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物流DXの着手ポイントとROI(投資対効果)計算方法

中小企業における物流のデジタルトランスフォーメーション(DX)は、費用の軽減や作業工数削減に大きな効果があるとして注目されています。
今回は、物流DXを進めることで得られるメリットや進め方、また、投資効果の計算方法について解説します。

物流DXを進めることで得られるメリット

  1. 費用面の恩恵                              ◆燃料費の削減                           最適なルート選定により不必要な走行を減少させることができ、燃料費を節約することができます。                      ◆人件費の削減                           自動化や効率化により、オペレーター人数を最小限にできます。                              ◆維持管理費の削減                              車両の動きや状態をリアルタイムで把握することで、予防的なメンテナンスや故障の早期発見が可能となり、維持管理費の削減につながります。

  2. 業務効率面の恩恵                         ◆リアルタイムな情報共有
    GPSやIoTを利用して車両の位置情報や状態をリアルタイムで共有することができ、顧客への配達状況の連絡や変更の際の対応が迅速に行えます。
    ◆在庫管理の最適化
    IoT技術や予測分析を利用することで、注文や倉庫移動・配送状況の正確な情報を取集することができ、在庫をリアルタイムに把握し、過剰在庫や品切れを減少させることや調整が可能となります。          倉庫コストや廃棄ロスが減少します。
    ◆業務の簡易化と自動化
    受注から配送、返品までの一連の業務をクラウドベースのシステムで統合することやAI、その他自動化などで、手作業のミスを減少させるとともに業務の効率化が行えます。
    ◆データ活用
    収集したデータを分析することで、業務のボトルネックや改善点を発見し、更なる効率化を模索することができます。

以上のポイントは物流DXの一例ですが、物流DXを取り入れることで、中小企業は競争力を高め、更に顧客のニーズに迅速に対応することが可能となります。                               初期投資は必要かもしれませんが、長期的な視点での費用削減や業務効率の向上は大きなメリットになると言われています。


物流DX促進の着手ポイント

  1. 現状の業務分析                          まず、現在の物流業務の流れや課題点を正確に把握することが重要です。
    デジタル化する前に、どの部分が非効率なのか、どの部分に問題があるのかを明確にすることで、適切なITソリューションの選定が可能となります。最近の物流DXツールはオプション機能も充実しているので、それらをフル活用することもお薦めします。

  2. IT投資                              IT投資では基本的なシステム導入…つまり、基幹業務システムや在庫管理システムの導入・更新の検討が必要になります。また、クラウドサービスを活用することで、初期投資を抑えつつ導入が可能です。
    IT基盤を整えつつ、自動化技術やAI・データ分析ツールを導入していくことが効果の最大化につながります。                  倉庫内でのピッキング作業を効率化するためのロボット技術やデータ入力を自動化するOCR技術、最適な配送ルートの提案や需要予測を行うためのAIツールやデータ分析ツールの導入などが挙げられます。       また、設備投資に近い内容ですが、バーコード・RFIDなどの機器とIT基盤を連携させることにより、さらに効率的な在庫管理や商品追跡を行えるようになります。

  3. 教育・トレーニング                        新しい技術やシステムを導入した際には、従業員への教育やトレーニングも欠かせません。
    導入技術の特性や操作方法をしっかりと理解することで、導入後のトラブルを減少させることが可能です。

以上が物流DXを促進させる着手ポイントとなります。
物流DXを進める際は、現場の声をしっかりと取り入れ、業務の改善や効率化のための最適なソリューションを選定することが重要です。

DXの投資と期待されるリターンの考え方

  1. DXの投資コスト
    初期投資の内訳は、ソフトウェアライセンス、ハードウェア、システムのカスタマイズや導入のコンサルティング料などが考えられます。    また、従業員の研修費用やシステムの維持・更新に関する継続的なコストも計算に入れるべきです。

  2. 期待されるリターン
    物流DXの目的は、業務の効率化、運用コストの削減、サービス品質の向上、新しいビジネスモデルの創出などが考えられます。          これらの改善や効果を数値化することで、DXのリターンを具体的に計算することができます。

ROIの計算例                             例:中小規模のECサイト運営A社の場合

◆投資コスト
システム導入費用: 300万円
研修費用: 50万円
月々のシステム利用費: 10万円/月

◆リターン
月々の物流コスト削減: 100万円/月
ROIの計算:ROI = (累計リターン - 累計投資) / 累計投資

◆1年間のROIを考えると…
累計投資 = 300万 + 50万 + (10万 x 12) = 470万円
累計リターン = 100万 x 12 = 1200万円

ROI = (1200万 - 470万) / 470万 = 155%

このケースにおいて、A社は物流DXによって年間で155%のリターンを達成することができました。

まとめ

物流DXは、正しく導入・運用することで企業にとって大きな利益をもたらす可能性があります。
しかし、投資とリターンをしっかりと計算し、効果的な施策を進めることが重要です。物流DX導入をご検討している企業は、ROIを意識した取り組みを進めることをおすすめします。


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