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塗膜調査あるある3         塗膜採取量はどの位あればいいの?

塗膜採取量は分析依頼する分析会社に聞きましょう

塗膜調査時の分析項目は

溶出試験:鉛・六価クロム・PCB

含有量試験:鉛・クロム・PCB

となります。

それぞれの分析項目は試験に供するための最低試料量が決まっています。

それでは、各項目の最低試料量をトータルした量を採取すればいいのでしょうか?

答えはです。

分析会社の立場になって考えてみよう

もし、最低試料量しか届かなかった場合、分析会社はやり直しがききません。

分析作業は人の手で行う工程が数多くあります。故意ではなくても、試料を床に落としたり、前処理が失敗したり、分析機器の調子が悪くて異常値が検出されたります。

私も、100検体を分析機器の調子が悪かったせいで、泣く泣く前処理からやり直した経験があります。

不慮の事態に遭遇して分析やり直しというのは起こりえるのです(泣)

従って、分析会社は慣例あるいは内規によって必要とする試料量を求めてきます。分析2回分とか3回分とかですね。

「ポリ塩化ビフェニルを含有する可能性のある塗膜のサンプリング方法」(環境省通知)を参照しよう

上記の環境省通知には「事前に分析会社との間でサンプリング方法(乾燥・湿潤等)や、分析に必要なサンプル量について協議すること」と明記されています。

分析会社の実状を分かっている文言になっているので非常に好感が持てます。

溶出試験と含有量試験分を同時採取なら200g以上を採取目標にしよう

これは、溶出及び含有量試験一式を3回できる試料量となります。これだけあれば、どこの分析会社に依頼しても文句を言われないと思います。

含有量試験分だけであれば、100g以上を採取目標にしよう

含有量試験分だけの場合、試験3回分であれば50gあれば大丈夫です。

しかし、ここで問題となるのは「試料の代表性」です。

試料の採取個所は、腐食や劣化が少ないところを選定するのが原則です。

上記のことから、構造物の塗装面積に対して50g採取できる面積は小さくなりすぎる可能性が高いのです。

試料の代表性を確保するためには採取面積を大きくすればするほど良いことはご理解いただけると思います。

PCB含有量試験分(PCB特措法関連業務)だけの場合は50gを採取目標にしよう

PCB含有量試験だけを実施する塗膜調査もあります。試験3回分であれば20gで十分でしょう。

ただし、採取目標を50gとしたのは前述した「試料の代表性」の重要性も理由のひとつですが、一番の理由は後々鉛とクロムの分析できる量を確保できるからです。

現在塗膜調査の対象となっている構造物は、建造から長い時間が経っており、いずれ補修や修復、長寿命化のための塗替え工事が必要になってくるものばかりです。

そうなると、いずれは鉛やクロムの分析が必要となるのです。

PCB対象の調査時に、いずれ実施する鉛とクロム分析用の試料を確保しておけば一石二鳥になると思われませんか?


次回はマニュアルや調査要領等の???についてです。