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『龍が如く7外伝 名を消した男』について思ったこと(ネタバレ注意)

前置き

発売日に購入し、昨日まで30時間ほど遊んだ『龍が如く7外伝 名を消した男』。
予約をしてまで発売日にゲームを購入したのは、DLソフトでは昨年発売の『スプラトゥーン3』。パッケージともなると7年前に発売された『Fate/EXTELLA LINK』ぶりになる。
この点から、本作品への期待度が伝われば幸いだ。

前提として筆者の如く経歴を記しておくと、

〇本編ナンバリング
0/極/極2/3(リマスター)/4(リマスター) プレイ済
5/6/7 ムービーや周辺設定を動画等で確認した程度

〇外伝作品
見参/OTE/維新 ムービーや周辺設定を動画等で確認した程度

〇キムタク関連
JUDGE EYES/LOST JUDGEMENT プレイ済

〇本作
難易度 STANDARD プレイ時間30時間程度 トロフィーコンプリート率85%

「プレイ済」の温度感は、「ゲーム内の実績要素をほぼクリアしている」くらいの認識で。
特にJUDGE EYES・LOST JUDGEMENTはかなりやりこんだ作品だと自負している。
経歴紹介はこれくらいにして、本題へ。
(注:作品に対する評価はあくまで個人の主観によるものです。
また、ゲームの開発事情含む内部の情報などは一切知りません。)

本題:7外伝について

まず、この作品のプレイ中ずっと思っていたこと。
「過去のグラフィックやデータ、設定を使って、安く作って8の販促にしよう」という開発側の思惑である。
如くといえば、過去作の小ネタやカメオ出演などのファンサービスが多くみられる作品ではあるが、本作はファンサービスを通り越して「流用」の側面が強いように思われる。
詳細は評価点・問題点として後述するが、筆者としてはいまいち開発側の熱量が感じられないと思った。

評価点

1.「桐生一馬」を動かせること
個人的には、この作品を買ったファンの多くは「桐生をまた自分の手で動かせる」ことに魅力を感じているのではないかと思う。
やはり「龍が如く」における「龍」は桐生一馬であり、春日一番ではないのだ。
キムタクとは違った、重みのある喧嘩スタイルは変わらず動かしていて楽しい。モーションやアクションの強さ、ヒートアクションに関しては少し思うところはあるものの、それでも「プレイアブルキャラが桐生一馬」であること自体に価値があると思う。

2.ストーリーの整合性が取れている
これは問題点のほうでも触れる内容にはなるが、7本編における流れと矛盾しないようにとかなり留意されている感がある。
多少穴があるのは、如くシリーズにおいてはツッコむだけ野暮というものだろう。

3.恒例のファンサービス
主に闘技場にその色が強く見えるが、こちらも問題点と表裏一体。
G.B.ホームズやムナンチョ赤松、八神探偵事務所のメンバー、果ては郷田龍司のモノマネ芸人こと「郷田小龍司」など、過去関わりのあったキャラ、外伝作品のキャラなど、知っていれば笑える/盛り上がるキャラも多い。

闘技場の実質ラストにあたる南田グランプリ。
進行不能直後に戻るとこうなっていた。

特に闘技場を全種クリアすると最後に解放される「南田グランプリ」。
浄龍(桐生)の今までに戦った強敵たちとの6連戦とのこと。
挑戦を始めると、見たことないロボットとどこかで聞いたことのあるBGM。
そう、龍が如く6のラスボス・巌見恒雄だ。
その流れで、相沢・大吾・峯・龍司・錦山のデータをインストールしたロボットたちの相手をしていく。
毎試合相手に沿った歴代のBGMが流れる演出は、シリーズファンとしては感動モノだ。
ただ、所詮相手はコピーロボット。鍛え上げた桐生の前では、イントロ中に倒れてしまうこともあった。
専用演出やQTEがない分、敵そのものへの感動は少々薄味。
歴代TOPの体力を誇っていた極2龍司くらい、HPだけでも盛っておいてよかったのではないかと思う。

問題点

1.ゲームのボリューム・作りこみが値段不相応
既に多方面から言われているが、ゲームボリュームが過去作に比べ極端に少ない。
8との並行開発とはいえ、定価6000円というフルプライス一歩手前の価格で満足できるボリュームではないと思う。
ゲームのボリュームについて詳細に解説すると、

・通常の如くナンバリングでは10章前後のメインストーリーが、本作では5章しかない。

・オリジナルのマップはキャッスルと、一時的に戦闘MAPとなる大道寺本部やアジトなどストーリー中に関係のある場所のみ。蒼天堀・異人町は過去作の使い回しである上、異人町は全体の3割ほど(下半分のうちさらに狭い範囲)しか行動できない。

・飲食店・プレイスポットは過去作の流用。

・キャラモデルも本編に関わらないものは汎用or流用。
  ↳ドラゴンエンジン導入以降(6、極2、キムタク)の作品キャラのみ登場している、ということは・・・

・ヒートアクションが少ない。各種ガジェットがある分アクションには多様性があるように見えるが、やはりヒートアクションの少なさは戦闘のダイナミックさを欠いてしまうように思われる。
また、ヒートアクションが少ないことによって、体力が非常に多いボスキャラに対しての確実なダメージソースが少なくなってしまっている(ヒートアクションを繰り返し使用すると威力が落ちるため)。

・やりこみ要素が少ない。
トロフィーコンプリート、赤目ネットワークの活動記録埋めなどはあるものの、それらはあくまで「作業」ではないかと思う。
一応、シリーズ恒例の亜門一族との戦いはあるものの、それに至るまでメインストーリー込みで20時間ほど。最速では10時間ほどだろう。

・クリア後に解放される要素はほぼ皆無。
シリーズ恒例の「強くてニューゲーム」「プレミアムアドベンチャー」がなく、本作では「クリア後モード」となっており
クリア後に解放されるものといえば、時間帯の変更(最終章終盤の自由時間から可能ではある)、異人町へ行けるようになることのみ。
異人町特有の要素も無いに等しい。
筆者は過去作において、「一週目で育成を完了し、二週目は一週目と同じ難易度で無双して、三週目で最高難易度に挑む」という楽しみ方をしていたものの、本作ではその遊び方ができなかったのは非常に残念だ。

・ストーリーのハラハラ感の薄さ。
本作は東城会・近江連合の大解散をゴールとして、桐生が現場に居合わせるまでの経緯を描いたストーリーが本筋で、8へ繋がるものとなっている。
過去作ナンバリング作品においては、桐生や周辺の主要人物がピンチに陥ったりした場合はハラハラさせられたものだが、「桐生・渡瀬の生存」が確定的になっている以上、どんなにピンチでも「まぁ助かるでしょ」という気持ちになってしまう。
また、渡瀬組若頭・鶴野との交渉の場においても、「結局大解散に来るし、最終的には協力するんだろうな」という気持ちで見てしまう。
もちろん、それが「外伝」としての本作の役割であるのは理解できるが、過去作において存在していたカタルシスがほとんどないのは寂しい。
前述した「強くてニューゲーム」がない以上、二週目を好んでプレイしたいと思わせる魅力が歯応えは感じられなかった。

2.バトルバランスが悪い。
・本作におけるバトルスタイルは、ガジェットを用いて戦う「エージェント」、従来の桐生のバトルスタイルである「応龍」の二つ。そこに「アルティメットヒートモード」でアクションが拡張される形となる。
特に気になったのは、「モーションの回りくどさ」「崩しの難しさ」「コンボが繋がらない」という点。
「モーションの回りくどさ」というのは、やけに飛んだり、回ったり、しゃがんで手を地面に付くモーションが目立っているということだ。
エージェント時の□□△△、□□□△△、□□□□△△△、
応龍時の□□△△△などがすぐに思いつくものだろうか。
無駄に溜める動作がしゃがむ動作が挟まることで、後述2つの「崩しの難しさ」「コンボが繋がらない」という問題点を生み出してしまっている。
モーションの回りくどさにより、攻撃のテンポダウンに繋がり、結果せっかくの桐生を操作できる作品なのに爽快感が薄れてしまっているように感じる。
「崩しの難しさ」は、前述したモーションのテンポの悪さによって、溜め攻撃がガード崩しをしたとしてもリガードされてしまうということ。
後半になるにつれて、金策をして能力強化・装備強化を図り一発一発の威力に賭けて必死に崩そうと攻撃を続けることはできるが、ひたすら応龍スタイルの□△△を振り続ける作業となってしまう。エージェントスタイルでは、ドローンを飛ばし続けるかガード崩しのヒートアクションを振るしかなく、極にあったラッシュや壊し屋といった崩しからダメージを与えるような爽快感がない。
特に闘技場においては、この崩しの難しさによって時間制限のある闘技でなかなか高タイムを出したり、そもそものクリアが難しくなってしまっているように感じる。
最後に「コンボが繋がらない」という点。
モーションの回りくどさによりダウン時の追撃ができない、コンボ後半がすり抜けるなどが発生する。
敵を浮かせる技も応龍□□□△くらいしかなく、また崩せていないタイミングも多いため、なかなか一方的に殴れるタイミングがない。
加えて、アルティメットヒートを発動したとしてもタイマンにおいては応龍では□連打でラッシュができる点と、ヒートアクション2種が追加される点。
エージェントではガジェットのスピードアップとスウェイからの反撃ができる点くらいしかなく、メリットがあまり感じられない。
攻撃が弾かれることも多く、□△△・・・と繋げようかと思って入力していたらただの△や飛び蹴りに化けており、敵に余裕で返されるようなこともしばしばある。ダメージにより中断させられることも。

以上のバトルバランスにより、難易度STANDARDであっても「ヒートゲージを溜め、少ない種類のヒートアクションを固定で叩き込む」のが最適解となってしまっており、「自分で動かしていく」感覚が進むにつれなくなっていく。

3.ボス敵が小物/コンパチキャラっぽい。
本作においてタイマンで戦うボスキャラは、闘技場やサイドストーリーを除けば「三代目西谷誉」と「獅子堂康生」の二名。他のボスキャラとしては吉村や鶴野も挙げられるが、こちらは取り巻きがいるため割愛。
「三代目西谷誉」と「獅子堂康生」の二人とも、「安く作られたボスキャラ」感を強く感じる。

まず「三代目西谷誉」から。「三代目」とある通り、龍が如く0の真島パートにて活躍した「西谷誉」の後継者。
・・・なのだが、なぜ「三代目」としたのだろうか。また、サラっと「ジングォン派」の生き残りであることが明かされるが、その設定は桐生との対峙やストーリーにはほぼ関係ないものとなっている。
「桐生に執着している」ような言及はあったが、本作の三代目西谷誉は(ストーリーの関係上ではあるが)本拠地であるキャッスルから出ようとしない「出不精」であり、戦闘のタイミングは「キャッスルに乗り込んできた桐生に部下を差し向けた後(この時点では桐生と知らず、闘技場での活躍を見ての接触)」と「倉庫へのカチコミ後」、そして「最終章の工事現場に駆けつけてくる」くらいだ。執着も何もない。
これに関しては、再三言及してきたが「流用」だろう。設定の流用だ。
キャラクター性は元祖西谷誉を少し残酷に味付けした程度で、独自の仁義があった元祖とは比べ物にならない「ただのクズ」で終わっている。
ジングォン派の生き残りである必要もなかったので、「ファンサがてら作りやすいキャラ」として登場したように邪推してしまう。

「獅子堂康生」に関しては、「劣化版郷田龍司」に過ぎず、周囲が大解散に向けて忙しくしていた中裏切りを画策していたらたまたま上手くいっただけの小物だ。
歴代桐生編ラスボスとしても格下で、
錦山:直系の組の組長
龍司:直系の組の組長
峯 :直系の組の組長
大吾:東城会会長
相沢:会長護衛役、及び黒幕である近江連合会長の実子
巌見:一応黒幕だが、1~5と比べると小物。

渡瀬組若頭補佐の獅子堂は、歴代ボスの中でもガッカリと評されている巌見といい勝負だ。
筆者はプレイ中、「ラスボスは誰だろう?西谷かな?」と思ったら西谷は取り巻きと登場したため特に苦戦せず、大道寺一派に連れ去られていった。
結果、ラスボスは獅子堂。戦闘スタイルやフィールドの遷移が5のラスボス・相沢に似ており、ラスボスとしての格はHPの多さくらい。その点で言えば、巌見よりはマシかもしれない。

4.最適化不足(PS4版のみ?)
筆者は本作をPS4をプレイしたが、至る所で動きが止まったり、ムービー中やセーブ中に処理が止まって進行不能になる事象が複数回発生した。
もっとも、これは筆者のプレイ環境に起因する可能性もあるため、一概には語れない。
筆者のPS4は2018年の年明けから今まで働いてもらっているので、そろそろ寿命となってきている可能性がある。
あるいは、もうPS4が縦マルチ対応されるゲーム自体、PS4での動作が厳しくなってきているのかもしれない。
サイバーパンク2077が発売初期に遊べない事件も記憶に新しいが、後継機のPS5やPCを検討するべきなのだろうか・・・

5.亜門が「ダルいだけ」の敵と化している。
これに関しては今作だけではなく、JUDGE EYESあたりから顕著なのだが、裏ボスとなる亜門が「強い」ではなく「ダルい」となっており、
・オーラの色によって与ダメージが減る(桐生のバトルスタイルをオーラの色に合わせる必要がある。JUDGE EYESからの仕様)
・2回目以降のヒートアクションの与ダメージが大幅減少
  ↳本作のヒートアクションの少なさがここで響いてくる。
・前半は自動回復、後半は攻撃を受けると回復する。
  ↳前半はエージェントスタイルを用いて戦うのだが、先述の通り崩しが苦手かつヒートアクションの少ないエージェントスタイルの弱さに加えて亜門がとにかく距離をとってガード不能の遠距離攻撃とまきびしで時間を稼いでくる。
後半は応龍スタイルで戦えるので崩しと火力は多少マシ・・・と思いきや、後半から解放されるドロップキックと闘気爆(LOST JUDGEMENTにおいて仙薬を使った時に出せる技)が非常に出が速いうえ、食らった時の亜門の体力回復量がとてつもなく、モロに食らえば2ゲージほど回復される。
後半に突入したら、使えるヒートを全て使って削ったのち、アルティメットヒートモードのヒートアクションで削るしかなく、できなければリセットするのが早いくらいに通常攻撃での削りが困難。

さすがにLOST JUDGEMENTの亜門の仙薬技連打ほどの強さはないが、本作の桐生の使いづらさも相俟って非常に面倒くさい。
まるでFC版DQ2のシドーのような、「別にめちゃくちゃ強いわけではないが、特定の行動が当たると途端に面倒くさい」というキャラに仕上がっている。あくまで個人的な感想ではあるが。

終わりに

問題点のボリュームが評価点の4,5倍ほどとなってしまったが、元々このnoteを書こうと思い至ったのは、諸々の問題点を受けた今の自分の感想を残しておきたかったためだ。
11月に7外伝、1月に8本編の発売という発売スケジュールから、もう少し期待度を下げて接するべきだったかもしれない。
8はコマンドでのバトルシステムがメインのようなので、龍が如くスタジオのアクション新作としてはキムタクシリーズに期待しようと思う。

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