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3/23 A CLASS ACT

東京芸術劇場シアターウエストにて、「A CLASS ACT」を観劇してきました。
「コーラスライン」の作詞家、エドワード・クレバンの自伝的ミュージカルです。
ブロードウェイでは2001年に上演され、トニー賞にいくつかノミネートされたそうです。
普段は大きな会場の作品を見ることが多いのですが、今回は客席270席程の小会場でキャストも8名のみ。その分、熱量がギュッと詰まった内容でした!

舞台はニューヨークのブロードウェイ。『コーラスライン』上演中のシューバート劇場に
7名の男女が集まってくる。彼らは『コーラスライン』の作詞家エド・クレバンの友人たち。
前年、亡くなったエドに思いを馳せつつ、ひとりまたひとりとエドの思い出を語りだす。
その様子を劇場の隅で見つめるエド。もちろん彼の姿は友人たちからは見えない。
彼らの思い出とエドの真実が交わる時、誰も知らない本当のエドの物語が始まる。
エドにとって音楽とは?歌とは?『コーラスライン』とは?
『コーラスライン』のそのまた裏側のリアルに迫る、とびきりスペシャルな物語。(公式サイトより)

クレバンは作曲のマーヴィン・ハムリッシュと共に「コーラスライン」でトニー賞オリジナル楽曲賞を受賞しています。
なんとなく、「コーラスラインが出来るまでの苦労話かな?」と思っていました。
もちろんそういった部分もあって、At The Ballet、One等有名ナンバーができるまでのシーンではコーラスラインを思い出して「おっ!」と思いました。
が、この作品においてはむしろ成功してからが山場。今回の成功はあくまで作詞家としてであり、実際も本人はずっと作曲家として成功したかったそうです。コーラスラインを知らなくても、純粋にエド(クレバン)という神経質で病みがちな作曲家の物語として葛藤や苦労が描かれていたことが印象的でした。

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実際のアーティストを基にした作品というと、知っている中ではBeautiful(キャロル・キング)やJerseyBoys(フォー・シーズンズ)、ちょっと違うけどDreamGirls(スプリームス)あたりでだいたい成功とその裏の葛藤が描かれているけど、この作品に関しては(作曲家としての)成功シーンが全くないんです。
かといって、成功しなかった悲劇の作品ではなく、最後に自分が作曲し続けてきた意味について気づくというちょっと切ないけど救われる展開ではありました。
ただ、エドの曲を集めたこの作品自体が「エドの作曲家としての成功」でもあるよなあと感じます。

この「A CLASS ACT」という作品自体、エドが作った曲たちを彼の死後に友人たちが物語として編纂して発表したものだそうです。
ディズニーやレミゼのような超有名作品!という訳ではないけれど、こうして形にしてくれる友人たちがいて、果ては海を越えてこんなところで上演されているというだけでそれはもう成功なのでは?と思うのです。
作中では、ワークショップの仲間6人+元恋人ソフィーという7人が登場しました。
どこまでが事実でどこからが創作なのかはわかりませんでしたが、ただ単に「エドはこんなにすごい人だった!」と褒めたたえるわけではなく、これでもかというほどヘタレっぷりも描かれているあたりになんだか逆に愛を感じます。笑

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今回この作品を上演したのはAKA Company(カタシマオフィス)というところ。
以前もちょっとマイナー(?)なBWミュージカルを上演していて今回のA CLASS ACTは3回目だそうです。
四季ファンとしては、元四季の方々(中井さん、秋さん)の登場シーンに注目した部分も否めないけれど、今回は純粋に作品としてとっても楽しめました。
小劇場のミュージカルというのも私にとっては新鮮でした。熱量とか想いとか直に伝わる感じがしました!

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そして。このタイミングで8月にはシアターオーブで来日版コーラスラインが上演されるそうです。なんとちょうどいいタイミング。
劇団四季版は見たことがあるけれど、この作品を観てからのコーラスラインなのでまた見方が変わるのかも…。
8月が待ち遠しいです!


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