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フリーランス「清水れみお」様に聞く 生成AIコンサルティング【突撃!隣のプロンプト!】

生成AIサービスのプロダクトオーナー、エバンジェリストなどトップランナーの皆さんへのインタビュー特集「突撃!隣のプロンプト!」へようこそ。本日はフリーランスの生成AIコンサルタント及びエンジニアの「清水れみお」様にお話を伺いました。
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フリーランスで生成AIコンサルティングを行う「清水れみお」様


——読者の方に向けて、清水様のご紹介をお願いします。

はじめまして。清水れみお( @lemilemilemio)という名前で活動しています。

フリーランスの生成AIコンサルタント及びエンジニアです。生成AIコンサルティングとしては、例えば企業に対してChatGPTなどの生成AIの活用支援をしています。環境構築から社内勉強会の実施、お客様向けの勉強会など、多岐にわたる活動を行っています。

10年ほどITエンジニアとは無関係の通信建設業界で、携帯基地局のアンテナ設置やLTEから5Gへの切り替えなどを担当していました。最先端技術に触れる機会が多く、第3次AIブームの頃にAIに興味を持ちました。

その後、関連分野の企業に転職し、数年間働いた後、一旦次のキャリアを定めずに、仕事を辞めて、休息に専念する期間を設けました。

ゲームの「ゼルダの伝説」が特に好きで、長年新作を待ち望んでいたので、仕事を辞めた後はひたすらゼルダを楽しむことに時間を費やしました。

ゼルダにひたすら時間を費やした後、ふと2023年4月頃にChatGPTを少し深掘りしてみることにしました。

異業種・無職から100件以上の生成AI勉強会に参加。生成AI研究と開発、生成AI相談を続けるうちに、次第に生成AIコンサルティングをするように

——生成AIコンサルタントとして活動するきっかけや経緯を教えてください。

2023年の4月頃にChatGPTを触った時はすぐに飽きて、ゲームに戻ってしまいましたが、6月頃に再び取り組むようになりました。

IT勉強会プラットフォームの「connpass」で生成AI関係のイベントを探して、渋谷で開催されたイベントに参加しました。そのイベントは生成AIに関する様々なディスカッションをする会でした。

私は他の参加者と比べて、基礎知識が足りてるとは言えない状況ではありましたが「生成AIでこのようなプロダクトが作りたいです」「でも知識はありません」と正直に伝えて、相談しました。

参加者の皆さんは優しく、具体的なアドバイスや知識を惜しみなく提供してくれました。例えば、AIの基本的な仕組みや最新の技術動向、具体的なプロジェクトの進め方など、幅広いテーマについて学ぶことができました。

このイベント参加をきっかけに、生成AI関係のイベントや勉強会にひたすら参加して、知識を深めることができました。2023年だけでも、100件以上のイベントに参加したと思います。

一方で、知識をいただくだけではなく、正しい知識を元に、お話しできる側にもならねばと考えるようになりました。

イベントで得た学びや、生成AIを活用したアプリケーションの開発、本格的に学習したPythonの知識などが積み重なり、試行錯誤を続けるうちに、次第に生成AIツールを活用して、複雑なプロジェクトを進めることができるようになりました。

生成AIの活用について様々な方からご相談を受けるうちに、ITエンジニアとは無関係の職種だった私が、生成AIコンサルタントとして活動するようになりました。

ChatGPTのファーストインプレッションは「改善の余地はあるが、検索とは異なる体験で、まるで会話しているかのような感覚」だった

——ChatGPTのファーストインプレッションを教えてください。

ChatGPTがリリースされた瞬間、Twitterで話題になっているのを見て、その日か次の日にはすぐに試してみようと思いました。

最初に投稿した質問は、当時、通信業界にいたため「Starlinkはどうやって入れますか?」というものでした。

返ってきた回答はサンフランシスコでの手続きについての詳細な説明で、検索して得られる情報とは違い、まるで会話しているかのような感覚を覚えました。しかし、「日本法人はありますか?」と尋ねると、誤った情報が返ってきたため、まだ改善の余地があることを感じました。

それでも、ChatGPTの応答の自然さと即時性には非常に感心しました。

それ以来、たまに気になることをChatGPTに尋ねてみることがありました。

当初はプロンプトエンジニアリングなどの具体的な応用は考えていませんでしたが、期待値は非常に高かったです。

特に、コーディングのサポートができるという話を聞いていたので、その点には大いに期待していました。

実際に触れてみた結果、その期待は大きく裏切られることなく、むしろその可能性に対する期待がさらに高まりました。

特に、自分が不慣れだったプログラミングやAI技術を学ぶ上で、ChatGPTは非常に役立つツールであると感じました。

エンジニアリングのハードルを下げ、より多くの人々が生成AIを活用できるようにすることを重視

——清水様のお取組みにおいて、特に重視されているポイントは何ですか?

特に重視しているのは、エンジニアリングのハードルを下げ、より多くの人々が生成AIを活用できるようにすることです。

私自身が元々エンジニアではなく、プログラミングはそれほど深くやっていませんでしたが、業務効率化やRPA、Excelの関数を使った作業自動化には強い興味がありました。

常に「どうやったら楽にできるか」を考え、効率化を追求するタイプでした。こうした素質がある人は、ChatGPTを活用するのが得意だと思います。

ExcelやRPAのスキルだけでなく、プログラミングの世界に飛躍するための素質がある人たちが、ChatGPTを使うことでさらに進化できると考えています。

例えば、エンジニアではないけれども挑戦してみたい、過去に試してみたけど挫折したという人たちを、再び挑戦するきっかけにしたいと思っています。

エンジニアとしてチーム開発ができるレベルまで引き上げることは難しいかもしれませんが、ChatGPTを使えば、自分の業務に適したツールを作ることは十分に可能です。

特に、オンラインでAPIを組み合わせるだけで、今までRPAではできなかった部分を補完することができるようになります。

私が目指しているのは、こうした人たちをサポートし、彼らが自分の業務を効率化するためのツールを作り出せるようになることです。

Google検索はPerplexity AIで代替。動画要約でインプットのボリュームアップも

——清水様のお取組み以外に、生成AIを業務で活用されていますか?どのように活用されていますか?

検索については、ほとんどGoogle検索を使わず、代わりにPerplexity AIを使っています。

Perplexity AIは質問に対して直接答えてくれるので、情報収集が非常に効率的です。

最近は特に、YouTubeの動画を要約してくれるWebアプリ「Summarize」を活用しています。

長い動画でもこのアプリに投げるだけで、短時間で要点を把握することができ、非常に便利です。

また、最近英会話の練習を始めました。

子供が英会話教室に通っていることもあり、私もChatGPTの音声応答機能を使って英会話を練習しています。

さらに、自分で英会話の練習用Botを作成しようと考えています。

現時点では市販のアプリを待つよりも、自分でカスタマイズしたBotの方が効率的かもしれないと感じています。

生成AIを活用することで、業務の効率化だけでなく、個人的なスキルアップにも大いに役立っています。

生成AI導入の最も大きな課題は、継続利用。最も効果的だったのはハンズオン体験

——生成AI活用における課題や難しさを感じるところがあれば、教えてください。

個人的な課題としては、生成AIの使い方に対する自分の伝え方が悪かったり、もっと精度が上がればいいなと感じたりすることがあります。

特にレスポンスの速度や精度が向上すれば、さらに便利になると感じています。

最近はLLM(Large Language Model)ではなく、ビジョンランゲージモデルをよく使っているのですが、音声と動画を同時に認識して、より正確に内容を理解し、それに基づいた応答をしてくれることが期待されています。

もう一つの課題は、生成AIを使い始めた人たちにどのように継続して利用してもらうかです。

コンサルティングを行っている中で、生成AIの導入を推進するために多くの工夫が必要です。特に、全く使わない人にはどれだけ説明しても使ってもらえないことが多く、他の人が言えば使ってもらえる場合もあります。

最も効果的だったのは、ハンズオンで実際に体験してもらうことです。1回の体験で終わらせず、2回3回と繰り返し体験することで、コツを掴んでもらうことが重要です。

実際に手を動かして体験することで、自分の業務にどのように活用できるかの具体的なイメージを持ってもらうことができます。これが、生成AIの導入を推進する上での一つの解決策だと考えています。

——この記事を読んでいる方に生成AIをお勧めしていただけますか?

私は、興味を持てなかったり、触らなくてもいいやと思う人には、無理に触る必要はないと思っています。

スマホの普及と似ていると思います。

iPhoneが出るまで多くの人がスマホを持っていなかったように、生成AIもその便利さが実感できるまで待ってもいいと思います。

ただ、今の段階で触れておくと、その分だけの恩恵は必ず得られると思います。先行者優位という言葉があるように、そのツールの使い方や応用方法を、他の人や企業より早く理解できるのは大きなメリットです。

また、全員が生成AIを使えるようにならなかったとしても、紙ベースでも仕事は回るかもしれませんが、中小企業が新規参入や競争に対応できないリスクがあります。

生成AIが業務に入り込むことで、全てを駆逐するとは思いませんが、少なくともどんなものなのかを理解しておくだけでも価値があります。

特に、今は無料で試せるツールや少しの費用で参加できる勉強会などが多くあります。試用してみて、まだ時期尚早と判断すれば、それで十分ですが、全く触らないまま放置しておくのはもったいないと思います。

生成AIは、未来の仕事や生活を大きく変える可能性があります。興味がある方はぜひ一度試してみて、その可能性を感じてみてください。

マルチモーダルビジョンの性能向上がもたらす自動化の大きな可能性

——生成AIの将来展望について、聞かせてください。

直近ではRAG(Retrieval-Augmented Generation)が注目されています。RAGが初めて登場したときは大きな期待を持ちましたが、実際に触れてみるとビジネスインパクトはそれほど大きくないと感じました。

今年はマルチモーダルビジョンの性能が非常に向上しており、これにより多くの可能性が広がると考えています。例えば、ロボット技術やデータの構造化自動化が進展するでしょう。

多くの企業がデータはあるのに活用できないという問題に直面していますが、マルチモーダルビジョンを活用することで、非構造化データを構造化することが可能になり、データの前処理にかかる時間とコストを削減できます。

特に建築業界では、DXが進んでいない部分が多く、工程管理や見積もり作成などの業務でAIを活用することで、大きな改善が期待できます。

人間の目でチェックしなければならない作業をAIが代替し、リアルタイムでの動作マニュアルの作成や動作の自動化が進むことで、ビジネスインパクトが大きいと考えています。

建築図面や工程管理、見積もりなどのDX化を進めることで、より効率的に業務を遂行できるようになるでしょう。

これらの分野で、AIが「目で見て判断する能力」を持つことで、従来は人間が行っていた部分も自動化できる可能性があります。

——生成AIで最も魅力的に感じるところを教えてください。

生成AIで一番魅力的に感じるのは、自然言語処理の柔軟性です。例えば、Google検索では特定のキーワードを入力して情報を得るのが一般的ですが、生成AIではもっと自然な言葉で質問することができます。

「何かを調べて」と言うだけで、適切な情報を提供してくれるのは非常に便利です。また、検索結果をクリックして別のページを開く手間も省けます。

アプリケーションに組み込む際にも、生成AIはルールベースのシステムとは異なり、柔軟に対応できます。

例えば、曖昧な入力に対しても適切な応答を返すことができる点が非常に魅力的です。

従来のシステムでは、完全なルールベースでなければならない部分が、生成AIを活用することで、もっと柔軟に対応できるようになりました。

さらに、アレクサのような音声アシスタントでは、ウィキペディアの情報しか返せないことが多いですが、生成AIはそれ以上の情報を提供できます。

「これについて教えて」と尋ねるだけで、専門的な知識や実用的なアドバイスを得られるのは非常に価値があります。こうした点で、生成AIは情報アクセスの民主化を進めていると言えるでしょう。

生成AIの柔軟性と応答の質の高さは、多くの人にとって非常に使いやすく、魅力的な技術だと思います。

お話を聞いた方

生成AIコンサルタント・エンジニア「清水れみお」様

(聞き手・撮影:ロコアシ事業部長 あさい

ロコアシ:AI活用人材にデスクワークを委託!

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