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生きがいの創造:柿の実

もう20年以上前の「光の前世療法」の症例から・・・

  柿の実
 明治の中頃の信州に仲の良い夫婦がいました。旦那さんはちょんまげをした優しい人でした。
 妻は「みちこ」と言いました。
 やがて二人に女の子が生まれました。「ゆり」と名付けました。
 とても幸せな家族でした。
 ある春の日、二人はいつものように楽しく畑仕事をしていました。
 広い畑の中を馬に乗った役人たちがやって来ました。みんなとても険しい表情です。夫は有無を言わさずに、どこかへ連れ去られてしまいました。
 みちこはひどい寂しさの中で混乱しました。どうやって帰ったのか、わかりません。気がつくと、ゆりと二人、大きな家の中で泣いていました。
 みちこは待ち続けました。ただひたすら夫の帰りを待ちました。
「旦那さんは誰かに騙だまされたのかなぁ。悪いことなど、するはずがないわ・・・」
 夫の消息はわかりませんでした。
 みちこは七十四歳になりました。
 娘は結婚して幸せに暮らしていました。
 旦那さんは帰ってきませんでした。
「ひとりで死ぬのは嫌だなぁ。寂しいなぁ。誰かにずっとそばにいて欲しかったなぁ。もっといろいろなことを分かち合いたかったなぁ」
 彼女は眠っている間に死にました。それはとても安らかな死でした。

 先生は、みちこの魂に尋ねました。
「死んだ時に、何か決心したことはありますか?」
「旦那さんを探します」と、みちこが答えました。
「やっぱり、かなり以前に死んでいたみたいです」
「あなたが死んだ時に、そばに誰か迎えに来ましたか?」
「旦那さんがいます。会えて良かったって言ってます。私も会いたかったと言いました」
 先生は旦那さんの魂に聞きました。
「あの後、どうなったのですか?」
「殺されました」
「誰かを恨んでいませんか?」
「恨んでません」
「死ぬ時に、何を考えていましたか?」
「何でこんなことになったのだろう・・・」
 先生はみちこに代わって彼に尋ねました。
「待っててくれたの?」
「待ってたよ」
「先に死んで、何か私に合図をしてくれた?」
「したよ。家の柿の木に実をならしたよ。気づいてくれるかなぁって思ってたよ。みちこが気づいてくれなくって、ちょっと寂しかったなぁ」
「私を見守ってくれていたの?」
「ずっと見ていたよ」
 先生は二人を高みへと導きました。そして尋ねました。
「今、旦那さんと巡めぐり会って、何か決心したことはありますか?」
「もう離れたくありません。今度も一緒になれるように生まれようと思いました。探そうと思いました。探したかった・・・」
「探すために、今回の人生をどのように仕組んだのですか?」
「彼が先に生まれるのを見届けてから生まれてきました」
 先生はもっと高みへと導きました。
 そして、みちこの人生を振り返りました。
「何事も強く想うことです。そうすれば必ず叶います」
 先生は二人をさらに高みへと導きます。
 そこには安らかな光がありました。二人で光の中へ入ります。
 真ん中に光のポールがありました。
「そのポールに向って聞いてください。私の今回の人生の目的は何ですか?」
 光が答えました。
「人を愛することです。しっかりと愛しなさい」
「それはどういう意味ですか?」
「許すことです」
「許すとは、どういう意味ですか?」
「いろんな人がいることをわかることです」
「そのためにはどうしたらいいのですか?」
「本当にいろんな人がいるのだから、広くものを見なさい」
「私に愛せますか?」
「大丈夫です」
 先生は光に尋ねました。
「彼との関係は何ですか?」
「大事な存在です。磨き合う関係です。どんなことがあっても、お互いを想い合う関係です」
「私は今までに何回生まれ変わりましたか?」
「六十八回です」
「彼とは何回、一緒の人生を歩みましたか?」
「四十八回です」
「人間関係で何に気をつけたらいいですか?」
「クヨクヨしないことです。下ではなく前をまっすぐ見なさい」
 先生は光に頼みました。
「このまま人生を乗り切っていくために何かアドバイスをください」
「人を信じることです」
「そのためにはどうしたらいいですか?」
「穏やかな気持ちになることです」
「私はなぜ何度も生まれ変わっているのですか?」
 光が答えました。
「人間感係を磨くためです」
「私は今回の人生で、彼と結ばれる運命なのですか?」
「わかりません」
「どうしたら結ばれますか?」
「わかりません」
「結ばれなくても磨き合えるのですか?」
「出来ます。相手を思いやることが大事なのです」
 先生は光にお願いしました。
「私の今回の人生の目的をクリアできた、未来の私の姿をちょっと見せてください」
 するとヴィジョンが見えてきました。
「三十五歳で子どもを抱いています。女の子が二人と男の子が一人です。子どもを見て笑っています」
 先生は未来の彼女に聞きました。
「今の私に何かアドバイスがありますか?」
 未来の彼女が答えました。
「悩むことだよ、でも大丈夫。笑う日が来るからね」
「悩むなんて辛いよ」
「それが課題だよ」
「あなたは解決できたの?」
「ちょっとはね。でも、これからも悩むよ」
「私の人生はそんなに悩んでばかりなの?」
「学習しているのだよ」
「あなた、それで幸せ?」
「幸せだよ」
「どうしたらあなたのようになれるの?」
「笑うことだよ」
「どうやったら笑えるの?」
「悩み抜いたら笑えるよ」
「私に出来るかなぁ?」
「もちろん出来るよ」
「ねぇ、夫は誰? 教えてくれる?」
 彼女が残念そうに答えました。
「顔も姿もよくわかりません」
「子供たちにもメッセージをもらってください」
 未来の子供たちが答えました。
「時間が解決するよ、だから待っててね」
「君たちが私をお母さんに選んだの?」
「そうだよ」
「なぜ私をお母さんに選んだの?」
「逞しいし、楽しそうだからだよ」
「お母さんは合格かな?」
「うん。これからかな」
「私を選んで良かった?」
「うん。がんばってね。笑ってね」
 先生は光に尋ねました。
「私の人生はここまで順調ですか?」
「順調です」
「この人生は誰が決めたのですか?」
「私自身です。今回の人生はちょっと波があってもいいかなって決めました。でも大丈夫、やっていけます」
「あなたも私を応援してくれますか?」
「いつもいるよ」
「困った時、あなたに会いに来ていいですか?」
「うん。手の上に来るみたいです。来てくれるって言ってくれました」

この頃は、2時間のセッションだったなぁ。
でも、光との対話の内容がどんどん濃くなっていったので、
今では6時間でも足りないくらいのセッションになりました。





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