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 令和5年10月1日に消費税の適格請求書等保存方式が導入されると、それによって免税事業者がサプライチェーンから弾き出されてしまう危険性があるという問題について、noteの拙稿でも何度か書かせて戴いた。
cf. 中小企業や小規模事業者もEDIや電子インボイスへの対応が事業継続の必要条件
cf. 街の小さな小売店もB2B取引は見過ごせない。「免税事業者との取引をどうするか」の検討はすでに始まっている。

 この問題が直撃する事業者がある。
 個人タクシー事業者だ。
cf. インボイスは死活問題 穀田・倉林氏 タクシー業者と懇談 京都(しんぶん赤旗)
 個人タクシーの事業者は、その多くが年間の課税売上高が1,000万円以下の免税事業者。
 免税事業者は適格請求書発行事業者になることができないため、適格請求書等の発行ができない。
 適格請求書等を受け取ることができなければ、乗車したお客様は仕入税額控除ができない。
 仕入税額控除ができないとなれば個人タクシーは避けられてしまう。
 街中でお客様を見つけて車を寄せた時、タクシー乗り場で順番に客待ちをしていた時、個人タクシーがやってきたのを見て、お客様は逆に乗車拒否をするかもしれない。

 免税事業者である個人タクシー事業者は課税事業者を選択せざるを得ないのか。
 しかし、問題はそれだけでは解決しない。
 個人タクシーの事業者の中に、適格請求書発行事業者と免税事業者が混在している場合、個人タクシー=免税事業者で仕入税額控除ができない、との先入観から、個人タクシー全体がお客様から避けられてしまうかもしれない。
 個人タクシー業界全体としてどうするかを考える必要が出てくるのだ。 
 消費税の適格請求書等保存方式。今、税法が一つの業界に変革を迫る。

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