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【突撃!隣のプロンプト!】株式会社Relic 田中 翔太良さんに聞く、事業アイデア創出AI

本記事は、AI人材リモートアシスタント「ロコアシ」による企画記事です。新規事業開発プラットフォーム「Throttle(スロットル)」 を運営する「株式会社Relic」プロダクトマネージャーの「田中 翔太良」様にお話を伺いました。
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新規事業およびオープンイノベーションの領域に特化した「株式会社Relic」

——恵比寿のオフィスへお邪魔しています。読者の方に御社と田中さんのご紹介をお願いいたします。

日本企業の新規事業開発やイノベーション創出を支援する事業共創カンパニーの株式会社RelicでThrottleプロダクトマネージャーをしている田中翔太良です。

当社は新規事業およびオープンイノベーションの領域に特化した事業展開とクライアント様の支援を行っています。

創業当時5名ではじまった組織も、現在は300名以上に拡大しています。今年は新卒28名が入社し、さらに参画してくれる人を増やしていくチャレンジをしています。

約半数のスタッフがデザイナーやソフトウェアエンジニアで構成されていて、自分たちで新規事業を作り上げていくチャレンジも積極的に行っています。

私たちの事業は、自社で立ち上げた新規事業支援に特化したプロダクトを提供するインキュベーションテック事業、クライアントの事業開発を伴走しながら作り上げる事業プロデュースの事業開発、およびスタートアップへの投資や大企業と一緒に共同開発を行う共創型のオープンイノベーションの3つの軸で展開しています。

コーポレートサイト:https://relic.co.jp/

私はインキュベーションテック事業の「Throttle(スロットル)」というプロダクトの、プロダクトマネージャーおよび事業責任者を務めています。

Throttleは新規事業創出プログラムや社内ベンチャー制度、オープンイノベーションやアクセラレーションプログラム等を含む、すべての新規事業開発やイノベーション創出のための活動に最適化されたSaaS型イノベーションマネジメント・プラットフォームです。

今後の日本企業においてイノベーションマネジメントの概念や手法が普及し、新規事業創出への取り組みを試みる企業が増加していくと想定される中、新規事業開発やオープンイノベーションにおけるアイデア創出から事業化に至るまでの一連のプロセスを一元的に管理・運用できる仕組みとテクノロジーを提供することで、挑戦する企業や組織の支援を行うことを目的に2019年8月より提供を開始しました。

これまでに2,000社以上に導入され、5万人以上のユーザーに利用されるなど、国内シェアNo.1の導入・利用実績を誇ります。

コロナ禍やアフターコロナにおける新規事業開発のDXの文脈でもご好評いただいており、『Ruby biz Grand prix 2021』においては国内25事例の中からDX賞を受賞しました。

公式サイト:https://relic.co.jp/services/throttle/

私は入社して1年半が経ちますが、実は創業当時から関わっています。代表の北嶋とは学生時代からの知り合いで、当社が最初にオフィスを構えた当時、私は同じオフィスでヘルスケアのスタートアップを起業しながら、当社の仕事をサポートしていました。

ChatGPTのファーストインプレッションは「これは将来的に当たり前の技術になるだろう」

——ChatGPTのファーストインプレッションを教えてください。

これは将来的に当たり前の技術になるだろうと感じました。様々なテクノロジーに触れてきた中でも、ChatGPTは他の技術とは異なる印象を受けました。特に、当社のThrottleとの相性が良いと感じました。

交流があるデータサイエンティストや機械学習エンジニアとの情報交換でも、ChatGPTは一過性のものではないとの意見を受けました。

そのため、単にChatGPTを使用するのではなく、Throttleに組み込む、実装する方向で、当社のエンジニアと早い段階から相談を進めていました。

情報のセキュリティ担保を最優先に検証して実装された「事業アイデア創出AI」


——「事業アイデア創出AI」誕生までの経緯を教えてください。

イノベーションマネジメント・プラットフォーム「Throttle」のアイデア創出・事業開発機能を強化すべく5月に実装されたのが、これまでThrottleが蓄積してきたアセットと昨今の生成系AIの技術的進化を牽引するChatGPTを組み合わせた業界初となる「事業アイデア創出AI」です。

ChatGPTは語学処理能力に優れたAIモデルであり、将来的にはRelicやThrottleが持つ実績や経験などの豊富なデータと高度な自然言語処理を組み合わせることで、新規事業開発において課題が大きいアイデア創出フェーズの支援をより強化し、創出する事業アイデアの量や質の向上を短時間で実現することを目指しています。

「事業アイデア創出AI」の誕生までの経緯について、最初に気にしていたのは情報の取り扱いでした。Throttleは法人顧客向けのプロダクトなので、レピュテーションリスクが上がってしまうと、クライアントに浸透していかないという懸念がありました。

情報のセキュリティ担保が最優先で、機能の実現可能性よりも、セキュリティが確保できるかどうかを重視し、問題ないと判断された際に、対処法も用意して実装に進みました。

新規事業における一番の課題「検討の時間の長さ」を生成AIで短縮・簡略化したい

——「事業アイデア創出AI」について、詳しく聞かせてください。

本機能は、新規事業開発のアイデア創出フェーズ・事業検証フェーズにおいてGPT4を活用するもので、新規事業開発に課題を持つ企業の事業アイデアを短時間で創出することが可能になり、アイデアの量や質の向上を支援します。

我々が新規事業における一番の課題として感じているところは「検討の時間の長さ」です。生成AI機能を活用してこの時間を短縮・簡略化することが我々のチャレンジしたいところです。

我々は新規事業の専門家として、新規事業というのは、ロジックや計画だけではうまくいかない部分が多いことを身に染みて理解しています。机上の空論で終わってしまうと意味がありません。

とにかくアイデアをいかに検証するか、いかに改善するか。現場での実行や検証に価値があると考えています。生成AI機能を使用することで、アイデアのフィードバックや生成、さらにはブラッシュアップがその場で即座に行えるため、出来上がったアイデアをしっかりと現場で検証することに集中できると感じています。

生成AIで作ったアイデアを自らお客さんに会いに行って検証して、実務を通して事業開発を経験してほしい、学んでいただきたい。これがThrottleを通じて実現したい世界観であり、提供したい価値です。

いち早く機能を体験してもらうために、生成AI活用ワークショップやデモを無償で実施

——「事業アイデア創出AI」のプロダクト開発において、田中さんが特に重視されているポイントは何ですか?

我々が非常に歯がゆく感じているところは、情報収集だけで終わってしまう方がとても多いことです。

ただし、多くのテクノロジーやツールは、実際に使ってみないとその効果や価値を実感できないと思う一方で、そのアウトプットに時間がかかることもあると分かっています。

そこで、いち早くこの機能を体験していただくために、我々は生成AI活用ワークショップやデモを無償で実施しています。ご担当者様とお話しているその場で、事業アイデア創出AIをリアルタイム生成するなど、実際に体験していただく機会を提供しています。

少しでも興味を持っていただける方は、当社RelicやThrottleチームにお気軽にお問い合わせいただければ、詳しい説明をさせていただきます。

生成AIに広報専門家としてプレスリリース文案生成をリクエスト

——「事業アイデア創出AI」以外に、生成AIを業務で活用されていますか?どのように活用されていますか?

様々な業務に活用しています。

イメージとしては、第2の自分を作るような形や、自分とは違った視点の専門家を横に置きながら業務を進めるような形でしょうか。

例えば、プレスリリースやお知らせの素案の文章を作成する際、生成AIに広報の専門家としての観点で文面を作成してもらうようリクエストすることがあります。

すぐに文面が生成されるので、私の仮説や考えと、生成AIが作成した文面を比較し、ブラッシュアップすることが多いです。

ただ、生成AIを活用する際には、あくまで補完機能としての位置づけを心掛けています。生成AIをメイン機能として業務の短縮化だけに利用すると、自分の能力の向上やチームの成長、ナレッジの蓄積が進まないと感じています。そのため、サブ機能としての活用を前提に、さまざまな場面での利用を試みています。

我々は検索エンジンを利用することに慣れている

——生成AI活用における課題や難しさを感じるところがあれば、教えてください。

生成AIの正解率・正答率に過剰な期待がかかっている傾向を感じています。

我々は検索エンジンを利用することに慣れており、検索クエリを入力するとアルゴリズムで比較的正解に近いものが出てくるという認識を持っています。

生成AIも同様に、入力したものに対する正解が順位付けで上がってくると期待する人が多いですが、実際の生成AIは、生成AIと会話をしながら一緒に情報を作り上げていくものです。

私はエンジニアリングの経験があるので、腹落ちできている部分なのかもしれませんが、多くのビジネスサイドの人々はコードを書いた経験がありません。

プロンプトエンジニアリングという言葉も出てきていますが、つまりは、生成AIのプロンプトを書くことは、エンジニアリングの一環です。ビジネス側の人々には理解しにくい部分があるので、エンジニアリングの考え方や生成AIの基本的な考え方を伝えることも、我々の責務だと考えています。

過去起業していた時の事業アイデアを生成AIでブラッシュアップ

——生成AIを活用して驚いたことや、思わぬ成果が出た事例はありますか?

我々の目標は、1000の事業をお客様と共に創っていくことです。

事業のアイデアを作成する際、多くの人はアイデア創出の段階で止まってしまいます。我々の新規事業開発のノウハウを活かしたプロンプトにより、瞬時に作成した事業アイデアを更にブラッシュアップします。当社のデザイナーと連携してプロトタイプ制作を行い、フィールドワークでの実証実験を進めることができます。

少しでも生成AIで事業化までの距離や実現難易度を下げることを、とても大事にしています。どうすれば事業検証フェーズに速やかに進めるか、今頭を絞っています。

私は元々、遠隔医療のスタートアップで起業経験があるのですが、当時の事業アイデアを生成AIでブラッシュアップできました。遠隔医療は、国ごとに法規制や診療体系が異なるため、アイデアの評価も国ごとに異なります。生成AIを用いて、国ごとの評価をフィードバックとして受け取ることができました。

私たちは、既存の枠組みにとらわれない新規事業のアプローチの手段を増やしていきたいと考えています。大企業を中心に、分科会を開催し、多くの選択肢を考え、経営陣を巻き込みながら実行に移すモニタープロジェクトを進めていますが、多くの企業が参画してくれています。

挑戦者をいかに増やせるか。私自身も生成AIの恩恵を受けながら、楽しむことができています。

生成AIは、専門家を自分の真横に随時置けるような体感ができる

——この記事を読んでいる方に生成AIをお勧めしていただけますか?

中小企業の社長さんやオーナー企業の方々にとって、生成AIはまるで自分の分身を作るような、はたまた、専門家を自分の真横に随時置けるような体感が得られます。

日本発のプロダクトとして、世界に挑戦する意志を示していきたい

——「事業アイデア創出AI」ならびに御社事業の将来展望について、聞かせてください。

Throttleの将来展望についてお話します。

近い将来、海外進出を目指しています。Throttleは「イノベーションマネジメントプラットフォーム」として、すべての新規事業のノウハウやナレッジが詰まったプラットフォームを作り上げるという考え方を持っています。

現在は国内の大企業を中心に展開していますが、新規事業やイノベーション分野での主要な地域は、アメリカやヨーロッパです。

我々も日本発のプロダクト事業として、世界に挑戦する意志を示していきたいと考えています。これまでもチャレンジを試みており、今後も継続してチャレンジしていく予定です。

お話を聞いた方

(聞き手:ロコアシ事業部長 あさい 撮影:広報 おかけいじゅん

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