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『クローゼット ZERO』〜その3〜

[➁合併のルール]
*海老原駅北口
美樹生、守、恵介、修兵
凌、晃一、慎治、ジョー、元気   板付き
―明転―
にらみ合ってる両校
凌:テメーらと合併ってどういうことだコラ。
美樹生:それはこっちのセリフだよ。
恵介:お前らが俺らの下につくって言うなら仲良くしてやんねーこともねーけどな。
凌:調子乗ったこと言ってんじゃねーぞコラー!!
恵介:!!(ビビる)
凌:あんま舐めたこと言ってるとぶっ殺すぞ!(恵介に掴みかかろうとする)
恵介:ヒッ!(思わず守の陰に隠れる)
凌:グッ・・・かわいいな・・・。(守のかわいさに怯む)
美樹生:てめー、なにしてやがんだ!(凌の腕を掴む)
凌:あっ?やんのかコラ!(美樹生の襟首をつかみ返す)
一同、臨戦態勢(修兵は武器を出したり、など)
そこに莉奈が通りかかる
莉奈:(ケンカの様子を見て)キャー!!
美樹生・凌:!!!(思わず手を離す)
美樹生:いや、これは・・・
凌:あ、あの・・・
莉奈、逃げる(その時に、慎治の近くを通り、慎治、莉奈のカバンから雑誌をスっている)
怜、来る
怜:ん?どうした?
美樹生:いや、なんでもねー。
怜:(クズ高メンバーを見て)これはクズ高のみなさん、おそろいで。まさかお前らの学校と合併することになるとはな。困ったもんだ。
凌:俺は認めてねーぞ。
怜:認めるもなにも、これはもう決まったことだからな。俺だってそんなことは嫌だが俺らが騒いだってどうこうできることじゃないんだよ。ま、バカなクズ高にこんなこと言ってもわからないか。
晃一:てめー!
     クズ高、怒り
怜:それに、合併はするが、お前らと一緒に通うなんてことにはならない。
晃一:どういうことだ?
怜:バカなお前らに説明しても理解できるか分からないが・・・


慎治:テメーはいちいちムカつくな。
ジョー:そうよ、バカって言う方がバカってフランスのことわざにもあるよ!
怜:(無視)今回の話、合併ってのは建前で、実質どちらかは廃校になる。
一同:廃校!!!!??
怜:合併と同時に生徒の縮小も行うんだ。両校の代表が試験を受け、基準に満たなかった方の生徒は全員退学。生き残れるのはどちらか一校のみ。
凌:ふざけんじゃねーぞ!!!テメー・・・・・・今の話どういうことだ?
晃一:わかってなかったのかよ!
凌:サッパリだ。
慎治:俺もだ。
ジョー:僕もね。
元気:(自分も、というジェスチャー)
怜:やっぱりバカには理解できなかったか。
晃一:くっ・・・。
美樹生:ハッハッハッハッ。怜・・・俺もわからん。
晃一:お前もかよ!
恵介:俺も。
守:僕も・・・。
修兵:ふっ、僕もです。
晃一:そっちもわかんねーのかよ!こいつら、俺ら以上にバカなんじゃねーか?とにかく、俺らクズ高とお前らホー学で勝負して、負けた方の学校は全員クビ、そういうことか?
怜:バカにもわかるように言うと、そういうことだな。
凌:ちょっと待てよ、じゃあどっちにしても俺らの学校は無くなるってことじゃねーか!ふざけんじゃねーよ!好き勝手ルール決めやがって、てめー何様のつもりだよ?
怜:はぁ、どこまでも単細胞な奴らだな。そんなこと言ったらこっちだって同じ条件だ、そう決まったんだからしょうがないだろ。そもそも俺が決めたことでもない。俺に文句言ってどうする。
美樹生:おい、怜。俺らも初耳だぞ。
怜:今さっき決まったみたいだ。
修兵:それにしても、廃校ってよ、かなりリスクが高いですよ・・・。
怜:心配するな、あんな奴らに負けるわけないだろ。
     クズ高、反応
凌:なんだとテメー!もういっぺん言ってみろよ!
怜:バカは一回じゃわかんないのか・・・(睨みきかせる)お前たちみたいな単細胞の集まりに負けるわけないって言ったんだよ。これでわかったか?
凌:上等だコラ!!ふざけやがって!!!やってやる!やってやるよ!!!
晃一:お、おい、凌。
凌:こんな舐められっぱなしでいられるかよ!こいつらぶっ潰してやるよ。
怜:ほー、じゃあクズ高の代表はお前らってことでいいんだな?
凌:あたりめーだろ!めんどくせーから、今すぐ勝負つけてやってもいいんだぜ。かかってこいや!
美樹生:上等だよ!
怜:おい待てよ。誰がケンカで勝負するって言った?
凌:あ?勝負っていったらケンカだろ。
怜:代表が試験を受けるっていっただろ?これだからバカは困る。
晃一:試験?
慎治:試験って、勉強ってことか?ふざけんなよ!俺らが勝てるわけねーだろ!
ジョー:そうね!フコーヘーね!
晃一:いや、こいつら相手だったらいい勝負かもよ。
恵介:へっ!ビビりやがって。負け犬の大声だな。
守:違いますよ、それを言うなら、負け犬のオーボエですよ。
修兵:バカ、それじゃ楽器になっちゃうだろ。正解は、酒やけの鼻声だよ。
守:なるほど。
恵介:さすが、修兵は頭の出来が違うな。
晃一:ほらな。こいつら絶対バカだもん。
怜:安心しろ、勉強でもない。
凌:じゃあ、なにで勝負するってんだよ?じゃんけんか?
晃一:そんなわけねーだろ!なんでこんな大事な事じゃんけんで決めんだよ。
美樹生:違うのか・・・。
晃一:お前もそう思ってたのかよ!
ジョー:じゃあカラオケ?
晃一:それもねーよ!
恵介:わかった!オシャレだろ?
晃一:なんだよその勝負!
修兵:サバゲーだったら負けませんよ!
晃一:試験だって言ってんだろ!
慎治:じゃあ・・・
晃一:ちげーよ!!
慎治:まだなにも言ってないのに・・・。
晃一:(怜に)おい、もったいぶってないでとっとと教えろよ、めんどくせーな。
怜:それは・・・ダンスだ。
晃一:そう、ダンスに決まってんだろ。なるほど、ダンスか・・・ダンス!?
美樹生:おい怜、冗談だろ?
怜:冗談じゃない、本当だ。ほら、これを見ろ。(ポケットから紙を取り出す)
守:(紙を受け取り)・・・きゅ、きゅう、、とう、りゅう、高校との・・・あわせあわせの件?
晃一:全然漢字読めねーじゃねーか!(紙をひったくる)九頭竜高校との合併の件な。・・・本当に、ダンスってなってる・・・両校の代表が、海老原市主催のダンス大会に参加、その成績でどちらが廃校かを決める・・・
ジョー:カラオケおしかったね。
晃一:な、なんでよりによってダンスなんだよ?
怜:この海老原市のウリってなんだ?
晃一:あ?
恵介:こんなさびれた町にウリもクソもねーだろ。
修兵:たしかに。この町じゃ欲しい部品買いたくても、どこにも売ってないしね。
ジョー:でも駅前のドーナッツ屋さんはおいしいね。
守:あ、あそこのドーナツおいしいですよね。僕はフレンチクルーラーが好きです。
ジョー:おー、君わかってるね!
晃一:なにで盛り上がってるんだよ。
ジョー:この子、かわいいよねー。
晃一:かわいいよねーじゃねーよ!今そんなこと言ってる場合じゃねーだろ。
守:あー、あそこのドーナツのこと考えただけで、ほっぺが落ちちゃいそう(ほっぺたおさえてかわいい顔)
一同:か、かわいい~!!(デレデレ)
晃一:(我に返る)はっ!おい、みんな!しっかりしろ!あぶねーとこだったぜ。あんまりあいつのこと見るなよ。・・・なんの話してたっけな。・・・そうだ!(怜に)ってかこの町のウリがなんなんだよ?
怜:この、なんのウリもないこの町を、市長はダンスで町興ししようとしているんだ。
晃一:は?
怜:この町の文化レベルを上げるには、勉強に力を入れてもしょうがない。
晃一:たしかに、この町には、この2つしか学校ねーしな。勉強はどうあがいても無理だ。
怜:そこで市長は、学問はあきらめ、ダンスで町の知名度をよくしていこうという考えになった。その手始めがこの大会というわけだ。全国から参加者を集めるらしい。
晃一:この市にはバカしかいないのか・・・。
凌:あ〜!よくわかんねーけど、ダンスなんてナンパなことやってられっかよ!ふざけんじゃねーぞ!勝手にやってろ!おい、(みんなに)帰ろうぜ。
晃一:たしかに。バカらしい。
クズ高メンバー、帰ろうとする
怜:逃げんのか?
一同立ち止まる
凌:あ?
怜:さっき代表やるって言ったろ?それがやりたくないことだってわかったら尻尾まいて逃げ出すのか。九頭竜高校の比留間もたいしたことねーんだな。
凌:逃げてるわけじゃねーよ!
怜:まあ、しょうがないか。クズ高なんて、頭も、金も、根性もなにもない空っぽなやつらの集まりだもんな。
     凌、怜をぶっ飛ばす
一同:なっ!
     美樹生、凌に掴みかかる
美樹生:てめー、なにしてんだコラー!!
凌:さっきからおとなしく聞いてりゃ調子に乗りやがって!誰に口きいてると思ってんだテメー!ぶっ殺してやんよ!
美樹生:その前にテメーをやってやるよ!
     美樹生、凌に殴りかかろうとする
怜:そんな必要はない。
     美樹生、止まる
美樹生:怜?
怜:こいつらがどんなに暴れたところで条件が変わることなんてねーんだ。やらねーって言うんならおとなしく廃校になるのを待ってるんだな。
凌:・・・てめーらボンボンの遊びに付き合ってるヒマはねーんだよ。
     凌、美樹生、睨み合い
凌:(美樹生に)テメー、いつかやってやっからな。(クズ高メンバーに)おい、行くぞ。
クズ高メンバー、ハケ
美樹生:いつでもかかってこいよ。
修兵:怜さん、大丈夫っすか?
怜:たいしたことねーよ。あいつら、暴れることしか脳がねーからな。参加しなきゃどっちみち廃校だってのに、どこまでもバカだな。
美樹生:それにしても、まさかダンスの大会とはな。
恵介:相変わらず、怜の母ちゃんが考えることはぶっ飛んでんな。
修兵:ちょっと前に、女性専用のバスなんてのも作りましたもんね。。
怜:そういうわかりやすい事の方が市民には受けるんじゃないか。あのババア、市長の椅子を守るのに必死なんだよ。
恵介:でもよ、ダンスで町興しなんてできるのかよ?
怜:さあ?とにかく、俺達はその大会で成績を残すことを考えるんだ。
守:・・・怜さん、本当にダンスの大会で決めるんですか?
怜:ああ、こんなこと嘘ついてもしょうがないだろ。
恵介:どうした?守、ビビってんのか?
守:いや、そうじゃないんですけど・・・
美樹生:守・・・お前は無理して参加しなくてもいいんだぞ?。
守:えっ?
怜:そうだな、今回の勝負は負けるわけにはいかない。俺達に任せとけ。ダンスはガキの頃からやらされてるからな。俺がしっかりこいつら指導するから大丈夫だ。俺たちが、負けるわけない。
守:でも・・・
美樹生:守、お前のその気持ちだけで十分だ。しっかり応援頼むぞ!
恵介:ったく、美樹生は守に甘いんだよな・・・。
美樹生:な?守。
守:・・・わかりました・・・。皆さんのお役に立てるのが僕の幸せですから、一生懸命応援します! みなさん、頑張ってください!(ガッツポーズ)
一同:かわいいー!!!
美樹生:守!もう一回それやってくれ!
―暗転―


つづく

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