意識低い系新聞記者

新聞社の末席に身を置いて20年余、地方回りが多かった中年記者です。「新聞という業態」が…

意識低い系新聞記者

新聞社の末席に身を置いて20年余、地方回りが多かった中年記者です。「新聞という業態」が衰退していく様を眺めながら脱出方法などを日々思案しております。沈みゆく新聞業界の話、取材などを通じてこれまで見聞したことなどを書いていこうと思います。

最近の記事

キーワードは「JC(青年会議所)」〜連載「なぜ地方で自民党が強いのか」②

 連載と銘打ってこのタイトルで①を書いたのは昨年7月でした。つい最近までnoteから離れていました。  続きを書いてみます。  前回、地方の社会構造を四つにカテゴライズしました。以下の通りです(再掲に当たり表記などを整えました)。 ①伝統的金持ちファミリー  →地方で長く続いている事業家、資産家、開業医、代議士ら ②新興勢力  →地方(Uターンした故郷)で事業を始めた起業家ら ③勤め人  →市町村役場の職員や団体職員、一定程度の規模の民間企業に勤務する社員ら ④労働者・

    • 新聞は60代後半から70代半ばの「おじいちゃん仕様」に最適化されている

       日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が「女性がたくさん入っている会議は時間がかかります」という発言の余波はいまだ続いています。  当初はJOC、IOCとも「訂正・謝罪したので問題なし」とのスタンスでしたが、世界的な世論の反発が収まらず、両者とも森会長を「切り捨てる」形に追い込まれました。  この件を受けた政権与党の大幹部と経済界トップの発言にも批判が集まりました。  毎日新聞の報道によると、発言が問題とな

      • 連載「なぜ地方で自民党が強いのか」①

         新型コロナウイルスの感染拡大に伴って登場した「新しい生活様式」という言葉を聞くたび、切ない気持ちになります。  ポストコロナの世界においては、まず生ビールで乾杯して口角泡を飛ばすおしゃべりで盛り上がってから2軒目の店でカラオケを歌いまくるーといった「旧式の生活様式」を二度と経験することはできない、のでしょう、たぶんきっと。  感染防止対策をきちんと講じ、新ルールをきちんと守った上で似たような宴席が今後催されるかもしれませんが、旧式の世界の「無邪気さ」や「熱気」はもう味わえ

        • オールドメディア的な価値観でいうと「黒ちゃん」はすげぇいい人だし一緒に麻雀した新聞記者は超敏腕

           noteを書くのも開くのも5ヶ月ぶりです。5ヶ月といえば、新型コロナウイルスの記事が中国の風土病のような扱いで新聞の外信面に小さく載っていた頃のはずです。  こんな短期間で世界のありようがここまで劇的に変わることを想像できた人はいないでしょう。  コロナを巡って伝えるべきこと、議論すべきことは膨大にあるのですが、「意識低い系新聞記者」を自称する人間がここで扱うのもどうかなぁと思って控えておりました。  しかし、ようやくぼくが扱うにふさわしい(?)話題が出てきました。東京

        キーワードは「JC(青年会議所)」〜連載「なぜ地方で自民党が強いのか」②

          ネット広告は少し「おバカさん」なぐらいが愛される

           ここ3週間ほどnoteを放ったらかしにしておりました。WordPressで数カ月前に立ち上げた子育て関連のブログの記事をまとめて書いたりメンテナンスをしたりという作業を優先していたためです。  子育てブログの方は「実名が分かっても問題ない」というスタンスでやっていますし、友人・知人の方々にも、それほど積極的ではないですが存在をお伝えしています。  このnoteとは書く内容も臨むスタンスも異なりますが、ぼくにとってはどちらも大切な存在です。今回のnoteは、こんなタイトルで

          ネット広告は少し「おバカさん」なぐらいが愛される

          渡る世間は「ハラ」ばかり

           気づいてみたらいつの間にか「〜ハラ」という言葉がすごく増えてますよね。新種の「〜ハラ」をマスコミで知り、「それは無理があるから流行らないだろうね、その言葉を流行らせて一儲けしようと考えている勢力はいるだろうけど」と思ったことがある方は少なくないでしょう。  その「ハラ」界の元祖であり本家がたぶん、「セクハラ」と「パワハラ」なのでしょう。偉大な言葉たちです。この二つの言葉が普及してくれたおかげで、そうした行為が社会的に認められないという認識が広がって、対策が講じられるように

          渡る世間は「ハラ」ばかり

          「甲子園での夏の大会は無理」との萩生田文科相発言、いい指摘だと思うのですが、時期が時期だけにうがった見方をしてしまいました

           「桜を見る会」問題、週刊文春と週刊新潮がともに新たな記事を掲載するようで、ネット上も賑やかになっております。  これまでは安倍政権を擁護する書き込みが多かったニュースサイトのコメント欄や巨大掲示板の某板の書き込みに政権批判が目立ってきたことをみるに、「モリカケ」の時以上の「勢い」を感じます。予断を許さない状況といえます。  そんな流れとは直接関係はないのですが、本日、個人的に一番気になったニュースはこちらです。  東京五輪マラソンの開催地が札幌に変更されましたし、夏の高

          「甲子園での夏の大会は無理」との萩生田文科相発言、いい指摘だと思うのですが、時期が時期だけにうがった見方をしてしまいました

          こんな時期に安倍首相と宴会をした「内閣記者会加盟報道各社のキャップ」たちの心中を察してみた(※20191125追加あり)

           「桜を見る会」問題を巡り、11月20日の「首相動静」がTwitterで話題になっていました。  で、話題となっていた部分はこちらです。上にリンクを貼った時事通信の記事から引用します(太字は筆者)。 午後6時34分、官邸発。同39分、東京・平河町の都道府県会館着。同所内の中国料理店「上海大飯店」で内閣記者会加盟報道各社のキャップと懇談。 午後8時34分、同所発。  キャップというのは、各社がその現場に配属する記者のトップで、現場レベルでその社を代表して取材先と折衝する役

          こんな時期に安倍首相と宴会をした「内閣記者会加盟報道各社のキャップ」たちの心中を察してみた(※20191125追加あり)

          定例会見で「桜を見る会」問題に触れた山口県下関市長の前田さんみたいな方々をよく存じております

           「桜を見る会」問題を巡る安倍首相サイドの対応、さらに混迷を深めていますね。  昔の自民党であれば、時の総理・総裁の決定的な不祥事が明るみに出れば、次の最高権力の座を狙う有力代議士がうごめき出してトップを牽制し、名乗りを上げ、総裁選という名の注目度抜群の「組織内プロレス」で勝利した新リーダーが「刷新」「立て直し」などと唱え、政党支持率が持ち直すーという新陳代謝(疑似政権交代)が行われたわけですが、そんな野心と気概のある政治家が今は自民党内にいないのでしょうか。なんとつまらん腰

          定例会見で「桜を見る会」問題に触れた山口県下関市長の前田さんみたいな方々をよく存じております

          沢尻エリカ容疑者の逮捕報道でTBS安住アナが使ったある「言い回し」が気になって仕方がない

           女優の沢尻エリカさんが麻薬取締法違反(合成麻薬所持)の疑いで警視庁に逮捕されたというニュースには当初、あまり関心がありませんでした(注:以下は容疑者呼称に変えます)。沢尻容疑者のファンではないですし、逮捕容疑とイメージのギャップも特に感じられなかったからです。  あと、「芸能人に清廉潔白を求めすぎるのはどうか」という個人的な気持ちもあります。  その人がどんな職業だろうと犯罪の容疑者を捕まえて取り調べをして公開の法廷で裁くのは当然のことではありますが、それは分かった上で、

          沢尻エリカ容疑者の逮捕報道でTBS安住アナが使ったある「言い回し」が気になって仕方がない

          絶対に笑ってはいけない「桜を見る会」前夜祭

           いま旬の「桜を見る会」問題、ネットでも大きな話題となっています。この問題を受けたぶら下がり会見での安倍首相の表情が「かなりヤバそう」に見えました。ご本人も自覚がおありなのでしょう。  現政権を擁護するグループ(「右派」と書くと硬派な民族主義者の方々に失礼ですので、ここで軽々に右・左というレッテル貼りはいたしません)も、ネットやテレビを中心に一斉に動き出しています。  「批判ばかりで政策論争しない野党はバカ」「くだらないことに大事な時間を使わないで」「被災地の方々は大変な思

          絶対に笑ってはいけない「桜を見る会」前夜祭

          SNSの使い方から見える地方議員たちの個性

           転勤で地方をあちこち回ってきたため、以前赴任した各地の地方議員の方々との繋がりが今も結構残っています。特に親しい方ですと、電話しあったり一緒に飲みに行ったりもしますが、そこまでの間柄でなくても、Facebookに書き込まれる近況に「いいね!」したり、コメントを書いたりと。  もう仕事上の「取材する・される」の関係ではないのですが、Facebookのおかげでゆるく繋がり続けることができています。そういう方たちってきっと、SNSが登場する前なら「年に1回年賀状を交換する間柄」み

          SNSの使い方から見える地方議員たちの個性

          台風19号直撃の日に、あるツイートをみて考えたこと

           「大型で非常に強い」台風19号が直撃した10月12日は仕事が休みでした。この日は子どもを連れて近所のイベントに顔を出す計画でしたが、当然イベントは中止。体力があり余って外に出たがる子どもを車に乗せ、地元のコミュニティーFMやNHKラジオで情報収集しながら、氾濫する恐れがありそうな河川沿いを避けながら近くをドライブをするのが精一杯で、基本的にはずっと家にこもっていました。  出勤日だったら、会社近くのホテルに前泊するか、ダイヤが大幅に遅れるのを見越して早起きして始発電車に乗る

          台風19号直撃の日に、あるツイートをみて考えたこと

          ニュース系3アプリを比較して気付いたこと

           「ニュース系3アプリ」というくくりは、さっきぼくが勝手に決めたもので、「Yahoo!ニュース」「SmartNews」「グノシー」の3つを指しています。便利ですよね、これ。  お若い方はピンと来ないかもしれませんが、新聞社・通信社やテレビ局がホームページを作り始め、ネットでニュースを流し始めたばかりの頃は、わざわざ各社のサイトを巡回し、各社のサイトに事前登録してメールでニュース速報を受け取ることで情報を得ていました。職業柄、毎日いろんなマスコミのサイトを巡回していたのですが

          ニュース系3アプリを比較して気付いたこと

          「大事なことが書いてあるから読みにくくても面白くなくても読め」はだいぶ前からもう通用しなくなっているがそれに気付いていない人が結構いる

           前回、消費増税10%が始まった2019年10月1日の夜に見つけた「5ちゃんねる」のスレッド「日本新聞協会『新聞がんばってるから!解約やめてね!やめてね!」の書き込みを引用しながら、「新聞と軽減税率」について書きました。  今回は、軽減税率と直接関係がなかったので前回割愛したのですが、このスレッドで一番心に刺さった書き込みを引用し、それを起点に展開してみます(表記は原文のままです)。 「テンプレ記事しか書けない無能の集まり その癖偉そう」  新聞業界内についてよく分かって

          「大事なことが書いてあるから読みにくくても面白くなくても読め」はだいぶ前からもう通用しなくなっているがそれに気付いていない人が結構いる

          消費増税が始まった日の夜に見た「5ちゃんねる」のあるスレタイが秀逸だった

           8%から10%に消費税が上がった2019年10月1日の夜、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)でこんなタイトルのスレッドを見つけました。 日本新聞協会「新聞がんばってるから!解約やめてね!やめてね!」  今回の消費増税では、定期購読している新聞は8%のままで増税されませんでした。飲食料品と同じく「軽減税率が適用」されたためです。  で、増税初日に合わせ、各社でつくる業界団体である「日本新聞協会」が軽減税率について見解を発表し、それを記事にして朝日新聞(電子版)が載せ、それを元

          消費増税が始まった日の夜に見た「5ちゃんねる」のあるスレタイが秀逸だった