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こうして私は洗濯機くんに別れを告げ、洗濯機さんと今後の服の汚れを落としていく決意をしたのだった。。。

あれはたしか……まだこの世の誰もが2022年という世界を垣間見ることすらできなかった頃……むかしむかしというほどでもないが、つい先日というわけでもない。そう。簡単に言えば、だいたい三ヵ月くらい前の話だ。じゃあ最初から三ヵ月前とだけ言えばいいのだ。

そうだ。あれからまだ三ヵ月しか経っていないのだった。
以前noteの記事にも書かせていただいたのだが……ちょっとこんなこと言うと自慢みたいに聞こえてしまうかもしれないが、以前も書いていることだし、今更なにを言っているのかと思われるかもしれないので、さらっと言うけど、我が家には“洗濯機”というハイテクマシーンがある。

いや、この場合、「あった」というべきなのかもしれない。

詳しくはこちらの記事を見てほしいのだが、今から三ヵ月前、我が家のデロリアンこと洗濯機が故障した。


そのときは修理屋さんにきてもらい、なんとかことなきを得たのだが、今回、再び洗濯機が壊れた。
前回は【給水】ができなかったのだが、今回は【脱水】ができなくなってしまった。
わかりやすく言い換えると、口の怪我は治ったのだが新たにお尻にトラブルが発生といったところか。

前回同様、修理という選択肢もあった。
だが、三ヵ月という短い期間に再度修理を依頼することに一抹の不安がよぎる。ひょっとしてまた三ヵ月後に故障? その三ヵ月後にまた故障? このペースでいけば、一年に四回も修理屋さんと顔をあわせることになる。そんなの……こっ恥ずかしいっ!!!
年に四回も人間と会うなんて、ちょっと異次元の話過ぎてまったく想像がつかない。そんなことをして、私はいったいどうなってしまうのだ。「はぁい、ご機嫌麗しゅう」とか言えるようになったりするのだろうか。

それに加え、脱水ができなくなる直前、信じられないような異音が鳴った。
洗濯機からは少し離れた部屋にいたのだが、ドガンガンガンガガガガガ!!!という音が突然鳴り、私は思わず「敵襲!」と叫んで二階の窓ガラスを打ち破り外へ飛び出した。
ミサイルを撃ち込まれたかのような衝撃音が去ったあとも、脱水ができない状態の洗濯機からはゴゴゴゴゴ……とお前はジョジョか、というつっこみをいれたくなるような音が延々と続く。
これは、やはり、もう、そういうことだ。

どういうことかって?
スタンド使いになったってことでしょう。うちの洗濯機くんが。

違う。
もう買い替え時だ。
思えばこの洗濯機を使い始めてかれこれ9年。約10年だ。ちょっと大げさに言おうと思えば、11年ということもできる。もっと見栄を張りたい場合は、思い切って「いやあ、もう15年だもんな」と言うことだってできる。そうなったらもう四捨五入だ。15は五入だから……なんと! もう20年だ! 20年も使ったのだから、もう寿命だと考えてもいいだろう。本当は9年しか使ってないけど。

ということで、結局、新しい洗濯機を購入するはこびとなった。
以前の洗濯機にも愛着があったこと、使用感に非常に満足していたことから、同じメーカーのものを選択。うっ! 洗濯機の話をしている最中に“選択”という言葉を選択してしまった! あっ! また使ってしまった! だからなんだ。

すぐにでも持ち帰って洗濯をしたいところだが、そうもいかない。なぜならこの日、私はエコバッグを家に忘れてきてしまったのだ。悩んだ挙句、私は言った。「すみません、レジ袋のLサイズをお願いします」向こうはぽかんという顔をしていた。
いやいや、とんだ大恥をかいてしまった。皆さんも恥ずかしい思いをしないために、覚えておいたほうがいい。洗濯機はレジ袋には入らない。

結局、翌日配送ということになった。
洗濯機まわりを片付け、そわそわしながら到着を待つ。
これまで長きにわたって働いてくれた洗濯機くんを、ねぎらいの意味をこめ、丹念に拭いてあげる。「今までありがとうな。思えば、あのときも、このときも、君が僕のこぼした醤油染みをきれいにしてくれたね。そう考えると……僕はいつも醤油をこぼしていたね」

古き洗濯機くんに別れを告げ、新しき洗濯機さんを迎える。

洗濯機くんが壊れていてできなかった数日分の洗濯をまとめてやってしまう。

今までは扉のガラス部分が少し黒っぽかったので洗濯中は内部がよく見えなかったのだが、新しき洗濯機さんは白いボディに透明なガラス扉。洗濯の様子がはっきりと見える。

「うわぁ! あんなとこから水がぴゅーっと! あ! 洗剤きたー!! えっ!? こんなところからも水がどばどばと!?」

超楽しい。

そして、洗濯が終了すると、控えめに「ピー ピー うふふふ ピー ピー」と教えてくれる。うふふふは私の聞き間違いかもしれない。
さあ、どんな仕上がりかな、と洗濯機の扉を開くと、パネルに「すぐに取りに来てくれてありがとう」と表示される。なんてかわいらしいやつだ。そんなこと言われたらもっと早く取り出しに行きたくなる。そのうち「すぐに取りに来てくれてありがとう。でも洗濯はまだ始まってもいません。うふふふ」とか言われるようになるかもしれない。

なにはともあれ、洗濯機くんには感謝を、そして洗濯機さんにはこれからよろしくね、と言いたかっただけなのである。

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