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アルコール依存症

昔々の「光の前世療法」のレポートから・・・

  アルコール依存症
 昔々、甲府の梅里にゲンタという青年がいました。
 彼は十八の時に、医学の勉強をするために町へ出て行きました。
 「はや」という診療所に着きました。
 中では白い服を着た先生が忙しそうにしていました。
 ちょんまげが揺れています。
 患者さんたちから、じん先生と呼ばれていました。先生は「今の父」です。
 じん先生はゲンタに医学をしっかりと教えてくれました。とても優しくて、本当の父みたいでした。ゲンタはいつも「先生の力になりたい」と思って勉強していました。
 ある時、先生が「自分の娘を嫁にもらってくれ」と言いました。ゲンタはとても幸せでした。妻の名は「しず」と言いました。「今の娘」です。
 じん先生とゲンタ夫婦は仲良く暮らしました。仕事も順調でした。
 ある時、ゲンタはミスをして難産の母子を死なせてしまいました。その赤ん坊が「今の息子」です。
 赤ん坊はゲンタをとても恨みました。彼が失敗しなければ、愛情あふれる母親と生きられるはずだったのに、その運命が閉ざされてしまった、と赤ん坊は思っていました。
 赤ん坊は憎しみを持って生まれ変わって来ました。赤ん坊の心が伝わります。「今度はいっぱい愛して欲しいから。死んだ母親に代わって、あなたに愛して欲しいから」
 それからというもの、ゲンタは酒浸りになりました。来る日も来る日もお酒ばかり飲んでいて、医者の仕事をしなくなりました。
 ゲンタは梅里の実家に帰りました。母親一人が働きました。彼と父親は毎日お酒を飲んではケンカをして、いがみ合っていました。
 ゲンタの心がお酒で狂っていきます。三十三歳の時、彼は父を殺しました。そして自らもノドに釘を刺して死にました。ゲンタは思いました。
「これで酒から逃げられるさ」

 先生はゲンタの魂に尋ねました。
「死んだ時に、何か決心したことはありますか?」
 ゲンタの魂が答えました。
「もう二度とお酒は飲みません」
「それからどうなりましたか?」
「どんどん空にあがって行きます。雲の上で少し横になって休みます。それから私を指導してくれる女性が近づいて来ました」
「その人は何と言っていますか?」
 彼の魂が答えました。
「今までの人生の反省をしています。まず、ミスをきっかけにお酒を飲みはじめたことです。お酒に逃げるのではなく、あれを基にしてもっと偉大な医者になるはずでした。でも自分の弱さに負けてしまいました。もっと医学を勉強すべきでした。自信過剰になっていました」
 指導者が続けました。
「謙虚になりなさい。今のあなたには謙虚さが必要です。人ばかり責めて、自分のことは棚にあげています。あなたがお酒に溺れていても、先生や妻はずっと暖かく見守ってくれていました。でもあなたは実家に帰ってしまい、恵まれた環境を捨ててしまったのです。本当はご恩返しをすべきだったのに。
 今回の人生でも逃げることばかりを考えています。弱さを強さに変えなさい。その訓練をするのです。なかなか実行に移せないのはわかりますが、それは総ての人に共通なことで、あなただけではないのです。もっと努力しなさい。あきらめが早すぎます。持続性がないのです。
 前回の療法の時にも「忍耐が足りない」と言いましたが、未だにその意味がわかっていません。あなたがこれ以上、彼のことを責めたりすると、あなた自身が弱さに負けてしまいます。人を責めることによって自分の弱さをカバーしているからです。弱さと正直に向き合いなさい。自分を受け入れなさい。もっとお父さんを信頼しなさい。
 世の中を生きていくためには猜疑心はあって当然です。それがなければ善悪の区別がつきません。でも、あなたは猜疑心の使い方を間違っています。自分の身近な人に猜疑心を持つのではなく、もっと幅広く、浅く使い分けなさい。私はあなたを見守っていますよ」
 先生は指導者に尋ねました。
「今回は、どうやって彼とペアを組んだのですか?」
 彼の魂が答えました。
「私は何回も生まれ変わって来ているのにアルコールを克服できたことがありません。それなのに、私を本当に愛して受け入れてくれているのが彼です。もし他の人なら離婚されて、のたれ死にしてしまいます。今回も私のアルコール依存症を断ち切るために夫婦になってくれました。前の人生では義理の父で上司という、先生と生徒の立場だったけれども力が及びませんでした。だから今回は夫婦になって、直接手助け出来るように生まれ変わってきました」
 指導者が続けました。
「彼の広い心に感謝しなさい。もし今回、アルコール依存症を乗り越えられたら、もう来世では一緒の運命は歩まないでしょう。別々の運命を歩くことになるでしょう」
「では、私は彼と一緒に今回の人生を計画したのですか?」
「私はあまり細かい計画を立ててなかったのですが、彼は細かく計画してくれました」
 先生は指導者に聞きました。
「今回の私の人生はここまで順調ですか?」
「よくがんばっています。このまま乗り越えられますよ。ここまでよく乗り越えてますよ。お酒を止めたこの四年間はきっと実りとなって、あなたの人生に還ってくることでしょう。今までは困難にぶつかると、お酒に逃げて乗り越えられなかったけれども、この四年間はしらふできちんと乗り越えてきました。その自分を誉めてあげなさいね」
「世の中のアルコール依存症の人は、みんな私みたいなものなのですか? 他の問題もあるのですか?」
 指導者が答えました。
「アルコール依存症は心の病気です。あなたのような人がいっぱいいます。今回のあなたは比較的軽い方です。他の病気を併発していませんから。もっとひどい人は、うつ病や薬物依存、拒食症などの病気をアルコールによって引き起こしています」
「あなたの指導者としっかり握手してください。どんな感じですか?」
「あったかいです。これからも私を見守って下さるそうです」


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