先輩のお下がり/短編小説
高校時代から慕っていた先輩が、飲酒運転の暴走車にはねられ亡くなってからもうすぐ二年が経つ。俺とは違って酒も煙草もやらず健康に気をつけていた先輩がああもあっさり逝ってしまうなんて。
俺はよく先輩からお下がりの服をもらっていた。当時、収入も少なく着古した洋服ばかりに袖を通していた俺に「お前、いつまでそれ着てんだ」と言いながら、これ本当にお下がりか? と疑いたくなるような新しい衣類ばかりをくれた。「小さくなったからやるよ」と成長期などとうに終えたはずの先輩の体はどんどんでかく