタントが作りきったものが一発OKとなることはほぼあり得ません。
いろいろな後出しの注文に対して、快くかつ簡単に対応するためには、要素やロジックをできるだけ追加しやすいようにExcelを予め“うまく”設計しておくことが必要になります。これが「拡張性」を担保するということです。

可読性の担保について
二点目、「可読性」とこれまた難しい言い方をしていますが、要は誰でも理解できるようにできるだけ簡単に作りましょう、という話です。
「拡張性」の議論と同様、ビジネスケースの議論には多くの人が関わることが通常ですが、このビジネスケースExcelを触れるのが特定の人だけになってしまう、いわゆる「ブラックボックス化」は避けるべきとされています。
仮にあなたが立派なビジネスケースを作ったとしても、それが非常に複雑なもので誰も理解できないとなるとこれは大きなリスクです。仮にこのビジネスケースExcelがそれ単体で出回ったとしても、基本的なExcelリテラシーさえある人ならば誰でもその仕組みを理解して追加・改変できることが望ましいと言えます。

実際問題、いろいろな人から色々な指摘や注文を受けて改変に改変を重ねたビジネスケースはExcelのお化けの様なものになりがちです。こうなってしまうと、仮にそのExcelの作成者が何らかの事情で不在となってしまうともうだれも手がつけられず、最悪の場合ゼロから作り直すことになってしまいます。誰でも理解できるように、できるだけシンプル簡単に作る、これが「可読性」を担保するということです。

それでは、いよいよ具体的なビジネスケースの作成方法について、サンプルExcelを使いながら9ステップについて説明していきます。尚、本文の最後に、ややビジネスケースとは脱線した話にはなってしまいますが付録として、Excel作成のコツやレビューを受ける上での心構え等も記載していますのでよろしければこちらもご笑覧ください。

〈Noteご購入者特典〉

ビジネスケースの作成イメージをより具体的にお伝えするために、このNoteではご購入者に対する特典としてサンプルのビジネスケースのサンプル(Excelファイル)を配布することにしました。
もちろん実務で作成したものをそのまま展開するわけにはいきませんので、可能な限りそれに似せた上で抽象化して再度独自に作成したものです。
以下ビジネスケースの作り方を8ステップに分けて解説していますが、具体的なビジネスケースの構築方法について、やや応用的な関数の使い方等にも触れながら解説しています。

関数自体そこまで特殊なものを使うわけではありませんが、うまく設計することで無駄なシートを増やさず、かつ最低限の記述で大概のことは反映できるということをぜひご覧頂きたいと思います。
なお、本Noteのご購入者特典として、当該配布Excelやビジネスケースの作成方法等に関する一般的なご質問に対してご回答させていただきます。早ければ24時間以内、繁忙期でも1週間以内の返信を心がけます。
ご購入頂いたNoteのアカウント名とともに、本文最下部(有料部分)に記載しているメールアドレスまでご連絡下さい。

以下参考までに、少しサンプルExcelの画像も貼っておきます

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<本編目次>
■ビジネスケース構築ステップ
Step1. 目的・必要精度の確認
Step2. ビジネスモデルの検討
Step3. 売上・費用の要素分解
Step4. 変数の設定
Step5. 月次サマリの作成
Step6. 年次サマリの作成
Step7. 検証・アップデート
Step8. ケース分岐
■ビジネスケースを作った後に…
■付録
1. Excel作成上の罫線や色使いについて
2. 一般的なExcelマナーについて
3. Excel作業上の心構え
4. マウスを使うべきか?
5. あいまいな言葉の対処方法
6. レビューの受け方に関する心構え

それではここから、具体的なビジネスケースの作成方法の解説を始めます。

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外資系戦略コンサルの教える ビジネスケース(収支計画)の作り方と実務

こーぼー@外資戦略コンサル

9,800円

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外資系の戦略コンサルタントです。Twitter : @Logicalkobo

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