ジーザス・クライスト=スーパースター[エルサレム・バージョン] 2/16・3/13

前回記事より内容が前後しますが。

2月、3月に劇団四季のジーザス・クライスト=スーパースター[エルサレム・バージョン]を観劇してきました。
劇団四季といえば専用劇場を持っていますが、今回は全国公演として2/1~3/17の期間中首都圏・全国にある専用劇場以外のホールで上演されました。
自分が観劇したのは2/16に埼玉の大宮、3/13に静岡の清水。

タイトルの通り、イエス・キリストを題材にした作品。キリストが十字架にかけられるまでの7日間がロック調の音楽によって描かれています。
作詞作曲はオペラ座の怪人、キャッツなどで有名なロイド=ウェーバー&ティム・ライス。このコンビのデビュー作品だそうです。

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聖書の内容やキリストについて詳しいわけでは無いので、(聖☆おにいさん知識がせいぜい。)そのあたりと比べてこの作品はどう、という感想は書けないのですが。
結末自体は「最後の7日間」と銘打っている通り十字架にかけられて終わるので(復活まではなし)、特別驚く展開ではないです。
キリストの苦悩やユダの裏切り、大司祭カヤパ達の策略に加えてヒロイン格のマグダラのマリアの愛などそれぞれにフォーカスがあたり交錯していきます。

中でも怖いと感じたのがジーザスを崇めていた民衆達。
この作品、アンサンブルが24人とちょっと多めです。(参考までにアラジン19人、オペラ座21人、ライオンキング26人。)
今回は大きめの劇場なのでそうでもないですが、小さい自由劇場でこの人数、またはそれ以上でやってたことを考えると、なかなか規模と比べて大所帯な気がします。(李香蘭には敵いませんが…笑)

なんで多いのかと考えると、大勢の民衆が必要だからでは…と。
沢山の人間がよってたかって救いを求めてジーザスに集まったり、神輿にのせて担いで回ったり(比喩表現でなく)…とわらわらした民衆のシーンがなかなかインパクトが大きいです。
改めて舞台写真を見直すと、ジーザスに向かって皆で手を伸ばすシーンとかちょっと狂気というか、怖ささえ感じます。
そしてユダの裏切りで捕縛されて以降、その民衆がそのまんま掌を反してジーザスを追い詰めるのでそれは恐ろしい。

そういう集団の怖さが、人数をうまく使って表現されているような印象を受けました。
アンサンブルの人数が減っても話の進行には問題ないけれど、それだと受ける印象が格段に変わってきてしまうのだろうな…。「民衆」にはならなそう。
この作品に限った話ではないけれど、特に民衆のシーンを見ていてそんなことを思ったのでした。

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この作品は2013年の上演時に一度観劇済み。
正直、当時見たときは「なんだか微妙…」と思ってしまいました。
なぜかというと、このロック音楽に劇団四季の歌い方が合わないと思っていたから。
劇団四季は母音法という独特の発声法を使っているそうで、他のミュージカルと比べるとはっきりと発音されているのでとてもセリフ、歌詞が聞き取りやすいのです。
ただ、あまりにもはっきりしているので見方によってはわざとらしい、不自然と感じる人もいるかもしれません。
なんて表現したらよいか難しいのですが、あまりにもはきはきと日本語が主張しすぎるので、ちょっと格好つけた(?)歌い方が似合うロック音楽にはちぐはぐな感じがしてしまったのです。

と、いうことでどきどきしながら今回見に行ったところ…、

なんにも違和感を感じなかった!笑

思えば当時は四季見始めて1年たつか経たないかくらい。
あれから5年見続けてきたので、さすがに慣れてしまったのでしょう…今までの不安は何だったんだ。
もちろんとっても面白い舞台でした。

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タイトルに[エルサレム・バージョン]とついている通り、別バージョンである[ジャポネスク・バージョン]が存在します。
見たことは無いのですが、大八車が出てきたり歌舞伎調の演出や音楽というなかなか挑戦的な作品だそう。
残念ながら今回はこっちの公演は無く未見のまま…。
いつか観てみたいものです。

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最後にちょっとしたキャストの話。

この作品、キャストが妙に豪華なのです。
具体的に言うと、オペラ座の怪人のファントムを演じられる役者が5人中3人一度に集結するという贅沢さ。(ユダ、大司祭カヤパ、ピラト提督)
もっというと、ジーザスはラウルを演じていた俳優さんなので…、
ある意味、ファントムたちが思う存分オペラ座の怪人の時の仕返しをしているような構図に見えてしまいました。笑

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