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#食思考

食思考マラソン(28)飲酒について(ノンアルコールビール その2)|太田充胤

ノンアルコールビールの常飲という、飲酒しない人からみれば二重に不可解と考えられる習慣についての話の続きです。 多くの酒飲みにとって、ノンアルコールビールは仕方なく選択される代替物であろうと思われます。飲みたいがさまざまな事情で飲めないときに、ビールの代わりに飲むもの。味覚を通じて脳を騙し、あたかもアルコールを摂取しているかのような気分で飲むもの。宴会でノンアルコールビールを飲んでいると、アルコールも入っていないのに酩酊感を覚えるというのはよく聞く話です。 しかしながら、私

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食思考マラソン(27)飲酒について:ノンアルコールビール その1 |太田充胤

ご無沙汰しております(ごめんなさい)。 この4月から大幅に生活が変わり、かなり忙しく過ごしていたのですが、ようやく気持ちの余裕を取り戻しつつあります。 この連載を書いていなかった半年間、自分が日々の食事に際して何を考え、どのように食べていたか、ほとんど思い出すことができません。 日々の食思考は、振り返って書き留めなければすぐに色あせて消えてしまいます。いや、そもそも食思考らしい食思考が働いていたのかどうか、よくわかりません。言ってみれば、「そんなこと」にリソースを割く余裕の

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食思考マラソン(25)妻からの異議申し立て、その後│太田充胤

うっかり年をまたいでしまいました。 年末ということで、年末になるとみんながやっている「年間ベスト」的なものをやろうかと血迷ったりもしたのですが、我が家のご飯の年間ベストを発表する意味とは? というか家庭のご飯において「ベスト」とは一体? という至極当然の疑問に突きあたり、なんとか思いとどまることができました。 さて、思いとどまったはいいものの、それではこの年末の気分のなか一体なにを書いたらいいものか、というところでもう一度立ちすくみ、そのままついぞ記事を更新できずに年を越

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食思考マラソン(24)妻からの異議申し立て│太田充胤

本連載に関して、妻から異議申し立てが入りました。 前置きもそこそこに本題に入りましょう。端的にまとめると、妻の主張は以下の2点です。 主張1:「なぜ私の作った美味しいご飯は記事にならないのか」 主張2:「これではまるで、私があんまりご飯作ってないみたいではないか」 まあ、正直これ、私自身ずっと気になっていた点でもあるのです。 過去にはインスタグラムやツイッターに食卓の写真を上げていたこともありましたが、そのときからずっと気にはなっていました。 実際にはどうでしょうか

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食思考マラソン(23)平戸からの恵み|太田充胤

本日のメニュー カマスの干物 にんじんのきんぴら 豚肉・焼きキャベツ・春菊・玉ねぎのスープ LOCUST本誌第4号の長崎旅行には行けなかった私ですが、長崎は以前訪れたことがあります。 妻が研修で2か月ほど平戸に住んでいたので、その際に長崎で1泊、平戸で2泊しました。なんとなくですが、ただ単に旅行したというだけでなく、仮にもそこに住んでいる妻を訪ねて行ったことで、私の気持ちのうえではもう単なる観光客ではないような親密さがあります。 旅行先に対するこういう親密さって、なんか

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食思考マラソン(18)食思考危機と禊ごはん│太田充胤

このところ、なんだか短い期間に当直(夜の当番勤務のことです)が集中し、しばし食事がみだれておりました。 当直中、および当直明けにはいっさい躊躇せずに食欲を過剰に満たすと決めています。なんなら進んで体に悪いものを食べている気さえします。 コンディションや前後の流れ、はたまた当直自体の繁忙度や睡眠時間によって「食べたい」の質や程度も大きく変わるので、つくづくヒトもまた動物であるなあと感慨を深めたりしています。

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食思考マラソン(17)おひたし万能論│太田充胤

本日の献立 鰤の山椒焼き トマト、水茄子、焼きアスパラガスのおひたし 冷奴 玉ねぎと油揚げの味噌汁 とうもろこしごはん 変なタイミングで飲酒論を始めたので、夏の食材についてまったく触れないまま、夏が終わってしまいそうです。 スタンプラリー(夏)をやろうかとも思いましたが、やはり春のようには気持ちが乗りません。というか、食材単位で「茄子!」とか「トマト!」とか書いても、正直全然面白くありません(私が)。 さてどうしようかな、と、2週間ほど考えるでもなく考えているうちに気が

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食思考マラソン(16)飲酒について;「解呪」型飲酒 その2│太田充胤

「解呪」型の飲酒の実態についてです。 あくまでも「解呪」して原稿を書くことが目的なので、泥酔してはいけません。適度な酒量にとどめること、はじめの一歩で踏みとどまり二歩目を踏み出さないこと、これが「解呪」型飲酒の条件です。私の場合、アルコール耐容量の少なさと現実的な制約から、そのような条件をもっともも満たしやすいのが焼酎であるということになります。 冒頭の写真、切子のお猪口を使っていますが、入っているのは日本酒ではなく焼酎です。 焼酎はさまざまな点で、上記の目的にかなって

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食思考マラソン(15)飲酒について;「解呪」型飲酒 その1│太田充胤

世の中には、というか私の中には、飲酒した状態のほうが明らかにはかどるタイプの原稿というのが存在します。 これはたとえばアーティストにとってのドラッグのような、霊感の源としてのアルコールということではありません。私の場合はむしろ、アルコールによって明らかに思考の明晰さが低下します。新しいアイデアが生まれやすくなると言われればそんな気もしますが、実際のところはよくわかりません。 私にとって、飲酒のメリットはそういうところにはありません。飲酒しながら書いたほうがいい原稿とは、そ

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食思考マラソン(14)飲酒について;「ビール飲むよね」型飲酒│太田充胤

『LOCUST vol.4』長崎特集に参加いただいたいただいたマリコムさんから、「作り置きながら飲む」で書いた飲酒のあり方についてこんなコメントをいただきました。 興味深いですね。アテとはいったいなんなのでしょう。 言われるとよくわかりません。たしかに、アテ、肴という概念を理解するためには、まず飲酒とはなにかという点を考えなければなりません。我々はなぜ飲酒するのか、飲酒とはどのような経験か、飲酒の効用とはなにか……。 これまた仕事柄、という話になるのです

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食思考マラソン(13)季節の変わり目について(初夏)│太田充胤

本日のメニュー トマト・茄子・豆腐の味噌汁 ゴーヤのおひたし 胡瓜とわかめの酢の物 鮭ハラス 毎年のことなのですが、季節の変わり目のご飯はだいたいうまく作れません。その季節の食思考のリズムを完全に忘れているからです。 去年の今頃なにを食べていたっけ、というところまでは写真を見ればわかりますが、写真にはレシピも思考の流れも残りません。ああそうだ、こんなおかずがあったっけ、と思い出して9ヶ月ぶりに作ってみても、味が全然決まらなかったりします。献立の組立もいまひとつ調和がとれず

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食思考マラソン(11)作り置きながら飲む その2|太田充胤

本日のメニュー 人参のきんぴら レタスと大根の浅漬け 葱のコンソメ煮 小松菜・えのき・焼きピーマンのお浸し 鮭の切り身 雑穀米のおにぎり 前回ご紹介した作り置きながら飲むメソッド、すなわち、平日のお弁当のために休日に作り置きする調理工程そのものを酒の肴にしていくというやり方の実例をお送りします。 メニューは冷蔵庫の中身を古いものからまとめて使いたいというプラクティカルな理由の側から決まっていきます。冷蔵庫に野菜があまりなければ、八百屋の店頭特価コーナーのラインナップがその

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食思考マラソン(9)春、貴族のスタンプラリー その3 │太田充胤

スタンプラリーも第3回となりました。いよいよ今回、筍を食べます。 前々回の記事を書きながら、あー今年は筍を食べないまま春が終わりそうだ…まあ無理して食べるものでもないし、今年は忙しいし…と諦めていたのもつかの間、根っからの貴族である妻が颯爽と筍を買ってきたのは土曜日の夕方のこと。 突然ですが実は私、今年から職場が変わりまして、仕事量も通勤時間も前職より大きく増えた結果、平日をなんとか乗り切って週末はボロ雑巾のように無為に過ごすという日々を送っています。貴族からは程遠い

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食思考マラソン(7)春、貴族のスタンプラリー|太田充胤

今回のメニュー ほたるいかの刺身 うどのきんぴら そらまめのグリル あさりとみつばの酒蒸し さて、今回は趣向を変えて、春の食材についてです。 いやちょっと待て、「だめだった日のご飯」はどうした、まだ始まってもいないじゃないか。 そんな声が聴こえてくるようでございます。 タイトルをみて、首をかしげた方もいらっしゃるかと思います。 そう、本来であれば、今回は「だめだった日のご飯 その3」をお送りする予定でした。 しかしですね、どうもこの企画か始まってからというもの、記事を

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