見出し画像

『クローゼット ZERO』〜その6〜

[➅晃一と守]
*海老原駅駅前
     守   板付き
―明転―
     守、ボーッとしている
晃一、ドーナツ食べながら来る
晃一:(守に気付き)あれ?ホー学の・・・あいつ、無駄にかわいいから苦手なんだよな・・・。ってか、こんなところでなにボーッとしてんだ?
漫画喫茶マンボーのテーマソング流れる
     守、曲に合わせてステップ踏む
晃一:えっ?
     守、晃一に気付く
守:あっ、クズ高の・・・。
晃一:お前、今の・・・
     守、晃一のドーナツを奪って食べる
晃一:テメー!なにすんだよ!
守:やっぱり、ここのドーナツはおいしいですね。
晃一:おい!
守:怒りました?
晃一:は?
守:怒りましたよね??
晃一:なんだお前、そりゃ怒るに決まってんだろ。
守:じゃあ、僕のこと、殴ってください。
晃一:な、なに言ってんだよ?
守:怒ったら殴りますよね?いつもどおりお願いします!(ニコニコ)
晃一:言ってることと表情ギャップありすぎだろ!そんなの嫌だよ!
守:なんでですか?いつもやってることじゃないですか?
晃一:そりゃそうなんだけどよ、こう改めて頼まれるとなんかな・・・。
守:ほら、遠慮しないでください。(顔を突き出す)ほら、ほら!
晃一:か、かわいい・・・じゃなくて!なんなんだよ、めんどくせーな!ぶっとばすぞ!
守:だから、殴ってくださいって言ってるじゃないですか。
晃一:あー!!!もういい!とにかく殴らねーから!第一、俺らは今ケンカ禁止中なんだよ!
守:ケンカ禁止?
晃一:あれ?あれは凌だけだっけな?まあいいや。ってかよ、お前なんでそんなに殴られてーんだよ?そういうプレイか?ドMの変態なのか?
守:僕・・・人に殴られたことないんですよ・・・。だからです。
晃一:は?


守:何事も経験じゃないですか、だからです。みんなに甘やかされるのはもうイヤなんだ。
晃一:お前、バカなんだな。
守:バカでもなんでもいいです!とにかく殴ってください!じゃないと僕は、いつまでたっても・・・。
晃一:ん?
守:お願いします!この通りです!(土下座)
晃一:!!おい!やめろよ!
守:お願いです!(かわいそうな顔)
晃一:っく!なんてかわいい顔してやがんだ・・・わかった、わかったよ。そこまでするなら殴ってやるよ。
守:本当ですか!?
晃一:ああ、一発だけだぞ。
守:ありがとうございます!
晃一:その代わり、俺の頼みを一つ聞いてもらう。
守:え?姉の下着盗んでくるとかですか?
晃一:そんなことじゃねーよ!・・・それも魅力的だが・・・。
守:わかりました!なんでも言うこと聞きます!
晃一:よし、じゃあ歯ぁ食いしばれ。
守:はい。(歯を食いしばる)
晃一:後悔すんなよ!
     晃一、なぐりかかる
―暗転―
ドカッ!!
 
[⑦打ち解け?]
*海老原駅南口
凌、晃一、慎治、ジョー、元気、守   板付き
ダンスの曲(マンボーの曲?)流れる
一同:おー。
―明転―
曲に合わせて守がダンスを踊っている。ダンスうまい、顔に少し青タン
クズ高メンバー、感心しながら見てる。
凌:なんだよ、お前ダンスうめーんだな。
ジョー:ただのかわいこちゃんじゃなかったね。
慎治:確かにな・・・ってか晃一!なんでこいつがここにいんだよ?
晃一:(無視)おい、今のどうやってやるんだよ?
守:足をこう交差させて・・・(やり方教える)
晃一:(やってみる)おー!できた!お前らもやってみろよ!
みんな、やってみる
凌:できた!
慎治:たしかにわかりやすいな。
晃一:なんで教えるのうまいんだよ?
守:姉二人がダンスやってたもので。
晃一:そうなのか。でもよ、そんなにうまいのに、なんであいつらと一緒にやらねーんだ?
守:美樹生さんたちは、いつも僕の心配ばかりしてくれてて、僕のことを巻き込みたくないみたいで・・・。そんなみなさんの気持ち考えたらなかなか言い出せなくて。僕は一人前に扱ってもらいたいんですけど・・・。
ジョー:オー、いわゆるイナゴってやつね。
凌:バカ、ちげーよ、アナゴだろ。
慎治:それを言うなら・・・
晃一:過保護な。
慎治:俺まだなにも言ってないのに・・・。
晃一:だから殴られてみたかったってわけか。
守:はい。
晃一:おい、なんでも言うこと聞くって約束なんだけど。
守:あ、例のやつですね。寝てる間に忍び込んできたんですけど、かわいい系とセクシー系、どっちがいいですか?(ポケットから下着だそうとする)
晃一:下着じゃねーよ!
守:えっ?違うんですか?苦労したのに・・・。
晃一:そんなんじゃねーんだよ!俺たちに、ダンス教えてくれ!
守:えっ?
晃一:頼む!お前しかいないんだ!
凌:そういうことか。たしかに、こいつに教わったらできるようになるかもな・・・。
慎治:こいつら(ジョーと元気)じゃ頼りにならねーもんな。
ジョー:慎ちゃんそれはひどいよ!
元気:(踊る)
晃一:いいから!な、頼むよ!
守:べ、別にいいですけど・・・。(人から頼られて嬉しい)
晃一:マジでか!!やったぜ!
凌:よし、早速教えてくれ!
守:じゃあ、次は・・・(教える)
みんな、守の言うことを素直に聞いて練習
そこに、ホー学メンバーがやって来る
美樹生:おい、テメーら、なにしてんだ?
守:あっ。
美樹生:こいつ連れ出してなにさせてんだよ?(守の顔を見て)!?テメーら守になにしやがった!!!!
守:!(顔の傷を隠す)違うんです・・・
凌:うるせーな。勝手に俺らのシマ入ってくんじゃねーよ。
ジョー:通行料ね!
美樹生:あ?(睨む)
恵介:ふざけんじゃねーぞ!
慎治:てめーがな!ふざけたカッコしやがって。
怜:守にも通行料とやらを取り立ててたってことか。
凌:なめてんじゃねーよ!先生から通行料なんてとるわけねーだろ!
晃一:そうだよ、なんで先生から通行料とるんだよ!!
怜:なに言ってんだ?とにかく、こいつは連れて帰らせてもらうぞ。(守を連れてこうとする)
凌:勝手なことすんじゃねーよ!
慎治:先生は渡さねーぞ!
ジョー:そうね!僕たちの先生ね!
クズ高、修兵を引っ張り返す
お互いが引っ張り合い、ダンスみたいな感じに(できますでしょうか?)
M COOL
莉奈が通りがかる
莉奈:わー、かっこいいダンス!
美樹生・凌:!!!
莉奈:あ、(怜に)あ、お兄ちゃん。
凌:お兄ちゃん!?
莉奈:なになに?いつの間にみんな仲良くなったの?合同練習?
怜:いや・・・
莉奈:あ、今日の晩御飯なにがいい?
怜:・・・なんでもいいよ・・・
莉奈:もー、いっつもそれなんだから。ま、いいや。じゃあ、練習頑張ってね!
莉奈帰る
みんな、勢い削がれて変な空気、凌はボーゼンとしている
守が、美樹生と怜の前に行き
守:ごめんなさい!!僕、調子にのっちゃって・・・
晃一:おいおい、先生を怒んないでやってくれよな。俺が勝手に連れ出したんだよ。
怜:さっきから、その先生ってのはなんなんだよ?
ジョー:彼は僕たちのダンスの先生ね!
恵介:は?守がダンスの先生?冗談だろ?
慎治:テメーらは先生の才能に気付けなかったみたいだな。
晃一:先生、こいつらに見せてやれよ!
守:でも・・・
ジョー:いくね!はい、ワン、ツー、スリー!(踊りだす)
守、つられて踊る
ホー学メンバー驚き
美樹生:どうなってんだよ?
修兵:あの守が・・・
晃一:どうだ、俺らの先生はすげーだろ。
守:・・・(泣き出す)
美樹生:守?
守:すいません・・・僕、早く一人前に認めてもらいたくて・・・こんなに人に頼られたの初めてで、つい舞い上がってしまって。(晃一に)ごめんなさい、やっぱり僕、先生なんてできないです。僕・・・
晃一:先生・・・
美樹生:いいよ。
一同:!?
美樹生:守、そいつらにダンス教えてやれ。
守:えっ?
恵介:美樹生!なに言ってんだよ!そんなのダメに決まってんだろ!
美樹生:守がそんなこと考えてたなんてな。ずっと一緒にいたのに気付かなかったぜ。その点に関しては俺らの負けだ。俺は守に対して、ちょっとアナゴすぎたみたいだな。
晃一:過保護な。
恵介:そんなの関係ねーだろ!
美樹生:守のダンスのうまさに気づいたのはこいつらだ。。いいとこだけ持ってくのは男らしくねーだろ。
晃一:さすが大将は言うこと違うねー。
恵介:おい!美樹生!
美樹生:いいんだよ!守、その代わり、こっちの練習もちゃんと参加してくれよな。お前は大事な戦力だ。
守:はい!!ありがとうございます!!
ジョー:先生、良かったね!
恵介:なんだよ・・・。
怜:ちょうどいいハンデだろ。まあ、せいぜい頑張れよ。
守:はい!みなさん、頑張りましょうね!(ガッツポーズ)
一同:かわいいー!!!
凌、怜の前に
凌:お兄様!!
怜:!?
晃一:お兄様!?
凌:今までの数々の無礼お許しください!
晃一:おい、凌!
ジョー:凌ちゃんのマドンナ、彼の妹だったね!まさかの展開ね!
凌:お兄様―!!(怜に抱きつく)
怜:お、おい。
晃一:俺らの大将はどうしちまったんだよ・・・。
慎治:恋って怖いな・・・。
美樹生:なにがお兄様だコラーー!!(凌に掴みかかる)
晃一:なんでコイツがキレんだよ!?
美樹生:てめー、調子に乗んなよ!!り、り、莉奈は俺のもんじゃー!!
晃一:・・・え?
守:美樹生さんも、怜さんの妹さんのことを・・
晃一:マジかよ!
恵介:(美樹生が莉奈のこと好きなことに)なんじゃそりゃ!!
晃一:ビックリした!なんだよ急に。
恵介:美樹生・・・
凌:てめー!なにが莉奈じゃ!気安く呼び捨てにしてんじゃねー!!
美樹生:こちとらガキの頃から見守ってきてんだよ!それを急に出しゃばりやがって!莉奈は渡さねーぞ!!
凌:そんなこと知ったこっちゃねーんだよ!り、り、り、・・・莉奈ちゃんは俺のもんじゃー!!
晃一:恥ずかしくて呼び捨てできなかった!!
怜:おいおい、二人共なに勝手なこと言ってんだよ。
美樹生:おい、怜!お前の妹にふさわしいのは俺だよな!?
凌:なに言ってんだてめー!!お兄様、俺ですよね?
美樹生:バカめ、俺と怜の絆舐めんじゃねーぞ。
晃一:たしかに、そこは勝ち目ねーだろ。
怜:別に俺が決めることじゃねーしな。
美樹生:怜!!つめてーじゃねーか!!
晃一:確かに。こいつどこまで冷めてんだ・・・。
凌:テメー、勝負だコラ!!!
美樹生:上等だよ!!ぶっ殺してやる!!
凌:ぶっ潰す!(二人、掴み合う)
莉奈、戻ってくる
莉奈:あ、お兄ちゃん、
美樹生、凌、掴み合いからダンス
莉奈:今日、お母さん帰り遅くなるって。
怜:わかった。
莉奈:(美樹生と怜を見て)ふふふ、ダンス、頑張ってくださいね!
莉奈、ハケ
美樹生・凌:かわいい~~~!!!・・・はっ!(手を握り合ってるのに気付き、慌てて離す)
凌:ケンカはダメだ。テメー、抜けがけしたら許さねーぞ!
美樹生:こっちのセリフだよ。
守:じゃあ、これからは、合同練習ってことにします?
晃一:は?なに言ってんだよ?
守:そうしたら、お互い見張ってられますもんね?僕もそっちの方が都合いいですし。ダメですか?
晃一:たしかにそうかもしれねーけど・・・凌、どうする?
凌:上等だよ。このムッツリスケベ、目を離したらなにするかわからねーからな。
美樹生:誰がムッツリスケベだ!テメーの方こそストーカーでもしてんじゃねーか?
ジョー:おー、あながち間違ってないね。
凌:うるせー!
守:じゃあ、そういうことでいいですか??怜さん。
怜:まあ、なんでもいいよ。とりあえず、今日は解散にしよう。
晃一:たしかに、なんか疲れたな・・・。凌、行こうぜ。
凌:おう。(美樹生に)テメー、勝手なことすんなよな。
クズ高、ハケ
美樹生:うるせーバカ。(みんなに)行くぞ。
ホー学、逆サイドにハケ
恵介だけ残る
恵介:・・・美樹生。(美樹生が莉奈のことを好きなの知ってショック)
ジョー、戻ってくる
ジョー:あれ?まだいたのね?居残り練習?
恵介:うるせー、俺はまだ合同練習なんて認めてねーからな。
ジョー:でもアンタ達のボスは認めてるね。ボスの言うことは絶対でしょ?
恵介:クソ、美樹生の奴・・・。
ジョー:好きなの?
恵介:は?
ジョー:ボスのこと。
恵介:ななな、なに言ってんだテメー!そんなわけねーだろ!男同士だぞ。
ジョー:そんなの関係ないね。
恵介:え?
ジョー:LOVEには色んな形あるよ。男同士、女同士のLOVE認めてる国、いっぱいあるよ。
恵介:・・・俺、おかしくないか?男なのに・・・。
ジョー:全然おかしくないよ。人が人を好きになるの、当たり前のことよ。人間なんだから。
恵介:そっか、俺、変じゃないのか。俺、ずっと自分は変なんだって・・・
ジョー:変じゃないよ。
恵介:そっか。そっかそっか。ははは。(泣き笑い)・・・なあ、なんでわかった?
ジョー:なにが?
恵介:俺が美樹生のこと・・・
ジョー:僕、ちっちゃい頃いじめられてたから、人の顔色伺うの得意なのよ。
恵介:いじめられてた?お前が?
ジョー:僕、中途半端だから、日本でも、他の国でも。だからちっちゃい頃は誰ともしゃべれなかったね。
恵介:・・・。
ジョー:でも、凌ちゃんは違ったよ。はじめましての時に、いっぱい話してくれたよ。「お前強そうだな」って。
恵介:第一声がそれかよ。
ジョー:あの時の凌ちゃん、かっこよかったね!だからそっちのボスより凌ちゃんの方が素敵ね。
恵介:なに言ってんだよ!素敵さで美樹生が負けるわけねーだろ!俺が初めて美樹生を見た時なんてな、あいつ、土砂降りの中、捨て犬にエサあげてたんだぞ!そんなの見ちゃったら、俺、俺・・・
ジョー:それで一目惚れしちゃったの?
恵介:あたりめーだろ!それで惚れねーやつなんていねーだろ!
ジョー:ベタすぎるよ!いや、もうベタでもないね!いつの時代よ!
恵介:素敵にベタもクソもねーだろ!いつの時代も素敵なもんは素敵なんだよ!
ジョー:絶対凌ちゃんの方が素敵ね!
恵介:いや、美樹生だ!
ジョー:じゃあ引き分けね。どっちも素敵ね。
恵介:妥協すんの早いな!まあ、そういうことでいいけどよ。
ジョー:うん、どっちも素敵。だから、今はすごい楽しいよ!凌ちゃん達と一緒にいるの楽しいよ!だから、学校なくなると困るね。ダンス、負けられないよ。
恵介:そんなの俺だって一緒だよ!負けねーからな!
ジョー:居残り練習してく?
恵介:・・・やってくか。
二人、ストレッチ
ジョー:そのイカした服、どこで売ってるの?
恵介:おー、やっぱイカしてるよな!?これは駅ビルの中の・・・
―暗転―


つづく

もし良ければサポートお願いします。今後の生きていく糧にさせていただきます。