年夜飯とおせち②
さて前回につづき、上海のおせちとも言える年夜飯を紹介したいと記憶を辿ってメニュウを調べてみた。この記事ですべてを紹介し切れるかわからないけれど、印象の強いものからとりあえず初めてみよう!
葱油海蜇萝卜丝
これは千切り大根とくらげの葱油和えである。干くらげは80℃でさっと湯どおしして戻しておく。千切りにした大根は塩をしてしんなりさせて水気を絞る。万能ネギは小口に切る。ボールに大根、ネギ、塩、熱した胡麻油入れてひと混ぜ、そこにくらげも加えてさらに和えて完成。
四喜烤麩
干烤麩、干黄花菜、干木耳、干椎茸、生落花生で作る乾物推しの一品。乾物はすべて熱湯につけてもどしておく。主役の烤麸は、小麦グルテンを熟成させたお麩の一種なので、グルテンの独特の臭みをけすためにもどし汁に塩を少々して、もみ洗いしてから湯を切る、さらにもう一度お湯でもみ洗いして完全に水気をしぼる。黄花菜は日本でいう忘れな草の花を乾燥させたものである。独特のシャキシャキした食感がたまらなく美味しくて、私はこの料理の影の主役だと思っている。この黄花菜と木耳はもどし汁を捨てて軽く水気を切る。干し椎茸は1cm角に刻み、もどし汁は後で使うのでとっておく。
全ての材料の下準備ができたら、火入の開始である。まずは烤麸を炒めるより少し多めの油で揚げ焼きにし、きつね色に色づいたところで一旦取り出す。またフライパンに油を足し落花生をサッと炒める。そこへ椎茸、木耳、黄花菜を入れて軽く炒めたら、ひたひたになるくらいの鳥だし汁と椎茸のもどし汁を加えて煮立て、砂糖:醤油を2:3で味をつける。お好みでオイスターソースを加えても良い。そこへ胡椒少々、八角2個、シナモン小1本を加えて烤麸をもどし入れて煮立て、煮立ったら弱火にし、蓋をかぶせて15分ほど煮込んで、汁気がなくなったところに胡麻油を回し入れ、さっと混ぜて完成である。
百叶包
百叶とは中華食材の大豆食品、おし湯葉のことである。これを春巻きの皮くらいの大きさに切り分ける。豚挽肉に水少々・酒・塩・砂糖少々で味付けをし、こね合わせて餡を作る。ここに好みで水気を固く絞った青菜を入れてもいいらしい。先ほど切っておいた百叶に餡を適量のせ、春巻きを巻く要領で巻いていく。平皿に巻いた百叶包を2段クロスさせるように方向を変えて重ねてのせ、蒸し器で20分蒸しあげれば完成だ。
白切鶏
これは私の大好物である。上海では至る所でお惣菜として売られているが、それでもご馳走感があってみんなが喜ぶおかずだ。まず丸ドリ1匹を準備する。難しいようなら骨付きの鳥もも肉でも作れるようだけれど、とりあえずは丸ドリで作ってみることにする。
パスタ鍋のような大きなお鍋いっぱいに熱湯を沸かし、そこに料理酒をドボっと加える。その横に大きなボールも用意して氷水を張っておく。身と皮が分離し、その間にゼラチンを溜めるために、熱湯に10秒、氷水に10秒と交互に丸ドリを入れ、それを3回繰り返す。それが終わったら熱湯に丸ドリを沈め、生姜2片、長ネギの青い部分を加え強火にし、煮立ってきたところで弱火にして蓋を被せ、15分煮る。15分たったら火をとめ、蓋をしたまま25分間待って粗熱をとる。待っている間に、生姜のみじん切り、万能ネギの小口切り、砂糖少々、醤油、最後に煮汁も少し加えてタレを作る。
時間になったら煮汁から丸ドリを取り出し、先ほどの冷水に浸して身をぎゅっと縮ませ、表面に胡麻油を塗って切り分けるのだが、ここで骨ごとたたき切るために中華包丁が欠かせない。脚、手羽、胴体を切り分け、それぞれを一口大にダン、ダダダンと切って、大皿に丁寧に並べる。
煮汁は最高のスープになるので、鳥だし汁としてとっておく。
各種醤油煮
これらに関して、正式な料理名を知らないのだが、毎年のように父は作っていた。各種、というのはここに豚耳、家鴨丸ごと一匹、モツなどが含まれる。作り方は大きな鍋に醤油丸ごと一本、それと同量の水、砂糖どっさり、八角、シナモン、クローブを入れて煮立て、そこに下処理を済ませた上記の材料を入れて煮るのだ。火が通ったら煮汁の中で粗熱をとり、きれいに切り分けて皿に並べる。これは作り方が検索しても見つからないので、父なりの叉烧の代用だったのかもしれない。叉烧とは日本で見かけるチャーシューのイメージとは違い、タレを塗って串に挿して特殊な窯で焼いた肉のことだが、日本の社宅にそんな窯は存在しないので、代わりに醤油煮を編み出したのではないかと私は推測する。
ここまでが、冷盆(前菜)である。大人は酒の肴にこれらをつまみ、こどもは食べたいものを好きなだけ食べ、つづくメインディッシュ、デザートを待ちわびる。ここまでは、なんとか作れそうな気がしているが果たして1日で準備できるだろうか。
長くなってしまうので、続きは次回に持ち越すことにする。
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