マガジンのカバー画像

短編小説

7
ショートショートよりも少し長めのお話たちの住処。
運営しているクリエイター

記事一覧

人々のにぎわい/短編小説

 絶対にあったはずの一万円札がない。しわの寄った一万円札。読みかけの本の栞代わりに挟めた…

英令目野ピイ
2か月前
4

先日、都会の片隅で人間に化けたタヌキと出会ったんだけどさ、と言ったところできっと…

先日都会の片隅で人間に化けたタヌキと出会った話をしよう。 そのタヌキは懸命に人間のふりを…

5

新年の挨拶のおかげで「おめでとう屋さん」は大繁盛の巻き

新年、明けましてあれでございます。 お正月ほど、「おめでとう」という言葉がたくさん使われ…

9

巨人デカオの川遊び

 大きな伸びをしてデカオは起きました。窓の外からは小鳥の鳴き声が聞こえます。 「はあ。嫌…

11

運動会にまつわる思い出を赤裸々に語ろう

この時期、小学校で運動会が開催されるという地域も多いだろう。そこで今回は、懐かしき我が運…

英令目野ピイ
11か月前
9

予知夢/短編小説

 友人が電子レンジに卵を入れていた。 「おい、そんなことしたら……」俺が慌てて声をかける…

英令目野ピイ
4か月前
2

先輩のお下がり/短編小説

 高校時代から慕っていた先輩が、飲酒運転の暴走車にはねられ亡くなってからもうすぐ二年が経つ。俺とは違って酒も煙草もやらず健康に気をつけていた先輩がああもあっさり逝ってしまうなんて。  俺はよく先輩からお下がりの服をもらっていた。当時、収入も少なく着古した洋服ばかりに袖を通していた俺に「お前、いつまでそれ着てんだ」と言いながら、これ本当にお下がりか? と疑いたくなるような新しい衣類ばかりをくれた。「小さくなったからやるよ」と成長期などとうに終えたはずの先輩の体はどんどんでかく