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「月が綺麗ですね」と言いたい

「月が綺麗ですね」と含みとか考えずに声に出したい。
でもそれは叶わない。
なぜならこのセリフには「あなたが好き」という意味が含有されているからだ。

小中学校生の時に授業で、夏目漱石が言い出しっぺと知ったのだと思う。
どこで登場したセリフなのか調べたところ、実際は夏目漱石の小説等には出てこなくて、逸話として語り継がれているものらしい。
不思議だ。

私は月が好きだ。
もちろん嫌いな人というのはあまりいないだろう。
でもきっと他の人よりかは夜空を見上げているし、月を見ると色んな感情が込み上げてくる。それは満たされたり、悲しくもなったりするものである。

きっかけはなんだろうか。
純粋に月の魅力というのは凄まじい。
日によって形は変化し、季節によってもまた違う月が姿を表す。
満月ももちろん綺麗だが、三日月も良い。

SEKAI NO OWARIの「花鳥風月」の影響もある。
この曲を聴いてから、月や星をより積極的に見るようになった。
大人になるにつれ、月を見なくなるものなのだと思う。
月や星が当たり前にそこにある生活に慣れると、興味もなくなってしまうのかもしれない。

私は月や星などの惑星や恒星について詳しく知らない。
だから月を眺めて綺麗だなあと思うだけじゃなく、この形だから月はこの位置なのかという思考を働かせるくらいの知識は蓄えたい。
如何せん理科は苦手なので、、。

「月が綺麗ですね」と、好きな人に好きと伝えるために言う人はいるのだろうか。
実際に使う人は少ないだろう。
少なくとも自分はしない。
そのセリフを受け取る相手がいるとしたら、その人も同様に、言葉そのままの意味で受け取ることは少ないだろう、と考えてしまう。

要は何が言いたいかというと、誰かといる時に、夜空を見上げ月が綺麗なことをただ共有したいのに、それを憚ってしまう現状に虚しさを覚えるのだ。それは共有できない虚しさでもあるし、相手との関係性における虚しさでもあるかもしれない。
好きを婉曲的に伝える表現なんて現実世界において存在しなくてよくない?

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