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食思考マラソン(25)妻からの異議申し立て、その後│太田充胤

うっかり年をまたいでしまいました。

年末ということで、年末になるとみんながやっている「年間ベスト」的なものをやろうかと血迷ったりもしたのですが、我が家のご飯の年間ベストを発表する意味とは? というか家庭のご飯において「ベスト」とは一体? という至極当然の疑問に突きあたり、なんとか思いとどまることができました。

さて、思いとどまったはいいものの、それではこの年末の気分のなか一体なにを書いたらいいものか、というところでもう一度立ちすくみ、そのままついぞ記事を更新できずに年を越してしまったわけなのですが、越したら越したで今度は世の中が新年の気分になってしまい、折しも本連載がちょうど開始から丸1年を数えるタイミングでもあって、やっぱりなにか改まった記事を書かねばならないのではないかという思いを捨てられないままじわじわと時は過ぎ、記事の配信日である木曜日を迎えました。結局、最後までとりたてて特別なことは思いつかなかったため、粛々とやっていくことにいたします。

粛々とやっていく、というのはつまり、時節とはなんの関係もなしに、前回の続きをやりますということです。


前回は本連載の内容に対する妻からの異議申し立てを受け、その内容を詳細に検討しました。異議申し立ての内容は、以下のようなものでした。

主張1:「なぜ私の作った美味しいご飯は記事にならないのか」
主張2:「これではまるで、私があんまりご飯作ってないみたいではないか」

我々はこれらの問いを詳細に検討するなかで、そもそも「ご飯作る」とはなにか実はそれは「料理する」と似て非なる概念なのではないか、と、こういう具合に思考を進めてきたわけであります。

妻が異議申し立てを通じて要求していたのがこの種の議論ではないことは百も承知です。しかしながら、議論の着地点自体は我ながらけっこう大事なことなのではないかとも思っています。ここは食思考マラソンです。あらゆる指摘が新しい問いを、思考を起動します。起動した問いをそのままにしておくわけにはいきません。

まあ、そのあたりの事情は妻もよくわかっています。
そのうえで、前回の記事を読んだ妻からは以下のような感想を賜りました。

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