ラジオ「LL教室の試験に出ないJ-POP講座~ラテン特集」放送後記座談会(6/6土25:00~O.A)


▼今週の1曲M-1 宇多田ヒカル「誰にも言わない」

ハシノ:ここ最近の宇多田ヒカルの新曲で続いてる天然水のタイアップのシリーズです。
森野:最新の音楽だね。
ハシノ:パーカッションとかサックスとかの置き方がJ-POPっぽくないからですかね。天然水のネイチャー感がよくあらわれてると思います。
矢野:現代ジャズの要素が入っている感じがしますね。
森野:一聴して、いわゆる”ジャズ”って感じには聴こえないようなジャズだよね。
矢野:サックスの入り方とかは現代ジャズを経由してアシッドジャズを再発見している感じですね。ビートとサックスの関係が良いですね。もう、宇多田という存在だからなにやっても成り立つ。
ハシノ:これやっぱりCMありきで制作したから30秒とかの雰囲気が作れればよくて、Aメロ〜Bメロ〜サビみたいな一般的な構成にする必要がなかったとかですかね
森野:あのドラマーまた絡んでるのかな。ディアンジェロ感もある。
矢野:クリス・デイヴ?
森野:そうそう!
矢野:生ドラムじゃないと思いますが、そのあたりのグルーヴ感は意識しているでしょうね。
森野:新しい音楽を受け入れるって難しいよね。なんとなくオシャレっぽいものというフワッとしたものだけど、宇多田ヒカルが率先してやることで徐々に浸透させてることができるのかもしれないけど
矢野:渋い曲ですものね。
ハシノ:宇多田ヒカル自身には新しいところを率先してる自負もあるでしょうね
森野:ノリ的にも、アガる!って感じでもないから、どうしても味わう必要がある。


▼今週のテーマ「ラテン」
M-2 関口和之 meets 青柳拓次 featuring 玲葉奈「HOTEL PACIFIC」

矢野:これ大学生ぐらいのときに新宿ciscoで12インチを買ったのを覚えているなあ。原曲の方かと思ったら違って、すぐに売っちゃいました。でも、のちのち良さに気づいた。
森野:ホテル・パシフィックは何年だったっけ?
矢野:99年ぐらいじゃないですか?
森野:これはいつ頃だろう、関口さんのソロアルバムの曲なのかな?
ハシノ:2001年ですね。「砂山オールスターズ」っていう名義でサザンの曲をいろんなアレンジでカバーしてるアルバムです。ラテン以外にもハワイアンとか。
矢野:久々に聴いたらクンビアっぽさもありますね。ラテンと言っても、キューバとコロンビアのあいだくらい。
ハシノ:うんうん。サルサのようなクンビアのような。
矢野:ラテンでもいろいろあるってのは今回思いましたね。
森野:そうだね。にぎやかで明るいやつもあれば、マイナーとかダウナーなやつもあるし。
ハシノ:メキシカンな哀愁みたいなものもあったりで。

M-3 なかの綾「恋におちて」


矢野:なかの綾によるカヴァーですね。
ハシノ:小林明子だ。
矢野:プロデュースは、僕のDJの先輩でもあるはせはじむ。歌謡曲をクラブライクにカヴァーすることが多いですね。CKBの剣さんとデュエットしたり。アナログはすごく売れたい、高値が付いています。DJがほしがる。
ハシノ:たしかにこれはDJとしてほしい一枚だね。
矢野:自分のイベントにも出てもらいましたが、クラブで歌って似合う人です。
ハシノ:今回オルケスタ・デ・ラ・ルスを候補にあげそうになったんですけど、あのバンドもサザンの「私はピアノ」とかカバーしてて、それと質感が近いと思いました。
矢野:歌謡曲のラテン感ですよね。水商売の匂い。これはサルサっぽくてニューヨークの感じ。土着的なラテンからファニア系にいった感じかな。
ハシノ:これもそうだし、民クルもそうですけど、昭和の水商売っぽいラテン感と、現代のクラブDJ的なラテン感を意図的に混ぜ返してるのがいいですね。
森野:今回、「ラテン」って言葉はかなり大きかったな〜。
矢野:ラテンと言ってもいろいろありますよね。好きな人じゃないともわからないような細かい違いですが。

M-4 郷ひろみ「ハレルヤ、バーニングラブ」

森野:これは楽曲的にラテンというより、スピリットがラテンっていう感じかな。これの一つ前に「アチチ〜アチー〜」でヒットした、リッキー・マーティンの曲をカバーした「ゴールドフィンガー99」っていうのがあって、そのラテン路線を受け継ぐ曲。
矢野:メロディーにラテンっぽさがありますね。サルソウルも入ってる。
森野:2000年頃のブラジリアンハウスが流行ったでしょ、BASEMENT JAXXとか…。
ハシノ:Masters At Workとかですね。
森野:そうそう、そういう感じも取り入れて、前作がカバーだったので今回はオリジナルってことでね。同時期に野口五郎が「愛はメラメラ」っていうタイトルでサンタナのカバーをしたり。新御三家がラテンでリバイバルしたんだよね。
ハシノ:西城秀樹もありましたね。一連の流れ。
森野:この曲の作曲は和泉一弥さんという人で、AKBとかジャニーズとかに曲書いてる人みたいだね。
ハシノ:なるほど。そういうプロのお仕事感がありますよね。
森野:土着感がない洗練された感じだよね。そのちょっと前にジャミロクワイのディスコっぽい曲がヒットしたけど、そういう流れも感じるね。それにしても郷ひろみはかっこいいな〜。
ハシノ:小林旭とかと同じタイプの、思わず笑っちゃうかっこよさ。
森野:一度だけCM曲のレコーディングで会ったことがあるんだけど、もう一つ残らず郷ひろみなんだよね。顔もちっちゃくてすごく華奢で、めちゃくちゃかっこよかった!
ハシノ:プライベートが全然想像できないぐらいのスター感ですよね。
森野:ひと通り録音が終わった後で、自分の声をエンジニアに指図して波形を編集するんだよね。音程は合ってるんだけど、もうちょっと聴こえ方を明るくするために微妙にシャープさせるところを作ったり。自分の声の特性がわかったうえでの指示ですごいなと思った。
矢野:すごい話ですよね。見られる自分のことがわかっている。
ハシノ:自分の声のエロい成分とかわかってて狙って出せるんですかね。それをさらに卓のレベルで強化するっていう。

M-5 BON−BON BLANCO「恋の課外授業」

矢野:ボンボンブランコの有名な曲はなんですか?
ハシノ:ワンピースのアニメの曲かな?他にも一時期ちょっと有線でかかったりしてた。
矢野:もっと安易な曲だったような記憶でしたが、かなりちゃんとした曲ですね。
ハシノ:そうそう。いろんなタイプの曲があって、こういうブラジリアンハウスっぽいのもあれば、もっとコテコテにパーカッシブなラテンもあって。音楽性が高かったのにいまいち売れなかった。不遇なグループだなと。時代が早すぎたのかも。アイドルが盛り上がる前で、Perfumeが地方でやってたぐらいの時期だから。
矢野:モー娘。のラインではあるのかな。
ハシノ:そうそう。で、あっちがディスコだったらこっちはラテンに振り切ったみたいな。
森野:これ、SPEEDっぽさもあるよね。
ハシノ:歌詞は完全にSPEEDっぽさも意識してますね。10代の背伸びした恋愛っていう。
矢野:いろんなもののはざまって感じですね。「恋の課外授業」ってタイトルも謎のセンスですよね。
ハシノ:学校とか授業とかのメタファーを多用しててSPEEDみたいな感じを意識してるけどいまいち垢抜けないって感じ。
矢野:フィンガー5みたいな歌謡曲感もあります。
ハシノ:今日はBON−BON BLANCOBOを少しでも世に伝えられたら満足です!

M-6 クールス「ラストダンスはcha・chaで」

ハシノ:いいね。
森野:いいな〜!
矢野:ドゥーワップのノリでラテンをやった大好きな曲。手元にある7インチの解説では、「68年~70年代に不良少年達の間で、もてはやされ再び流行のきざしにあるステップ」とか書いてあります。この曲は80年なんですけど、昔のリズムをやってみましたという感じですね。ピアノがマンボNo5で気が利いていますよね!
ハシノ:ドラムの「ズーッタズッタ」っていう入り方もラテン。
矢野:おもしろい。
ハシノ:でもバイクに乗るような不良がラテンって結構珍しいよね。LAならまだしも日本じゃあんまり聞かない。当時なら普通にドゥーワップとかロックンロールにいきそうなもんだけど。こういうのは珍しいな。
矢野:ロックンロールとマンボは同時代で、ビル・ヘイリーなんかも「マンボ・ロック」とか歌っていたけど、ロックンロールをリバイバルするときにマンボを入れるってのはあまりないですよね。普通にリーゼントとロックンロールで終わりそう。
ハシノ:ダウンタウンブギウギバンドにも1曲だけラテン・ロックがあって、もしかしたらそういう感じで1曲だけスパイス的に入れたくなるのかな。
矢野:やっぱり横浜のラインはやりたいですね。
ハシノ:やろう。

M-7 倍賞千恵子「さよならはダンスの後に」


ハシノ:さくら!
森野:いい声だよね。
矢野:普通に歌謡曲にラテンの要素が入っていますね。
森野:1965年の曲なんだけど、この曲は1990年にやってた「ラストダンス」っていう昼ドラの主題歌。伊藤整の原作で、金とか名誉とか女とか、欲望にまみれてドロドロした人間模様のドラマで、主演が児玉清。毎日見てるうちに好きになっちゃった。
矢野:「ラストダンス」は90年のドラマなんですか。
森野:その頃、そういうのが増えてたよね。野島伸司とかも昔の曲を持ってきたりしてね。
ハシノ:ドラマからのリバイバルヒットですね、森田童子みたいな。
森野:この曲は歌謡曲が「ラテンから始まった」っていう名残があるよね。
ハシノ:「ラテンやりますよ〜」ってことさら言ってなくて、何ならベタな手法のひとつとしてラテンやってる。
矢野:ムード歌謡もラテンですもんね
ハシノ:ムード歌謡はグループ名がもうラテン丸出しだもんね。出自はみんなラテン。
矢野:このシングルジャケ、カバーポップスのアメリカンな感じじゃないですよね。
ハシノ:普通にど真ん中の歌謡曲の感じよね。
矢野:「夢は夜ひらく」のような演歌路線。
森野:倍賞千恵子は人気あったみたいだよね、1963年時点では売れっ子になっていたみたいだし、紅白にも出てる。
ハシノ:でも倍賞千恵子って清純なイメージじゃないですか。一方でラテンって清純じゃないイメージじゃないですか、どっちかっていうか夜の感じ。この曲はあえて真逆の要素をぶつけたのかな。そういうのがエロいっていう狙いなのか、それか芸の幅を広げたいってことなのか。
森野:これ、社交ダンスみたいな感じもあるもんね。
矢野:それにしても、ラテンって実は幅広い音楽ですね。
森野:ラテンはまた細分化してやりたいね。
ハシノ:今回自分のなかでサンバ〜ボッサのブラジルはあえて外しました。
矢野:実はもう1曲、鈴木茂「砂の女」を用意していたんですよ。おふたりがシティでおしゃれなラテンの感じできたら、鈴木茂で迎え撃とうと思ったんですけど、全然そんな感じじゃなかった(笑)。
ハシノ:歌謡寄りでしたね。

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それでは、次回も土曜日の深夜1時です。市川うららFMでチャイム着席をお願いします!(以下のリンクからも聴けます。)

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